JEITA新会長にパナソニックの大坪社長が就任

-IT・エレクトロクス産業は景気回復の牽引役に


JEITA会長に就任したパナソニックの大坪社長

5月29日発表


 社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は29日、新会長にパナソニックの大坪文雄社長が就任することを発表。同日午後3時から、大坪新会長が就任後初の記者会見を行なった。任期は1年間。筆頭副会長には三菱電機の下村節宏社長が就任した。

 大坪文雄会長は、「JEITAの基本方針として、直面する経済危機を克服するために、政府と一体となって速やかな内需回復を目指すことを掲げる。同時に、日本の基幹産業の一翼を担うという思いを持ち、中長期的な視点でIT・エレクトロニクス分野の一層の国際競争力強化に取り組む」とした。

 また、「政府が国会に提出した追加経済対策を柱とする21年度補正予算案は、国内需要喚起のきっかけとなり、景気回復に貢献するものと期待している。政府案にはJEITAの要望の相当部分が反映されていることから、IT・エレクトロニクス業界が、景気回復の牽引役であると認識されているものと理解している。雇用にも充分留意し、政府施策に最大限に資するよう努力していく」と語った。

 さらに、エコポイント制度については、「地上デジタル放送受信機の前倒し普及の促進や、低炭素社会の実現を見据えた省エネ家電の普及促進に効果的に結びつくよう積極的に取り組んでいく。制度がスタートした5月15日以降は、前年対比で伸び率が見られるなどの成果が出ている。まだ制度の詳細が発表されていない段階であり、今後、交換するポイントの詳細などが公表されれば、さらに実需に結びつくだろう。また、最終メーカーだけでなく、サポーティングインダストリーなど、幅広い産業にも経済的な効果が広がる。雇用面での効果も強く意識していく必要があるだろう。回り出せば状況が変わる」などとした。

 一方、大坪社長は、「JEITAの活動は、環境、税制、通商、知財、人材育成、技術開発、製品安全など多岐に渡り、完成品のみならず、部品デバイス、素材に至るまで幅広い範囲で取り組んでいる」と前置きしながら、「これらの課題のなかから、放送の完全デジタル化、低炭素社会実現への貢献、モノづくりの原点の3点において、具体的な活動について説明する」とし、それぞれの領域における課題を指摘した。

 放送の完全デジタル化では、「JEITAの自主統計によると、景気低迷のなかでも地上デジタル放送受信機の出荷台数が毎月2桁増を続けているが、それでも世帯普及率は60%強であり、残された2年あまりという期間を考えると、さらに対応を加速させる必要がある。政府の追加経済対策を普及機運の盛り上げの絶好の機会と捉え、すべての消費者がデジタル放送の利便性を教授できる魅力的な製品の開発、供給に努める。加えて、デジタル移行後の電波の有効利用についても政府と一体になって具体的な提案をしていく」とした。

 薄型テレビの価格下落については、「競争が激しく、価格低下が著しいのが実態だが、受信機というテレビ単品の捉え方ではなく、セキュリティ製品と連動させたり、省エネのマネジメントを行なうために利用したりといった活用も可能になる。テレビの事業は厳しいが、幅広い製品を育てる中核製品であり、そう悲観的に考える必要はないと考えている」などと語った。

 2番目の低炭素社会の実現については、「今年7月に開催されるG8先進国首脳会議、12月に開催される第15回気候変動枠組条約締約国会議にあわせて、京都議定書に続く、2013年以降の地球温暖化対策の議論に関心が高まっている。JEITAでは、環境と経済の両立が損なわれることがない解決が必要との認識であり、国際競争力の維持向上と事業活動に伴う環境負荷提言を同時に追求しなくてはならない。提示されたわが国の中期目標については、国際的な公平性、実現可能性の観点から、選択肢1あるいは選択肢2により、日本が最大限貢献できる値の設定が望ましいと考えている。一方で、省エネ技術の研究開発、商品の小型軽量化、ランニングコストの削減などは商品力強化の取り組みであると同時に、環境負荷低減に直結する取り組みである。地球温暖化に向けた数字にこだわるというだけではなく、最先端の技術を製品に結実させて、世界で最も省エネの製品を国内外に向けて、広く供給していくことも重要である」とした。

 3つめのモノづくりの原点では、「モノづくりの力は、過去にも多くの難局を克服する源泉となっている。モノづくりを大切にすることは、日本の製造業の共通理念であり、この理念は世界最先端の技術と優秀な人材に支えられている」と前置きし、「JEITAが重要な活動のひとつとして認識しているのが、モノづくり人材の育成。第一線の技術者を講師として派遣し、年齢や知識レベルに応じた育成プログラムを推進している。各地の教育委員会や学校と協力して、小学生にモノづくりの楽しさを体験してもらったり、高専や大学、大学院生には実際のビジネス現場でのトピックスなどを加えた実践的なプログラムを提供している」などとした。



(2009年 5月 29日)

[ Reported by 大河原克行 ]