レビュー

机の上にも乗る約6万円の小さなストリーミングアンプ「WiiM-Amp」が凄かった件

コンパクトで多機能なWiiM-Ampは、デスクトップ・オーディオに好適!

50年以上前に作られたスピーカーである「アルテック/DIG」をお迎えし、デスクトップスピーカーとして使っている不肖 栗原。ですがアンプは別の場所に設置していました。机上に置き場所がないですからね。でもアンプが手元にないと意外と不便なことが多く……。そこで今回、ストリーミング再生に対応するWiiMの小型プリメインアンプ、その名もズバリ「WiiM-Amp」をお借りして、デスクトップで全てが完結できる環境を構築しようと考えました。

プリメインアンプを手元に置きたい

手元にアンプのボリュームが無くて不便さを感じたことありませんか? ナウなヤングの音量調整はリモコンが当たり前なのかもしれませんが、未だにテレビのチャンネルも「回す」と言ってしまう昭和生まれの不肖は、ノブやボタンなどで調整した方が早かったりします。

そんなにボリュームを回すことはあるのか? というと、例えばYouTubeを見ている時、広告の時だけ音量が大きかったり、電話が鳴って音を消したりしたいのです。でもリモコンだと「どこいった?」と、机の上を探すことから始まるわけで……。

ちょっと手を伸ばしたらスグに音量が変えられるようにしたい。でも机の上に普通サイズのアンプを置く場所なんてありません。何か良いものはないかとネットの海を彷徨っていた時、WiiM-Ampを見つけてしまったのです。

コンパクトで多機能なプリメインアンプが6万円以下で買える!

WiiM-Ampの底箱
蓋を開けた様子
右側に電源ケーブルとリモコン
左側にHDMI、RCA、光ケーブル

iPhoneのようなマットな質感の箱を開けると、中には本体、リモコン、簡易マニュアル、電源ケーブルのほか、RCAアンバランスケーブルと光ケーブル、HDMIケーブルまで同梱されています。まず音を出すにあたり、ケーブルなどを別途買いに行かなくてよいのは嬉しいところ。

WiiM-Amp

WiiM-Ampに目をつけた理由は2つ。

ひとつは小さくて多機能であること。大きさは19×19×6.3cm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトなボディに、チャンネルあたり60W(8Ω)のクラスDアンプとストリーマーの機能を詰め込んだというから驚きです。ちなみにD/A変換ICは、音質に定評のあるESS製とのこと。

Mac Miniと並べてみた
重ねてみた

手に取ると本体は金属製で重さは1.8kg程度。ヒンヤリとした塊感から、良い物の予感がします。仕上げはスペースグレーとシルバーの2種類あり、手元に届いたのはシルバー。マットな質感で手触りは良好。見覚えのあるサイズと色だったので、手持ちのMac Miniと比べてみると、実にピッタリではありませんか。イイ感じです!

リアパネルの様子

リアパネルを見ると、アンバランス(RCA)のみならず、HDMI、USB、さらにLAN(RJ-45)、ラインレベルのサブウーファー出力、そしてメガネタイプことIEC 60320-1 C7タイプの電源インレットが並びます。つまりコンパクトな本体内に電源部を内包しているというから驚きます。

またACアダプターを使わないからコンセント回りがスッキリするというユーザーメリットも。さらにBluetoothにWi-Fiといった通信機能も備えているとのこと。いやはや、多機能すぎるでしょ。

スピーカー端子幅が小さいので、バナナプラグがお勧め
ZEN DAC3を使ってPCと接続

意気揚々とケーブルを接続している時、重要なことに気づきました。USB端子がTYPE-Aではありませんか。つまりUSBメモリなどストレージとはつながりますが、PCとは接続できません。これは仕様や記事を斜め読みした不肖の凡ミス。

PCとは手持ちのiFi audioのZEN DAC3を介してアナログ接続することにして接続は完了。もし次期モデルが登場されるのでしたら、PC DAC機能の追加も検討して頂きたいです。

付属のボイスリモコン
Alexaのほか、クロームキャスト、AirPlayなどにも対応

リモコンにマイクがついていたことに驚き。これはAmazon Alexaを介して本機をコントロールするためのもの。独りで「アレクサ、〇〇をかけて」というのが恥ずかしい年齢なので、リモコンはサッサと箱に入れてしまいました。

液晶ディスプレイの下に配置。このためにモニターアームを導入

筆者の場合、ディスプレイの下に置いてみました。実にピッタリの大きさで、ちょっと手を伸ばせばボリュームノブに触れられます。これがやりたかったんですよ。

ボリュームを回すと、白色LEDが灯ります

肝心のボリュームノブはロータリーエンコーダー式で、柔らかなクリック感があります。フロントパネル左側には小さなLEDが並び、それがレベル表示になります。ボリュームノブの押すとミュートがかかり、突然の電話や宅急便でも安心。この機能が欲しかった!

無音が続くと、自動的に他の入力に切り替わります。人によっては煩わしいと思われるかもですが、筆者は好印象。ちなみに自分で入力を切り替える際は、リモコンまたはタブレット端末かスマホにインストールしたアプリで行なうようです。

WiiM Homeアプリをダウンロード。使用料は無料
すぐにWiiM-Ampを認識

続いて手持ちのAndroid/iOS端末に「WiiM Home」というアプリをインストールするだけ。アプリを立ち上げると「対象デバイスのIPアドレスを手入力する」というような事が一切なく、WiiM-Ampを認識します。ネットワークプレーヤーが出始めた約15年前は、PCの知識が必要で、音が出るまで一苦労だったのですが、今はカンタンなんですね。

対応するストリーミングサービスとWebラジオの多さに驚き

アプリを見て驚いたのが使えるストリーミングサービスの多さ。Spotify、Amazon Music、TIDAL、Qobuzは言うに及ばず、Hapsterや各種ラジオ系まで網羅されています。ネットにつなげれば、あとは音楽聴き放題……。凄い時代になりました。

気になるアプリの操作感ですが、これが実にわかりやすくて良心的。何よりひとつのアプリで全ての操作が完結しているばかりか、サクサクと動きます。

1週間ほど試用しましたが、何かの拍子で動かなくなる、再起動を求められることはありませんでした。

グラフィックイコライザー画面
パラメトリックイコライザー画面

機能面を見ていくと、アプリ内にイコライジング機能も発見。グラフィックイコライザーのほか、パラメトリックイコライザーとしても調整できるようになっています。トーンコントロール機能やイコライザー機能を搭載する機械は、かなり減ってしまいました。ですが音楽鑑賞には有用なので、各社とも採用して欲しいものです。

エミライダイレクトでは驚きの税込み5万7,750円

そんなWiiM-Ampに目をつけた理由の2つ目、それは価格。

これだけ多機能だとお高いんでしょ? と思いきや、輸入元の直販サイト「エミライダイレクト」で税込み5万7,750円というではありませんか。その昔、国内メーカー各社からロッキュッパ(6万9,800円)のプリメインアンプが販売されていましたが、それらよりも安くて多機能なのだから、何もいうことはありません。

ですがオーディオ機器は音が命。「そんなに安い製品って大丈夫なの?」とも思うわけです。ましてや近接距離での試聴。大きな期待と小さな不安を抱きながら試聴を始めることにしました。

キレッキレのハイスピードサウンドにゴキゲン

何のためらいもないキレッキレのハイスピードサウンド。クリスピーな音に対する反応の良さが心地よく、陽性のキャラクターと相まって、ノリの良さで聴かせてくれます。音の厚み、楽曲の重なりなどは薄めなのですが、それが切れ味の良さに繋がっていると思います。

CHIC MystiqueをUSB-DACを介して聴いている様子
CHIC MystiqueをLAN入力からも聴いてみた

1970年代のディスコシーンを牽引したCHICが、1992年にリリースしたアルバム「CHIC-ism」から、1曲目のキラーチューン「Chic Mystique」をチョイス。

CHIC「Chic Mystique」(Qobuz)

ナイル・ロジャースが愛用するHitmaker(ストラトキャスター)が紡ぐ軽くて正確なカッティングと、バーナード・エドワーズのファンキーベースが実にゴキゲン!  PC+ZEN DAC3の組合せだと、少しエッジを立たせた明瞭な表現であるのに対して、LAN入力の方が自然なテクスチャーといった印象。いずれにせよ、強炭酸水を飲んだ時のような爽快感で、ハジける音がたまらなくイイではありませんか。WiiMやるじゃないか。では、真逆の曲も聞いてみましょう。

Qobuzで公開中のプレイリスト「AV Watchスタッフセレクト」

Qobuzで公開中のプレイリスト「AV Watchスタッフセレクト」の中にある、「プリーズ・リクエスト」は1964年にリリースされたジャズの大名盤。

オスカー・ピーターソン・トリオ/プリーズ・リクエスト

「オスカー・ピーターソン・トリオ/プリーズ・リクエスト」(Qobuz)

ジャズ喫茶などで聴く濃厚な味わいではなく、フレッシュで活き活きとした音楽表現。まるでセピア色の写真がAI技術により総天然色になったかのようで新しい発見がいっぱいです。

まさに見えるような、という形容がピッタリの高解像度ぶりに、ハイレゾリューションとはこのことか、と思ったりも。「古い音楽は、当時の機械で聴くのがイチバン」という論も一理あります。ですが、古いスピーカーを使っていながら言うのも何ですが、新しい機械で新しい魅力を聴くのも一興ではないでしょうか。

動画コンテンツをWiiM-Ampで愉しむのは絶対にアリです

プリンス/Sexy M.F.を聴いてみましょう

プリンス・ロジャーズ・ネルソンが1992年に発表したアルバム「ラブ・シンボル」の2曲目、Sexy M.F.を、YouTubeとQobuzの両方で聴きました。気が狂いそうなほどのワントーンなオルガンサウンドに乗せて、プリンスが下品な言葉で愛を説くこの曲。打ち込み系と思われそうですが、意外とゴージャズな編成で、ダークでファンキーな魅力に溢れています。

プリンス/Sexy M.F.を、LAN入力のQobuzで聴いてみました

「プリンス/Sexy M.F.」(Qobuz)

Qobuzで聴くと、中間部のホーンセクションの厚み、とろみのあるオルガンサウンド、ギターソロの切れ味に感心。ベースのうねりが少し足りないように感じたので、トーンコントロールで低域を持ち上げると、魅力が一気に倍増。そう、トーンコントロール機能は必要なんですよ。

YouTubeでプリンス/Sexy M.F.のMVを鑑賞
Prince & The New Power Generation - Sexy M. F. (Official Music Video)

音楽だけでなく映像も愉しめるのが、デスクトップ・オーディオのよいところです。1990年頃のミュージック・ビデオは、マイケル・ジャクソンの影響を受けてか、曲の前後にドラマを挟むストーリー仕立ての構成が多いように思います。この曲もその例に漏れません。さらにプリンスのミュージック・ビデオの中において、この楽興のミュージック・ビデオは、かなり力の入った作品に仕上げられています。

その音質はというとQobuzの方が……なのですが、楽曲が始まる前のギャング達とプリンスのやりとりが明瞭で聴き取りやすいではありませんか。映画やYouTube、ゲームをWiiM-Ampで愉しむのは、アリ寄りのアリ。絶対愉しいに決まっている、そんな確信を得ました。

WiiM-Ampは、ストリーミングサービスを使ってみたい人にもピッタリです

小さくて多機能なWiiM-Ampとコンパクトスピーカーによるデスクトップ・オーディオ、実にオススメ

小さくて多機能。お求めやすい金額で明瞭でフレッシュな音が愉しめるWiiM-Amp。価格的に入門機やサブ的な扱いを受けそうですが、それは実に勿体ない話。コンパクトスピーカーとWiiM-Ampで、かなり楽しいオーディオライフが始まることでしょう。

ストリーミングサービスで音楽を愉しんでみたいという方にもオススメ

またストリーミングサービスを試してみたい人にも好適。ネットワークプレーヤー黎明期に痛い目に合った人は、WiiM-Ampで再び初めてみてはいかがでしょう。拍子抜けするほど簡単にセットアップできて操作も簡単。しかも対応サービスが多いことから、自分にピッタリのサブスクリプションサービスを見つけることもできるはず。

スピーカーとネットにつなげたWiiM-Ampだけで音楽が愉しめる。昔よりもオーディオが身近になったかも、そのようなことまで想わせる、本当に大きな掘り出し物でした。

栗原祥光

幼い頃からのオーディオ好きが昂じてステレオサウンドに転がり込んだ元編集者。その後、KADOKAWAに転職し情報誌の編集をした後、現在はフリーランスの名のもと、自動車系ライター、カメラマン、オーディオ評論家みたいなことをする天邪鬼と化している。愛用するスピーカーは、頭金ゼロの60回払いで手に入れたJBLのパラゴン(中期型)。かれこれ25年以上苦楽を共にしていたところ、ふとしたきっかけから、アルテックのブックシェルフスピーカーDIGを手に入れてしまい…… https://x.com/yosh_kurihara