ミニレビュー

基準が上がったスタンダード。99800円からの「iPhone 17e」レビュー

iPhone 17e。新色のソフトピンク

アップルが3月11日に発売する「iPhone 17e」のレビューをお届けする。

昨年「iPhone 16e」が発売されて以降、この季節には「もっとも手に入れやすいiPhone」が出ることになったようだ。今年のモデルも基本的な中身を引き継いでいるが、より「基盤としての完成度が上がった」印象が強い。

2年目の低価格スタンダード。新色も追加

iPhoneにおけるeシリーズは、数字だけがついたiPhone、現在ならiPhone 17に続くスタンダード、といったところだろうか。

過去、この領域は「iPhone SE」シリーズがカバーしていた。

iPhone SEは、発売タイミングからみて過去のボディ設計を利用して作られた低コスト版、という意味合いが強い。毎年更新されるとは限らず、「数年売り続けるベースモデル」的な印象だ。その結果として、安価なiPhoneを求める人や、指紋認証を含めた過去のiPhoneでメインだったテクノロジーを求める人に向いた製品、というところもあった。

だが昨年発売の「iPhone 16e」からは、位置付けが変わった。スタンダードシリーズの設計でカメラを減らすなどのコスト削減を行ない、同じようなスタンダードでありながら、コストはさらに抑えたモデル、という位置付けだ。

こうした選択がなされたのは、アップルにおけるハードウェア選択の変化、という意味合いが強い。

Apple Intelligenceに向けてCPU・GPU・メモリー搭載量を強化していく必要はあったし、通信モジュールとしても、アップル独自開発の「C1」シリーズに変更していく戦略もあった。だからSEから「e」に変わり、毎年発売される低価格スタンダード、という形に変わったわけだ。

iPhone 17eも、2年目として同じ路線を進む。

16eはホワイトとブラックの2色だったが、今年はソフトピンクを追加した。今回テストしているのもソフトピンクだが、淡く、春らしいいい色だ。

ソフトピンクの外箱。春らしいデザインだ
本体正面
本体右側。電源ボタンだけがあり、カメラコントロールはない
本体左側。アクションボタンとボリューム(上下)がある
上面。アンテナのための切り欠きがあるだけ
底面。もちろんUSB-C。

同時に用意されているアクセサリーであるケースやクロスボディストラップもカラーが変わった。本体と同じソフトピンクに加え、より華やかな色合いのブライトグアバが追加された。今回レビュー機材とともに貸し出されたのはブライトグアバだが、悪くない取り合わせだと感じる。新色のケースは、他のiPhone 17シリーズ向けにも提供される。

ケースとクロスボディストラップの新色「ブライトグアバ」。パッと艶やかな赤だ

eSIMのみの構成に。MagSafeも搭載

性能は後述するが、機能としては細かい変化がある。

まず、SIMカードスロットがなくなり、eSIMのみになった。他のiPhone 17シリーズと同様の展開で、日本では今後、物理SIMカードスロットを備えたiPhoneの新製品は出ない、と考えていいだろう。

最初に行なう物理SIMからの移行では戸惑うこともあるだろうし、携帯電話事業者の変更を伴うと注意が必要である点も変わらない。だが、使い始めてしまえば特に不便があるわけでもない。1つの流れとして理解しておくべきかもしれない。

表面を覆うガラスは、iPhone 16は「Ceramic Shield」と呼ばれるものだったが、さらに硬い「Ceramic Shield 2」になっている。iPhone 17と同じものなので、ここも「世代を合わせた」といっていい。

使い勝手の面で大きいのは、iPhone 16eでは搭載されていなかったMagSafeが、17eでは搭載になったことだ。だから、「マグネットで止める」タイプのアクセサリが使いやすくなる。ワイヤレス充電については、iPhone 17が「最大25W」であるのに対し、iPhone 17eは「最大15W」。16eに比べ倍になり、充電速度はあがったが上位機種ほどではない……というところだろうか。

性能はiPhone 16超え。ストレージ256GBでかなりお得に

SoCについては、iPhone 16eの「A18」から、「A19」になった。アーキテクチャ的にはiPhone 17世代に合わせた形になる。

Geekbench 6でのベンチマーク結果は以下の通り。CPUコアは同数だが、GPUコアはiPhone 17に比べて1つ少なく、その分性能が落ちている。とはいえ、iPhone 15 Pro(2023年秋発売)やiPhone 16(2024年秋発売)よりも性能は上で、今の水準でも決して「性能の低いスマホ」ではない。

Geekbench 6でのCPUスコア。赤枠内がiPhone 17e。iPhone 16を超えるくらいだ
Geekbench 6でのGPUスコア。同じく赤枠内がiPhone 17e

しかも、ストレージは最低128GBから、倍の256GBになっている。

99,800円から、という価格は「超安価な製品」という位置付けではない。しかし、性能向上・ストレージ倍増などの要素を考えると、10万円で買えるスマホとしてはかなり優位で、意外と長く使える製品と考えていい。

特にゲームについては、このクラスの性能を持っているスマホはもう少し高価なものが多いため、3Dグラフィックスを多用するものでも安心して遊べる。その点も、学生向けとしては良い。ライバルのPixel 10シリーズが、ことゲームについては性能が低いため、重要な差と言える。

ディスプレイは120Hz対応ではないものの、画質は十二分に良い。

カメラはディテールに変化はあったものの、大きな性能差はない。広角がないこと、フロントカメラが画角を自動調整する「センターフレームフロントカメラ」ではない点は注意が必要だ。

背面のカメラは1つ。写りは十分だが、広角がない点はiPhone Air同様留意が必要

価格を抑えた機種なりの割り切りはあるのだが、iPhone 16eに比べるとカットされた機能も減り、ストレージが増量したのは大きな変化と言える。お買い得さは増した。

日本だと約10万円になるが、アメリカ価格は599ドルから。現地の相場イメージとしては、「6万円を切る」的なところだろう。

これはかなり頑張った値付けだ。日本でも各社が販売を繰り広げるので、意外と安く手に入るかもしれない。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、AERA、週刊東洋経済、週刊現代、GetNavi、モノマガジンなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。 近著に、「生成AIの核心」 (NHK出版新書)、「メタバース×ビジネス革命」( SBクリエイティブ)、「デジタルトランスフォーメーションで何が起きるのか」(講談社)などがある。
 メールマガジン「小寺・西田の『マンデーランチビュッフェ』」を小寺信良氏と共同で配信中。 Xは@mnishi41