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ブラザー、網膜ディスプレイ「エアスカウター」初披露

−視野を妨げず、1m先に16型の映像。年度内に事業化


Brother World JAPAN 2010

 ブラザー販売は15日、プライベートショー「Brother World JAPAN 2010」を開催。今年度に事業化予定とするメガネ型網膜走査ディスプレイ「AiRScouter」(エアスカウター)を初披露した。

 エアスカウターは、目に入れても安全な明るさの光を網膜にあて、その光を高速で動かすことによる残像効果を利用したメガネ型ディスプレイ。透過型ディスプレイのため視野を妨げることなく、目の前(1メートル先に16型相当)に映像が存在しているように感じられる。そのため、工場などで両手を使いながらのマニュアルを見て作業したり、流通拠点においてディスプレイを持たずに、次の作業を案内するなどの用途が想定されている。

 実用化は、2010年度内の見込み。価格は未定だが、物流や工場などのシステムとともにソリューション展開する予定で、単体販売は行なわない。


エアスカウター レーザー光をミラーに反射し、網膜にあてる 網膜にあたると映像として認識される
ディスプレイ部 メガネに装着

 同社のレーザープリンティング技術開発で蓄積された光学システム技術や、インクジェット方式のプリンティング技術で培った圧電方式(ピエゾ方式)技術などを応用。レーザー光を走査する光学システムの設計を改善して画質の向上を図り、鮮明な画像を実現するとともに、メガネに取り付け可能な小型化を実現したという。

 専用の画像送信ユニットと、メガネに装着するディスプレイ部で構成。送信ユニットとディスプレイの間は映像伝送用の光ファイバと制御用信号線からなるケーブルで接続する。送信ユニットに入力した画像はレーザー光としてディスプレイから出力され、網膜にあてて映像として認識させる。

利用イメージ。映像を見ながら、視点方向の店舗情報をディスプレイでオーバーレイ表示 頭を回すと、その方向の店舗情報を表示する。なお、今回の展示機には位置や向きを検出する機能は備えておらず、パートナーのソリューション次第でこうした利用も可能という将来の活用事例のデモとなっている
工場の作業時にマニュアルをディスプレイに表示。作業を続けながら、マニュアルを閲覧できる

 画素数としては800×600ドット相当で、フルカラー表示に対応。輝度は約600cd/m2。視野を妨げず映像を見ることが目的のため、画角の調整はできない。ただし、1m先/16型相当という画像位置/サイズは、光学系やレーザーの調整などで、用途にあわせて、ある程度変更可能という。

 レーザー光を網膜に直接あてるということで安全面に不安も感じるが、「安全基準より2ケタ弱いレーザーを走査しており、複数の保護回路を搭載するなどで安全性を確保している」という。なお。今回のデモでは、送信ユニットの撮影は不可となっていたが、アナログRGB入力した映像を表示していた。実用化時には送信ユニットにバッテリを搭載予定で、4時間程度の駆動が可能になる見込み。

 専用メガネでの利用を想定。メガネの上から掛けられるタイプのものも用意しているという。また、左目/右目のディスプレイ切替も可能となっている。

NECは無線LAN対応のウェアラブル端末とエアスカウターによるソリューションをアピール

 会場では、GPSや位置センサーとの併用を想定し、実際の店舗情報を視界にオーバーレイ表示するAR(拡張現実)的な活用を提案。デモ機で位置センサーなどは入っておらず、将来的なソリューションの一部としてアピールしていた。

 また、NECは一体型のウェラブル端末「Tele Scouter」とエアスカウターを組み合わせたソリューションを提案。物流現場などで無線LAN経由で、作業員のエアスカウターに映像を伝送。作業員はディスプレイに表示される次の作業や工程を確認しながら、ピッキング作業が行なえるという。



(2010年 9月 15日)

[ AV Watch編集部 臼田勤哉]