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PS3用地デジチューナ「torne」を体験してみた

−驚異的な動作速度。人気番組一目でわかる「トルミル」


torne

3月発売

標準価格:
 「チューナ単体」 9,980円
 「250GB PS3とセット」 42,800円

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は21日、PlayStation 3に接続することで、地上デジタル放送の視聴・録画が可能になる、地デジレコーダキット「torne」(トルネ/CECH-ZD1J)を報道関係者向けに公開した。

 「torne」は、3月に9,980円で発売予定のPS3用地デジチューナ。単体発売のほか、「torne」をセットにした『「プレイステーション 3」地デジレコーダーパック』(CEJH-10010)も、同日に42,800円で数量限定で発売される。

 ここでは「torne」の写真や動画を交えながら、実際に使用する手順を追いつつ、体験会で明らかになった詳細情報をお届けする。


■ 名前の由来は「録るね」と「トルネード」

 製品は外形寸法100×112×24mm(幅×奥行き×高さ)、重量約130gのチューナユニットと、専用アプリを収録したBD-ROMで構成される。本体とPS3はUSBで接続し、USBバスパワーで動作。地上デジタル放送の視聴、録画、録画番組の再生は専用ソフトから行なう。接続用USBケーブルとアンテナケーブル、B-CASカードも付属する。

 torne本体を実際手にしてみると、非常に軽く、手のひらに乗るサイズ。表面の質感は新型PS3とほぼ同じで、横に置いても違和感が無い。入出力端子はシンプルで、前面にUSB端子、背面にアンテナ端子を装備。スルー出力も備えており、分配器などを使わずに、テレビやレコーダなど、既存機器の間に接続できる。

パッケージ 新型PS3と良く似た質感 サイズ比較。手前はPSP go

 B-CASカードスロットは底面に備え、背後から挿入する形となる。なお、PC用地デジチューナなどで採用されているminiB-CASカードを採用しなかったのは、「開発開始の段階では存在しなかったため。また、アンテナの入出力を備えようというのが企画の段階からあり、端子のスペースは必要になるため、ハードウェアをあまり小さくしなかった」(ソフトウェアプラットフォーム開発部 開発リーダーの石塚健作氏)ためだという。

動作中は前面が緑に光る
録画中は赤に光る
背面のアンテナ入出力 B-CASは底面に挿入する

 チューナをPS3に繋ぎ、付属ソフトをインストールすると、PS3のXMB(クロスメディアバー)の中に「テレビ」という列が新設され、そこにtorneアプリのアイコンが登場する。なお、torneの使用に際してPS3本体のファームアップも検討されているが、ソフトをインストールしていないPS3には、ファームアップしてもtorneアプリは表示されない。なお、torneの複数台接続には対応していない。

 torneを接続した上で、torneアプリを起動(接続していないとアプリは起動できない)。白い画面に円形のアイコンが並ぶ、トップメニューが現れる。バックには、録画済み番組のサムネイルがアイコン化され、左下から右上へ、風に吹かれて飛んでいくようなビジュアルが流れている。これは実際に録画されている番組から生成されたサムネイルを用いたもので、しばらく操作しないと中央の円形アイコンメニューが消え、背景ビジュアルのみの表示になる。「リビングに置いていても、カッコイイと思ってもらえるようなデザインを追求した」(JAPANスタジオ 制作部 ゲームデザイナーの西沢学氏)という。

 なお、torne(トルネ)という製品名には「録るね」という意味に加え、高速動作をイメージさせる「トルネード(竜巻)」という意味も含まれており、録画番組が竜巻のように流れていくイメージが、その由来を想起させる。

torneのトップメニュー 背後で飛んでいるのが録画済み番組のアイコン

■ 人気番組が一目でわかる「トルミル」機能

 メニュー画面は1080p。メニューには「地デジ視聴」、「番組表」、「番組検索」などの主要機能が用意され、コントローラーの上下で選び、選択する。操作には別売のBDリモートコントローラーも使用可能。「地デジ視聴」を選ぶと、白バックに放送局名と番組名が書かれたエフェクトが一瞬表示された後、放送画面が表示される。チャンネル切り替えスピードは2秒弱。

 石塚氏によれば、テレビ表示にはYUV形式を採用し、ノイズリダクションや1,440×1,080ドットの地デジをフルHDに綺麗にアップスケーリング表示する処理など、表示品質にこだわって開発したという。なお、音声は放送がAAC音声でもtorneでリニアPCMのステレオ/5.1chに変換して出力される。ただし、PS3はリニアPCM 5.1をドルビーデジタルやDTSなどに変換して出力する機能も備えているため、再変換して光デジタルで5.1ch音声を出力する事もできるという。

番組視聴中の画面 下部に裏番組の情報を表示。右下の人形アイコンが、現在視聴中の人数を表示したもの。吹き出しのように上部に現れているのが、予約録画数



高画質版

 視聴中に「○」ボタンを押すと、画面下部に現在放送されている番組のEPG情報が表示される。番組枠には番組の残り時間が色で表示され、瞬時にその番組が放送開始したばかりなのか、もう終わりそうなのかが判断できる。EPGは左右だけでなく、上下で時間の移動も可能。

 PS3ならではの機能として、「トルミル」機能がある。これはPSN(PlayStation Network )にログインしていると利用できるもので、サーバー経由で、現在torneで番組を視聴している人の数を、番組枠の下部に人形アイコンで表示するというもの。さらに、番組枠の上に吹き出しで「245トル」、「10トル」といった“トル単位”の数字も表示。これは「その番組を録画予約している人の数」を示したもので、こうした情報から「多くの人が観ている、録画している番組を選ぶ」といった使い方が可能になる。

 「△」ボタンを押すと、放送画面が左側に縮小表示され、機能メニューが右側に現れる。ここからは、視聴中の番組を録画したり、EPGを全画面表示したりと、他の機能に移動できる。なお、録画は「スタート」ボタン、EPG全画面表示は「□」ボタンと、メニューを出さずにダイレクトに機能を使用する事もできる。

 左に視聴画面、右側にWebブラウザを呼び出す事も可能。放送中に気になった事を検索できるほか、EPG全画面表示中などもブラウザを呼び出せ、番組内容などを検索できる。


視聴画面からメニューを呼び出し 番組を見ながらWeb検索が可能。ブラウザのみを拡大表示する事もできる

■ 超高速なEPG

高画質版

 EPG画面はtorne最大の特徴と言っても良いもので、1週間分の番組情報を非常に高速に閲覧する事ができる。コントローラーのL1、R1ボタンで表示範囲を切り替えでき、一画面に最大9チャンネル/24時間分表示から、最小3チャンネル/1時間表示の拡大までが可能。拡大/縮小スピードは非常に高速で、まったくストレスがない。

 また、アナログスティックを上下に倒すと1日単位での移動も可能。EPG内の移動は非常に高速で、例えば上下ボタンを押しっぱなしにしてスクロールさせると、眼で追えないほどの速さでスクロールする。こうしたスクロール/拡大縮小の感覚は、PS3のXMBから、静止画ファイルを選択/表示している感覚とほぼ同じだ。


一画面に9ch、24時間分表示 最高ズームの3ch表示

 番組検索機能も高速。ジャンルやキーワードで絞り込みが可能だが、左側のメニュー欄で指定すると、右側に検索結果が瞬時に表示される。結果は表示順を変更でき、名前や放送順などに加え、前述の「トルミル」情報を使い、「録画予約している人数が多い順」といった表示も可能。ジャンル検索結果に対して、ソート順を変更できるため、例えば「アニメで予約している人が多い順」といった表示もできる。

番組検索画面。左にジャンルやキーワードを指定する欄があり、入力すると結果が瞬時に右側の番組リストに出る リストをジャンルや予約録画数など、様々な条件でソートできる

 番組表から「○」ボタンを押すと、その場で録画予約が可能。予約した番組にはEPG上でオレンジに色がつく。1回のみ録画、毎回録画、毎週録画も選択可能。放送時間が変更されても、タイトルでの追跡録画をしてくれる。ゲーム中やPS3が起動していない状態でも録画が可能。ゲーム中などは画面右上に「録画を開始/停止しました」などの状況メッセージが出る。

 なお、60GBモデル(CECHA00)、20GBモデル(CECHB00)でPS2用ソフトを使っている場合は、録画機能は働かない。また、PS3用ゲームのプレイ中録画に関して、SCEは「同時に使用するソフトや周辺機器の仕様によっては正常に動作しない可能性がある」としているが、石塚氏によれば「PS3用ゲームならば、ほぼ全て問題なくプレイ中に録画できると考えていただいて問題ない。ただ、例えばHDDが故障ぎみでアクセスの負荷があがっていて、ゲームのHDD書き込みとタイミング的に重なると、録画のコマ落ちが発生するといった事はあるかもしれない」という。

EPGから予約録画しているところ 番組検索からも予約が可能
録画するHDDも選択する
毎回録画、毎週録画も可能

 録画先は本体HDDに加え、USBで外付けしたHDDにも行なえる。HDDは使用前に登録が必要で、最大8台まで登録可能。USBハブを使って最大4台まで同時接続も可能。なお、録画済み番組を内蔵HDDから外付けHDDに移動させたり、外付けHDD間で移動させる事は可能だが、外付けHDDからPS3内蔵HDDに移動する事はできない。

 また、録画番組の再生は、録画に使ったtorneとPS3と接続している時のみ可能。ただし、例えばPS3が故障し、新しいPS3を買った場合などは、ファームウェア3.15で実装したデータ転送機能を用いて、古いPS3から新しいPS3に録画済み番組や登録したHDD情報などを移すことができ、新PS3でも、以前のPS3で録画した外付けHDDの番組を再生できるという。予約録画件数は最大50件。最大1,800件の番組が保存できる。

 扱えるHDDはFAT/FAT32でフォーマットしたもので、先頭パーティションが使用可能。4GBを超えるファイルは分割保存されるが、ユーザーがそれを意識する場面はないという。

【2009年12月10日】SCE、2台のPS3間でLAN経由でのデータ転送に対応
−スカパー! HD録画ディスクの再生にも対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20091210_334853.html


■ PSPに書き出し、PSPからの視聴/操作も可能

 録画番組の再生は1.5倍の音声付き早見再生や、10倍、30倍、120倍の早送り/巻戻しも可能。約30秒のフラッシュ送り、15秒の戻しも使用でき、1分や10分など、指定間隔でサムネイル表示を作ってジャンプする「シーンサーチ」も使用できる。番組を見ながらWebブラウザを呼び出すことも可能。

録画番組再生中の画面。シーンサーチも使用できる 録画番組もジャンルなど、様々な条件でソートできる

 録画済番組はPSPに書き出す事もできる。書き出しの品質は、解像度はPSPに最適化した480×272ドットで、MPEG-4 AVC H.264 MainProfile。ビットレートは1Mbps、512kbpsから選択できる。変換も書き出し時に行なうため、書き出しは、番組時間に対して2.3〜2.5倍速程度の速さになる。

 PSP用動画の変換を転送時ではなく、事前に行なう事はできない。また変換/転送中にゲームなど、他の機能を使用する事もできない。ただし、複数番組を選択して連続して変換/転送する事はできる。

PSPのリモートプレイから全ての機能が利用可能

 PSP用のAVC変換は可能なものの、地デジ録画はストリーム録画(DRモード)のみとなり、AVCで圧縮しながら録画する機能は無い。将来的な可能性について石塚氏は「今のところは未定。AVCの変換はCELLのパワーを使っても重い処理である事と、基本はゲーム機であり、あくまでゲームの処理にプロセッサやメモリのパワーを提供し、残った能力で録画を実現しているため」だという。

 書き出しはダビング10のルールに沿っているため、最大9回に制限される。最後の1回は書き出すことができない。また、ソニーのBDレコーダなどで採用している「おかえり転送」機能は無く、書き戻してダビング回数は復活しない。なお、PSPに転送した動画はマジックゲート形式で保護され、PSPのXMBから再生する形になる。

【お詫びと訂正/2010年1月22日】
 記事初出時、PSPに転送した動画をPS3のHDDに書き戻せると記載しておりましたが、書き戻せませんでした。お詫びして訂正させていただきます。

視聴履歴を使ったチャート表示
 PSPはリモートプレイでtorneを操作する事も可能。PSPから番組視聴、録画番組再生、EPG操作など、PS3と同じ機能が利用できる。ただし、インターネットを介したリモートプレイはできない。

 ほかにも、視聴履歴を集計し、チャート表示する機能も装備。良く見る放送局や、番組ジャンルなどが確認できる。さらに、ゲーム的な機能として、トロフィー機能に対応。ゲームクリアの証などで提供されるトロフィーだが、torneでも視聴状況などに沿って、色々なトロフィーが提供されるという。


■ 「PS3で地デジを楽しむとは、どういう事なのかを考えた」

右から商品企画部の渋谷清人氏、ソフトウェアプラットフォーム開発部の開発リーダー石塚健作氏、JAPANスタジオ 制作部のゲームデザイナー 西沢学氏
 開発は、商品企画部の渋谷清人氏が中心となり、デザインや操作性などはJAPANスタジオ 制作部のゲームデザイナー 西沢学氏が、アプリケーションの開発は、ソフトウェアプラットフォーム開発部の開発リーダー石塚健作氏が率いるチームが担当。同チームはBDプレーヤー機能などを手掛けた面々だ。このように、チューナ制作からアプリケーションの開発まで、全てSCEが手がけており、「制約やわからない事はソニーの方に聞いて解決したという事はあるが、基本は純SCEで作られた製品」(石塚氏&渋谷氏)だという。

 開発にあたって西沢氏は、「EPGなどのレスポンスの良さを追求した。少ないボタンで操作しやすく、ゲームのように使っていて気持ちのいいレコーダを目指した」という。石塚氏も「PS3で地デジを楽しむとはどういう事なのかを念頭に開発した。CELLだから、PS3だから何でもできるでしょう? とふられるのですが(笑)、出来ること、できない事がある。その中で、いかにユーザーがストレス無く、地デジを楽しめる環境を提供できるかを、まずは念頭に置きました。そこで、EPGのスクロールスピードなど、スピードや使い勝手の良さに重点を置きながら開発しました」と語る。

 気になるのはBDメディアへの書き出しや、ウォークマンなどPSP以外のデバイスへの書き出し機能など、将来的なアップデート内容だ。渋谷氏は、「ネットワークを活用した機能、よりゲーム的な機能も含め、アイデアは色々なものが上がっているのですが、スケジュールなどをお伝えするのは現時点で難しい。現在は3月の発売に、いかに間に合せるかという状況です(笑)」とのこと。

 しかし、渋谷氏は「今の段階ではPS3とPSPという、プレイステーションフォーマットの中でtorneを使って欲しいと思っていますが、ソニーの中でのこの商品のポジショニングも確認しつつ、ウォークマンなど、他のデバイスへの対応は、今後のアップデート検討項目には含まれています」と、将来的な対応の可能性を示唆した。 

  なお、SCEでは、一般の人も発売前にtorneに触れる機会を設ける。1月23日〜24日まで、幕張メッセで開催される「次世代ワールドホビーフェア'10 winter 東京大会」や、1月23日からヤマダ電機 LABI 1 池袋モバイルドリーム館 6階、大阪の上新電機ディスクピア日本橋店 1階などで、体験コーナーを用意するという。


(2010年 1月 21日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎]