総務省、地デジ普及に向けた行政の役割を示す答申

-「国民に行動していただくための取組が急務」


 

5月25日発表

 

  総務省は25日、情報通信審議会による「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」の第6次中間答申を発表。アナログ停波まで800日を切る中、視聴可能エリアの拡大や受信機の出荷台数は、おおむね順調に進捗しているが、世帯普及率が普及目標を下回るなど課題も多いため、「国民に、行動に移していただくための取組が急務」としている。

 具体的な取組としては、周知広報の面では放送事業者にテレビスポットや番組を活用した周知を引き続き促す。さらに、自治体広報誌、ポスター、ダイレクトメール、説明会、個別訪問、ネットの活用など、多様な周知広報手段を用いることが重要とされ、2009年3月時点で97.7%のアナログ放送終了認知度と、89.6%の終了時期認知度の向上を目指している。

 また、デジタル化に伴う経済効果が、直接効果で約101兆円(内純増分約27.8兆円)、経済波及効果の全体額が約249兆円(内純増分約69.2兆円)と試算されていることから「経済効果の観点からも(デジタル化には)意義がある」とし、経済効果についても国民に説明していく必要があるとまとめている。
 
 受信機普及については、受信機購入等支援事業の実施や、エコポイントを活用したデジタルテレビの購入支援などを着実に実施することで、普及促進を図る。また、5,000円以下の簡易チューナの実現に向けても「一層環境を整備すべき」としている。

 また、受信障害対策共聴施設のデジタル化に関しては、共聴施設デジタル化に特化した関係者による、推進体制の早期整備に向け、その方向性を「共聴施設デジタル化緊急対策」(仮称)として早急にとりまとめる方針。

 アンテナ改修工事については、地域ごとに工事の斡旋的制度を設けることも検討。公共施設のデジタル化は「これまで以上に精力的に取組が必要」としており、2009年度補正予算案の支援策を活用し「学校、社会福祉施設、庁舎などはすみやかにデジタル化対応を行なうことが望ましい」としている。また、その進捗状況をとりまとめ、公表する事も検討される。

 CATVによる地上デジタルの再送信サービスについては、各事業者での早期導入に向け、「視聴者が利用しやすいサービスメニュー、提供条件等を速やかに検討すべき」と提案。IP再送信についても「視聴者に利用しやすい条件で2010年末までにできるだけ広いサービスエリアで提供されるようにすべき」としている。

 また、放送される番組についても「視聴者が初期費用を負担してもデジタル放送を視聴したいと思うような番組作りが不可欠」とした上で、高画質/高音質の特性を活かした番組作りや、マルチ編成の積極的な活用、マルチ編成に関する放送事業者間の情報共有を求めている。

 さらに、アナログ放送終了後の課題では、東京スカイツリーへの送信設備移転に関する内容も盛り込んでいる。具体的には、スカイツリー完成後すぐにそこから放送が開始されるわけではなく、試験放送などの準備期間が必要なこと、アナログ放送終了までは従来通り東京タワーにUHFアンテナを向けてもらう必要があること、スカイツリーからの放送が始まっても従来の機器がそのまま使えることなどを、視聴者が正確に理解できるよう周知広報することが挙げられている。


(2009年 5月 26日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]