エプソン、ビジネス用で初の「C2FINE」液晶プロジェクタ

-WUXGAパネルの「EB-Z8000WU」など。色再現も向上


1,920×1,200ドットパネル搭載の「EB-Z8000WU」

11月下旬より順次発売

標準価格:オープンプライス


 エプソンは、ビジネス向けプロジェクタ「オフィリオ」の新製品として、1,920×1,200ドットのC2FINE液晶パネルを採用した「EB-Z8000WU」など2モデルを11月下旬より順次発売する。

 価格はオープンプライスで、想定価格と発売時期は、1,920×1,200ドットパネルの「EB-Z8000WU」が220万円前後で11月下旬発売、1,280×800ドットパネルの「EB-Z8050W」が120万円前後で12月下旬発売。

 講堂や大会議室などの天吊り向けの高輝度モデル。明るさは「EB-Z8000WU」が6,000ルーメン、「EB-Z8050W」が7,000ルーメン。いずれも、同社シアタープロジェクタに搭載されている、無機垂直配向のC2FINE技術を採用した新開発液晶パネルを搭載。コントラスト5,000:1(オートアイリス利用時)を実現し、黒の締まりなど明るさ以外の高画質投写も追求した。

 パネルサイズと解像度はZ8000WUが0.94型/1,920×1,200ドット、Z8050Wが0.95型/1,280×800ドット。Z8000WUはフルHDのドット・バイ・ドット表示も可能。「エプソンシネマフィルタ」を搭載し、色再現性を向上する「シアター」、「sRGB」モードも利用でき、大学の講義や、学会などで動画を高画質で再生するといった利用を想定している。また、Z8050Wのみの機能として、テレビ会議時などに、インターネット経由でPC画面を遠隔地に転送できる「ネットワーク画面転送」も搭載する。

1,280×800ドットパネルの「EB-Z8050W」C2FINE液晶パネルをビジネス向けで初めて搭載設置イメージ

 レンズは光学1.61倍ズーム(F1.65~2.51/f=36~57.35mm)で、ズーム/フォーカスは電動。オプションで5種類の交換レンズを用意する。マウントは新たにバヨネット式を採用し、簡単に交換できるとしている。レンズシフトは上下70%、左右20%の範囲で行なえる。天井(真上±10度)や床(真下±10度)などの投写にも対応。

 ランプは同社初という2灯式で、330W出力のUHEランプ2基を使用。1つのランプが消えた際も、もう1つだけで投写を続けることができる。冷却方式は空冷に加え液冷方式も採用し、動作温度0~45度を実現した。

レンズマウントはバヨネット式オプションのレンズは5種類を用意2灯式を初めて採用。一方が消えても投写が続けられる

 入力端子は共通で、HDMIとDVI-D、S映像、BNC(5/1)、アナログRGB(D-Sub 15ピン)が各1系統。アナログRGB(D-Sub 15ピン)出力も装備する。制御用にRS-232CとEthernet、有線リモコン用端子を備える。

 メンテナンスの面では、吸気口を側面に集約した「ストレート吸排気システム」と、ホコリの侵入を抑える大型静電フィルターを採用。フィルターは、一般的な環境で1万時間メンテナンス不要としている。ランプ交換は背面から行ない、工具無しで交換可能。また、本体は購入後3年間の保証付きとなっている。

 消費電力(使用時/ネットワーク監視時/待機時)は、Z8000WUが942/11.2/0.3W、Z8050Wが938/10.2/0.3W。外形寸法と重量は共通で、534×734×167mm(幅×奥行き×高さ)、約22kg。ワイヤレスリモコンが付属する。

入出力端子部は前面に天吊り用の取付金具は、低天井用(手前)と高天井用(奥)の2種類を用意する付属リモコン


■ 高輝度モデルでもシェアNo.1へ

エプソン販売の中野修義氏

 同社はこれまで特に5,000ルーメン以下のモデルに強く、14年連続で国内シェアNo.1(富士キメラ総研調べ/'95~'09)となっている。一方で、5,000ルーメンを超える高輝度モデルの市場は台数では4.3%ながらも金額で14.0%を占めると見ていることから、今回の製品で、この分野のシェアを獲得することが狙い。

 エプソン販売株式会社 取締役 マーケティングセンター長の中野修義氏は画質性能について「他の方式ではできない色合いが再現できている」と自信を見せる。また、業界最長という3年保証や、メンテナンス性の高さなどから「販売店、ユーザーのどちらにとってもいい商品ということをアピールする。来年度にはこのセグメントでもシェア30%以上でNo.1をとりたい」とした。

 なお、同日には小型モデルなど5製品のラインナップ追加も発表された。プロジェクタ市場全体で見ると、昨今の景気悪化で'09年度は落ち込むと見ているが、'10年度以降は10%の伸びを見せると予測。特に海外における政府の景気刺激策として、教育分野の予算が増える傾向にあり、それがプロジェクタの需要を牽引しているという。セイコーエプソン株式会社 映像機器事業部 副事業部長 森山佳行氏は、同社が中国で行なっている生産について「今月~来月(10~11月)は、始まって以来の生産量となる」と好調ぶりをアピールした。

新モデルの投入で、高輝度モデルのシェア拡大を図るプロジェクタ市場の今後の予測セイコーエプソンの森山佳行氏


(2009年 10月 27日)

[AV Watch編集部 中林暁]