パナソニック、2010年度第1四半期は大幅な増収増益
-3Dテレビは計画の3倍、テレビ事業の黒字化は下期か?
また、三洋電機を除いた比較では、売上高は前年同期比10%増の1兆7,537億円、営業利益は990億円増の788億円、税引前利益は1,347億円増の829億円、当期純利益は938億円増の408億円と、実質ベースでも成長していることを示した。
「海外を中心とした2桁増販により、大幅な増収増益を達成。また、BtoBで1,600億円の売上げ増加になっており、電工、カーエレ、FAの貢献が大きい。BtoCでは薄型テレビが貢献している。グローバルで売り上げ増加が見られいる一方、損益分岐点の引き下げにより、収益力の向上、コスト構造が強化されており、売り上げがあがれば、それ以上に利益が伸びる体質になっている。これにより、上期および年間の業績見通しを上方修正する」(パナソニック・河井英明役員)とした。
地域別には、日本が前年同期比4%増の1兆544億円だったが、米州、欧州、中国、アジアでは2桁の成長を記録。海外売上高比率は、三洋電機が加わった効果もあり、前年同期の46%から、51%に高まっている。地域別の売上高は、米州が12%増の2,860億円、欧州が10%増の2,238億円、中国が36%増3,045億円、アジアが52%増の2,924億円となった。
「携帯電話が第1四半期の新製品の投入機種数が前年同期に比べて減少したために減収となったが、薄型テレビとカーエレクトロニクスが増収基調を維持。AVC社と光ディスクドライブ事業の業績改善により増益になった」という。
AVC社の売上高は14%増の4,198億円、営業利益は前年同期の189億円の赤字から、157億円の黒字に転換。3Dテレビをはじめとする薄型テレビが好調であること、デジカメが堅調であることなどが要因だという。
第1四半期における薄型テレビの出荷台数は前年同期比55%増の455万台。そのうち、プラズマテレビは前年同期比43%増の201万台、液晶テレビは66%増の254万台となった。「収益力は回復しているが、まだ第1四半期は黒字化していない。下期には黒字化に近づけるようにコスト削減などに取り組んでいく」。
3Dテレビについては、販売台数、金額などは開示できないとしたものの、「第1四半期の計画のほぼ3倍の売れ行きとなっており好調。全世界で年間100万台の販売を計画しているが、順調に推移している」とした。
デジタルカメラは、7%増の513億円。BD・DVDレコーダは9%増の334億円、そのうち、BDレコーダおよびBDプレーヤーは22%増の277億円。ビデオムービーは9%減の151億円となった。アプライアンスの売上高は5%増の3228億円、営業利益が74%増の323億円。
デバイスの売上高は11%増の2,363億円、営業損益が前年のマイナス97億円から118億円の黒字に転換。ノートパソコン、薄型テレビ、自動車関連の需要が引き続き良好で、一般電子部品、半導体、電池が好調だという。
電工・パナホームは売上高が9%増の3,912億円、営業損益がマイナス78億円から83億円の黒字に転換。三洋電機の売上高が4,130億円、営業利益が50億円。その他事業の売上高は35%増の2,754億円、営業損益は9億円の赤字から128億円の黒字に転換した。
一方、2010年度の連結業績予想を上方修正。上期売上高は1,700億円増となる前年比31%増の4兆3,700億円、営業利益は860億円増の1,400億円、税引前利益は910億円増の1,200億円、当期純損益は530億円増の550億円とした。
また、通期では、売上高は1,000億円増の前年比20%増となる8兆9,000億円、営業利益は600億円増加の3,100億円、税引前利益は600億円増の2,100億円、当期純利益は350億円増の850億円とした。
上期の修正に比べて、通期の修正率が低いが、「新興国を中心に回復基調にあるものの、欧米の先行き不安があ。下期の円高や原材料価格の高騰などが見込まれることから慎重に見ている」という。
(2010年 7月 29日)
[Reported by 大河原 克行]