福岡ユビキタス特区でのマルチメディア放送実験が本格化
-TOKYO FMが3セグで実施。端末200台を貸与
4月9日発表
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アナログテレビ放送が終了する2011年以降に、空いたVHF-LOW帯(VHF 1~3ch)を使い、マルチメディア放送サービスの実施を計画しているエフエム東京(TOKYO FM)は、福岡のユビキタス特区において、「3セグメントマルチメディア放送サービス」の実験を本格化する。
既報の通り、空いたVHF-LOW帯の利用に関しては、情報通信審議会情報通信技術分科会放送システム委員会が、そこで実施する「携帯端末向けマルチメディア放送方式に関する技術的条件」について検討している。
サービスの実施を希望する事業者は、フジテレビやNTTドコモなどが設立した「マルチメディア放送」や、TOKYO FMやニッポン放送などが参加する「VL-P」(VHF-LOW帯マルチメディア放送推進協議会)、クアルコムが推進する「MediaFLO」など。それぞれの放送システムの開発/テストや、実施するサービスの提案を行ない、採用を目指したアピールを強めている。
これに関連し、TOKYO FMは、革新的なサービスの開発/実証実験の支援を行なう総務省の「ユビキタス特区」に参加。「福岡ユビキタス特区」において、地方ブロック向けマルチメディア放送の先行実験を実施をCSK-ISと共に提案。その結果、3月31日に九州総合通信局から実験試験局の免許が付与され、今回、実験を本格的にスタートさせることになった。
具体的には、デジタルラジオと同様に、地上デジタル/ワンセグで利用しているISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式を拡張した、ISDB-TSB方式を使う。3セグメントを用いて、音声だけでなく、データや動画も配信するほか、課金システムなどもテストする。電波は最大出力2,500Wで発射し、6セグメント(3セグメント放送×2)のサービスを実施している。
■ ラジオリスナーがモニターとして参加
一般からモニターを募り、福岡ユビキタス特区で受信実験も行なわれる。ジャパンエフエムネットワークと三井物産が設立したJMデジタルメディアが、携帯電話型受信機200台をTOKYO FMに提供。TOKYO FMはそれを、地元ラジオ局のFM FUKUOKAのリスナーの中から、希望者に無償で貸与。3セグメントマルチメディア放送を受信するモニターとして参加してもらう。
コンテンツ面ではエイベックス・マーケティング、ぐるなび、よしもとファンダンゴらが新たに協力。エイベックスは、16:9のフル画面で表示できる映像の音楽番組を配信。データ放送と連動し、通信を使ってマーケティング調査やCD/イベントチケットの物販ビジネスも先行開発する。
ぐるなびは、放送波でネット向けのIPコンテンツをそのまま配信できる「IPデータキャスト」技術を使い、既に携帯やPC向けに提供している店舗情報を、放送波でプッシュ配信。よしもとファンダンゴは、テレビ番組「水野キングダム」をダウンロード配信。携帯電話で課金するインフラを試すと同時に、よしもとの携帯向けオリジナルコンテンツもプッシュ配信。視聴者の購買動向を調査するという。
TOKYO FMは、「実験で得られた結果などは、VL-Pと共有し、VHF-LOW帯での技術運用規定の策定に貢献していきたい」としている。
(2009年 4月 9日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]