PS3のBlu-ray 3D対応アップデートが9月21日開始に

-TGSで発表。予定より約1カ月前倒し


PS3向けのBlu-ray 3D再生対応アップデートを約1カ月前倒しして、9月21日に提供

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は16日、東京ゲームショウ会場で開催したプレスカンブリーフィングで、これまで10月末とアナウンスしていたPlayStation 3(PS3)向けのBlu-ray 3D再生対応アップデートを約1カ月前倒しして、9月21日に提供すると発表した。

 対応システムソフトウェアのバージョンは3.50となる。

 Blu-ray 3Dの視聴のためには、PS3本体のほか、3D対応テレビやハイスピード対応のHDMIケーブルが必要となる。なお、PS3におけるBlu-ray 3D再生では音声出力に制限があり、音声出力フォーマットがドルビーTrueHDの場合、ドルビーデジタルとして出力されるほか、DTS-HDの場合はDTSとして出力される。また、コンテンツによっては、メニューや字幕などの3D表現が他の再生機器と異なる場合があるほか、BD-J機能が3D再生されなかったり動作しなかったりする場合があるという。

ブースでは実際にPS3でBD 3D映画の再生デモを実施

 同社のブースでは、実際にPS3でBD 3D映画の再生デモを実施。3D表示を体験できるようになっている。 ただし、コントローラで操作する事はできない。

 開発を手掛けた、ソフトウェアソリューション開発部の縣秀征次長によれば、120倍速表示や早戻し再生、1.5倍再生などのトリックプレイ時でも問題無く3D表示が可能であり、3D再生機能を盛り込んだことで2D再生の機能が削減されるような事も無いという。


ブース内のtorne紹介コーナーには、torneのキャラクターとしてTwitterでも人気の「トルネフ」のフィギュアが飾られていた

 さらに、PS3用地デジチューナ「torne(トルネ)」が、裏で番組録画を開始しても、3D再生は継続して行なえるという。

 縣氏によれば、例えば24pの映像が3D化されると、48pの映像を処理する必要が生じるため、「特にメモリのやりくりが大変だった」という。そのため、既存のBDビデオ再生機能をバージョンアップさせたというよりも、「プレーヤー機能のプログラム全体を書き直したイメージで、2D再生機能の消費メモリを低減するなどの工夫で3D再生を盛り込んだ」とのこと。

 なお、前述の3D再生におけるロスレスオーディオ出力時の制限については「現時点はコアストリームを出力するようになっているが、将来的には(制限を)なんとかしたいと考えている」という。

 そのほかのシステムソフトウェアVer.3.50の改善点として、「フレンド」機能で、迷惑メッセージを受信した場合、通報できるようになるほか、Facebook対応ゲームからFacebookに公開している情報にアクセスできるようになる。


 

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの河野弘プレジデント

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンの河野弘プレジデントは、プレスブリーフィングの中で、6月末の時点でPS3のハードウェアが全世界で3,800万台を突破、ソフトウェアも全世界で3億1,000万枚を突破している事を紹介。国内ではハードが500万台を突破。人気ゲーム「FINAL FANTASY XIII」の発売からは特に好調で、500万台の内、200万台は過去1年で記録した数字だという。

 プレイステーションポータブル(PSP)も6月末時点で、全世界6,200万台突破、ソフトは2億6,000万枚を突破。国内でも1,500万台突破しているという。河野氏は「ハードウェアの普及が進み、それによりソフトの売り上げも伸びるという、ポジティブな好循環が生まれている」と説明。こうしたハードとソフトの関係に、PlayStation Network(PSN)を加えた連携を今後も推進していく姿勢を強調した。

国内におけるPS3の普及状況PSPの状況

 さらに、「さらなる加速のために必要な2つの柱」として、「3D」と「PlayStation Move」を挙げる。

 「3D」に関しては、「グランツーリスモ5」に加え、「KILLZONE 3」、「つみきBLOG」、「ハスラーキング」、「絶体絶命都市4」など、対応ゲームのラインナップを紹介。さらに、技術デモ映像という位置付けだが、「みんなのGOLF 5」や、小島プロダクションの新作「メタルギアソリッド:RISING」の3Dトレーラーなども上映した。

 河野氏は今年全世界で販売されるテレビの5%が3D対応に、来年は20%になるという市場予測データを紹介した上で、「(3Dを)ゲームが牽引するのは間違いないが、映画も重要。さらにミュージックビデオなど、音楽業界も3Dに注目している。色々なコンテンツが3Dになっていく。ここで重要なのは、どうやって再生するかということ」と語り、PS3でのBD 3D対応ファームを9月21日に前倒し公開することを発表。

 「この日をもって、国内に500万台を超えるBlu-ray 3D対応プレーヤーが登場する事になる。これはコンテンツ業界にとっても、(3D映像の普及に)大きな追い風になると考えている」と、PS3がBD 3Dに対応する意義を強調した。

PS3の3D対応ゲームのラインナップブース内では実際に、これらの3Dゲームが体験できるコーナーが設けられた

 「PlayStation Move」に関しては、10月21日に発売が迫る中、「ゲームの空間に入り込んで、直感的に楽しめる事が大きな特徴。これにより、PS3の楽しみ方、ユーザー層を広げる事ができる」と魅力を紹介。画面にMoveを使って自由に絵が描ける「Beat Sketch!」や、アクションゲームの「リトルビッグプラネット2」など、多数の対応ゲームを紹介した。

棒状のコントローラーで直感的な操作ができる「PlayStation Move」既報の通り、PSPの新カラーバリエーション「ホワイト/ブルー」(PSPJ-30018)や「ブラック/レッド」(PSPJ-30017)の実機も展示された

 

DUALSHOCK 3 キャンディーピンク

バンダイナムコゲームスは、AKB48のゲーム「AKB1/48 アイドルと恋したら…」を12月23日に発売する。そのプレミア・スペシャル・パック(36,729円)には、ソフトと特別仕様のPSP本体、各種グッズが付属する。PSPのバッテリーカバーにはメンバーのキスマークも

 さらに、PSP用ゲームソフト「モンスターハンターポータブル 3rd」の発売に合わせ、特別仕様のPSP本体「PSP-3000 モンスターハンターポータブル 3rd ハンターズモデル(PSP-3000 MHB)」を12月1日に数量限定で発売する事も発表。カプコンの辻本良三プロデューサーを招き、ゲームにちなんだデザインや大容量バッテリを標準搭載する事など、こだわり要素を解説した。


PSP-3000 モンスターハンターポータブル 3rd ハンターズモデル(PSP-3000 MHB)カプコンの辻本良三プロデューサー(右)も登場した

 ブースではさらに、7月に開発が発表され、9月下旬に無償公開が予定されている、PS3用3D写真管理・鑑賞アプリケーション「プレイメモリーズ」も参考展示。3D表示対応のテレビとPS3をHDMIケーブルで繋ぎ、ソニーのデジタルカメラ、サイバーショット「DSC-TX9」、「DSC-WX5」や、αの「NEX-5」、「NEX-3」などで撮影された3D写真を表示・管理できるもので、3D静止画用のフォーマットであるMulti Picture File Format(MPF)に対応。2DのJPEG画像にも対応するという。

 フレームシーケンシャルで、フルHD(1,920×1,080ドット)での3D写真出力が可能。3D写真でも2D写真と同様に、スムーズな拡大・縮小や画像選択などができるのが特徴。大量の写真でも素早く年・月・日単位でまとめて表示できる。サムネイルの選択メニューなども3D化されているのが特徴。

PS3用3D写真管理・鑑賞アプリケーション「プレイメモリーズ」。メニューも3D表示されている3D画像の拡大・縮小表示も可能

 また、ソニーのデジタルカメラにおける3D撮影は、パノラマ撮影で行なう「3Dスイングパノラマ」がメインである事から、パノラマ画像がライブラリの多くを占める事を考慮。通常の画像管理ソフトの場合、1枚の画像の横幅が決まっているため、パノラマの場合は上下に余白が大きく表示され、肝心の画像が細い線のように見えてしまう事が多いが、「プレイメモリーズ」ではサムネイル枠のアスペクト比をサムネイル画像の比率に合わせて柔軟に変化させ、パノラマ3D画像でも、大きめのサムネイルで中身が確認できるようになっている。

 さらに、3D表示非対応のテレビでも、擬似3D表示が可能。サイバーショットの「DSC-WX5」と「DSC-TX9」で対応している「スイングマルチアングル」で撮影した、多視点の情報を持つ画像を擬似3D表示する。スイング撮影時に、縦方向で分割した短冊状の画像データから、異なる15視点分の画像を作成。カメラ本体のジャイロで傾きを検知しながら、角度に応じた画像を表示するものだが、PS3ではゲームコントローラで動きを検出。コントローラを左右に傾けながら、擬似立体表示が行なえる。

9月30日発売のPlayStation 3用のサラウンドサウンドシステムも展示された。光デジタル音声入力、アナログ音声入力を備えた、一体型筐体のサラウンドシステム。ソニーのバーチャルサラウンド技術「S-Force PROフロントサラウンド」などを採用し、ユーザーの前面に設置するだけで臨場感のあるサラウンドが体験できるという

(2010年 9月 16日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]