CEATEC JAPAN 2009【NTTドコモ/au編】

ドコモはマルチメディア放送対応端末を展示
auでは、“ケータイ×TV”の新視聴スタイルを提案


会期:10月6日~10月10日

会場:幕張メッセ

入場料:大人1,000円/学生500円
     (事前登録で無料/最終日は無料)


 CEATEC2009では、NTTドコモやauなど携帯電話会社も出展。ドコモでは、マルチメディア放送サービスに対応する携帯端末を参考展示した。またauでは、コンテンツの新しい視聴スタイルの提案などを行なった。


■ NTTドコモ

 ドコモは、アナログ停波後に利用されるVHF周波数帯を使った番組コンテンツ配信サービス「マルチメディア放送」に対応する携帯端末を参考展示。現在のワンセグ放送より高画質な映像コンテンツを配信できるとしている。

 マルチメディア放送とは、NTTドコモやフジテレビなどが出資している「株式会社マルチメディア放送(mmbi)」が推進する新しい情報配信サービス。2011年のアナログ停波後の空いたVHF周波数帯を使用し、映像コンテンツを携帯電話などに配信できる。ドコモでは2012年のサービス開始に合わせて、今回発表した対応端末の商品化を予定しているという。価格などの詳細は未定。

ドコモの「マルチメディア放送」コーナーmmbiのブースもドコモブースの向かいにあり、マルチメディア放送についてアピールを行なっていた

マルチメディア放送への取り組み

 マルチメディア放送の放送規格は地上デジタル/ワンセグで利用しているISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式を拡張したISDB-Tmm方式を採用。720×480ドット/30fpsの映像配信が可能で、音声は5.1ch出力に対応する(AAC+SBR+PS、MPEG Surround)。

 コンテンツ配信サービスは、ダウンロード型の「ファイルキャスティングサービス」と、ストリーミング型の「高品位ストリーミングサービス」の2種類を用意。ISDB-Tmm方式を採用することで、これまでのチャンネル的概念で周波数を分割せず、時期や時間帯に合わせて、ストリーミングとファイルキャスティングを柔軟に組み合わせることが可能になり、周波数を有効利用することができるという。

参考出展された対応端末。'12年のサービス開始に向け商品化を予定

 ファイルキャスティングサービスは、映画や小説、新聞、音楽などのユーザーが選択したコンテンツを携帯電話内に自動蓄積し、好きなときに視聴できるというサービス。電波状況により受信しきれなかった場合でも、専用サーバーからの通信でコンテンツの補完が可能。いつでもどこでも利用できるとしている。

 高品質ストリーミングサービスは、コンサートやスポーツ、ニュースなどライブ性の高いコンテンツを、リアルタイム放送で受信できるものとなっている。


ワンセグ放送との比較高品質ストリーミングサービスの画質コンテンツ選択画面

 また参考出展として、眼球の動きでプレーヤーを操作可能なイヤフォンのデモを行なった。眼球の動きで発生する電気信号を、イヤフォンに搭載する電極で検出してプレーヤーを操作できる仕組みで、左から右に目を動かすことで再生/ポーズ、右からさらに右で曲送り、上下させることで音量調整などの操作ができる。

 まぶたを閉じていても操作が可能。なお、イヤフォンの装着具合などで電気信号検出量が変化するため、試作機では使用の前に「どの程度眼を動かしたら、操作の指令になるか」というキャリブレーションが必要だという。検出のための電力消費は少なく、今後は操作しやすい人、しにくい人といった個人差の縮小や、携帯プレーヤーとの接続方法などを研究・開発していくという。実用化の目処や価格などは未定となっている。

眼で操作できるイヤフォンハウジングのアップ。出っ張っている円形のパーツが電極
眼球の動きで発生する電気信号を、イヤフォンに搭載する電極で検出してプレーヤーの操作が可能“眼の動き”での操作を実演

□関連記事
【2008年12月4日】フジテレビやドコモなど5社、携帯端末向け放送で新会社
-「ISDB-Tmm」方式でアナログ放送終了後の帯域利用へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20081204/multim.htm
【6月16日】VHF-LOW帯でのマルチメディア放送に、ISDB-Tsb採用へ
-VL-P会見。3D/5.1chなどワンセグ越える高度放送目指す
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090616_294284.html


■ au

「"あなただけ" 新視聴スタイル ケータイ×TV」

 auでは、携帯電話やテレビを通じて、新しいコンテンツ視聴方法を実現するサービスを紹介。「"あなただけ" 新視聴スタイル ケータイ×TV」と題して、新しい視聴方法の展示を行なった。このサービスは、「ケータイ×TV連携、FMBCスマートプラットフォーム」を使用して実現される。実用化の時期については未定としている。

 従来、コンテンツや情報にアクセスするためには、地上波放送はEPGから、VODはコンテンツリストから、インターネットビデオは携帯やパソコンで検索する必要があったが、今回開発したプラットフォームでは、見たいコンテンツを地上波放送、VOD、インターネットなどのソースを問わず、わかりやすいインターフェイスで選択することが可能になるという。

 また個人や家族の嗜好を自動的に集約し、最適なおすすめコンテンツの情報を提示することや、外出先でニュースやドラマなどの番組内容を確認するなど、それぞれの視聴環境に合わせたコンテンツ配信ができるとしている。

 具体的な機能として、「メディア横断おすすめ視聴」、「テレビダイジェスト視聴」、「ファミリーコンテンツおすすめ視聴」、「ケータイ・TV連携ニュース視聴」の4つを用意する。

「メディア横断おすすめ視聴」サービス

 「メディア横断おすすめ視聴」では、地上波放送番組、VOD、インターネットビデオなどの中から、個人の嗜好に基づいたおすすめコンテンツを自動的に提示したり、放送番組を自動録画できるというもの。

 「テレビダイジェスト視聴」は、KDDI研究所の独自技術「新形式の要約コンテンツ生成技術」を用いて、番組内容に沿う静止画画面と番組に含まれる字幕を表示していく機能で、ニュースやドラマなどの番組内容を紙芝居風に短時間で確認できる。


「テレビダイジェスト視聴」。あらかじめ録画しておいた番組を紙芝居風に自動要約し、携帯電話に保存することが可能。動画から抽出したサムネイルと字幕で表示される

 「ファミリーコンテンツおすすめ視聴」は、家族の好みを自動的に収集して、テレビ画面に家族の嗜好に合ったコンテンツ情報を提示するもの。さらに個人の携帯電話にも、ひとりひとりの好みに合わせた番組関連情報を提示することができる。

「ファミリーコンテンツおすすめ視聴」。家族の好みを自動的に集約して、携帯電話やリビングのテレビなどに「おすすめ」として表示する

 「ケータイ・TV連携ニュース視聴」は、携帯電話で閲覧したニューステキストに該当する映像シーンを、家庭内のレコーダに記録されているニュースや情報番組から抜き出し、テレビ上で再生するもの。例えば帰宅途中に電車の中でチェックしたニューステキストの気になるシーンを、帰宅後にテレビ上で見ることができる。

「ケータイ・TV連携ニュース視聴」。携帯電話上で閲覧したニューステキストの該当映像シーンを、録画済みニュース番組から抜き出して、テレビ上で再生する

「1Gbit/s高速赤外線通信(Giga-IR)」

 また参考出展として、携帯電話などの端末に赤外線通信を使って大容量データを高速転送できる技術「1Gbit/s高速赤外線通信(Giga-IR)」も発表。従来の赤外線通信規格(4Mbit/s“IrSimple”)と比較して、250倍速の転送を実現し、100MBの動画なら1秒で転送できるとしている。

 さらに、USB 2.0通信のワイヤレス化を図る技術も参考出展した。携帯電話やの音楽転送などに利用できる。ともに実用化や商品化の時期や価格などは未定としている。なお、いずれの技術もローム株式会社とイーグローバレッジ株式会社との共同で開発を行なっている。


専用ホームサーバーから赤外線通信へ端末に高速ダウンロードが可能参考出展されたGiga-IR対応端末商品化の時期や価格などは未定

□関連記事
【9月29日】KDDI、携帯やTVを連携させた新コンテンツ視聴サービス
-プラットフォームを開発。嗜好に合わせた番組情報提示
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090929_318251.html


(2009年 10月 7日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]