日立、マクセルを完全子会社化へ。電池事業強化を目指す

-2009年度第1四半期決算は営業損失506億円に


7月28日発表


 株式会社日立製作所は28日、日立マクセル株式会社の普通株式を公開買い付けにより取得すると発表した。買付価格は1株あたり1,740円で、買付予定数は4,492万9,356株。買付代金は781億7,700万円。

 現在、日立製作所は、マクセルの発行済み株式総数の51.67%を保有して連結子会社化しているが、今回の公開買い付けにより100%の株式取得を目指す。完全子会社化の目的は、「リチウムイオン電池をはじめとする二次電池関連事業での、日立グループ総力での開発力強化、コスト競争力強化、社会/産業向け用途開発の加速のため」としている。

 マクセル子会社化の最大の理由は「電池」だが、そのほかにも、マクセルの放送用テープと日立の放送通信機器やストレージにおける開発リソース集中が図れるほか、カメラレンズや光ピックアップレンズにおいても、日立グループの指製脈認証システム、防犯監視用カメラシステム、BD/DVD/CDドライブなどと開発段階から協力することで、他社との差別化が図れるとしている。

 日立製作所は、28日付で社会イノベーション事業を強化する方針を発表。日立マクセルだけでななく、日立情報システムズ、日立ソフトウェアエンジニアリング、日立システムアンドサービス、日立プラントテクノロジーの5社の情報連結子会社を完全子会社化する。

 これにより情報通信システム事業、社会インフラ事業、モータ、インバータ、パワー半導体、リチウムイオン電池などの事業において、中核となる会社を完全子会社化。事業戦略と体制の一体化を図り、競争力強化と安定した収益基盤の確立を目指すという。

 日立製作所は28日付で、2009年第1四半期決算を発表。売上高は前年比25.6%減の1兆8,929億100万円で、営業損失は505億9,600万円の赤字、純損失は826億6,500万円。

 うち、デジタルメディア・民生機器については、売上高が前年比28%減の2,142億円、営業損失134億円の赤字。売上については、光ディスクドライブの売上減や事業構造改革に伴う薄型テレビの海外販売チャネル絞り込みで、大幅減となった。一方、営業損益については、売上減や価格下落の影響はあったが、薄型テレビ事業におけるプラズマパネルの外部調達への切り替えや、海外販売チャネルの絞り込みによる赤字削減などで、前年比で4億円改善している。


(2009年 7月 28日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]