ビクター、シネマ画質を追求した3D対応プロジェクタ

-デジタル駆動の弱点を改善したDLA-X7。約50万のX3


DLA-X7

 日本ビクターは、3D対応のフルHD D-ILAプロジェクタ「DLA-X7」と「DLA-X3」を12月上旬に発売する。X7はネイティブコントラスト7万:1の上位モデルで価格は84万円、X3はオープンプライスで店頭予想価格は49万円前後。X3のみブラック(B)とホワイト(W)の2色を用意する。

 3板式0.7型/1,920×1,080ドットD-ILAデバイスを搭載したプロジェクタ。D-ILAデバイスは従来モデルと共通ながら、デバイスを駆動するドライバーや、ワイヤーグリッド、カラーフィルター/光源ランプ(X7のみ)、アパーチャーなどを一新することで、コントラストや明るさ、色再現性を向上したことが特徴。

 3D対応だが、メガネやエミッターなどは別売となっており、「2Dのシネマ画質にこだわった」という。X7とX3の違いは、ネイティブコントラストや接続端子、THXディスプレイ認証の有無などで、X7がネイティブコントラスト7万:1、X3が5万:1。これらは動的絞りなどを使わない1フレーム単位でのコントラスト値となる。輝度はともに1,300ルーメン。


DLA-X7DLA-X3(B)DLA-X3(W)
DLA-X7DLA-X3(B)

 新ドライバICで、D-ILAデバイスをデジタル駆動。新しい駆動方式を導入することで、従来のデジタル駆動方式の弱点とされてきた階調表現(階調段差)や疑似輪郭を大幅に低減した。さらに、倍速駆動技術の「新クリア・モーション・ドライブ」を搭載し、複雑で動きの速い映像に対しても中間フレームを正確に生成するほか、新たに黒挿入モードも搭載し、シーンに合わせた残像感低減を可能にした。

 また、新ドライバでは新しい駆動方式を採用による階調表現の向上とともに、3D表示に対応。ソニーの「VPL-VW90ES」はSXRDのアナログ/240Hz駆動で3Dを実現しているが、DLA-X7/X3では、デジタル駆動のメリットを生かし、120Hz駆動でも3D表示が可能となったという。

新ドライバICなどの採用により、2D画質を向上新ドライバの採用によりなめらかな階調表現を実現X7は、AdobeRGBやキセノンの色再現を実現

 3D方式としては、フレームパッキング、サイドバイサイド、トップアンドボトムに対応する。

 なお、3D表示の用の赤外線送信機(エミッタ)「PK-EM1」と3Dメガネ「PK-AG1-B」は別売となっている。価格はメガネが17,850円、エミッタが9,450円。エミッタから出力した同期信号をスクリーンに反射させ、メガネで受信して3D視聴が可能になる。メガネの重量は56g。エミッタとプロジェクタは専用の3Dシンクロ端子で接続する。

3Dメガネ3Dエミッタ別売のメガネとエミッタで、3Dに対応

 レンズは電動2倍ズームレンズ(F3.2~4)で、レンズアパーチャーにより、絞りを16段階に調整できる。上下80%、左右34%の電動レンズシフト機構も装備する。市販アナモフィックレンズとの組み合わせにより、上下の黒帯を出さずにシネマスコープサイズの映像をスクリーンいっぱいに表示できる「Vストレッチモード」も搭載している。

 ランプは220Wの超高圧水銀ランプ。交換ランプ「PK-L2210U」(25,200円)や、新設計の天吊金具「EF-HT13」(54,600円)もオプションで用意する。

 X7は、専用の映像処理チップを搭載し、Adobe RGB対応や多くの高画質機能を搭載する。専用のカラーフィルターを搭載し、Adbe RGBに対応するなど、色再現範囲を拡大。特に緑や赤、シアン系の色の深みを向上している。加えて、キセノンランプの発色を実現するための色温度設定モードを用意。キセノンの特性を持った発色を実現できるという。

新クリアモーションドライブを搭載。X7は、THXディスプレイ認証申請中X7のみの特徴
画質モードだけでなく、カラープロファイルを選択可能設定画面

 X7は、画質モードとして、フィルム/シネマ/アニメ/ナチュラル/ステージ/3D/THXの各モードを搭載するほか、それぞれにカラープロファイルを設け、色温度やガンマなどの画質調整ができる。例えばフィルムにはKodakフィルム風のFlim1、Fujiフィルムの色域に調整したFlim2などが用意される。X3は、StandardとWide1/2の3種類。なお、X7のみTHXディスプレイ規格を申請している。

 加えて、X7のみR/G/B/Cy/Mg/YeとOg(オレンジ)の7軸の色相/彩度/明度の調整が可能。加えて、フィルムの階調を損なわずにバランスを取れるという「フィルムトーン」や暗部/明部の独立補正機能もX7のみ搭載する。

 また、スクリーンの種類によるRGBの反射特性のバランスを調整する「スクリーン補正モード」を搭載。これは、世界各国のスクリーンメーカーから生地を集め、スクリーンごとのパラメータをプロジェクタに内蔵し、調整可能にするもので、X7には94種類のスクリーン情報を搭載。X3は3種類のみとなる。

スクリーン補正の概要スクリーン補正機能X7は99のスクリーンに対応する

 入力端子はHDMI×2(CEC対応)、コンポーネント×1、リモート×1、トリガー×1、3Dシンクロ×1、RS-232C端子×1も装備。またX7、アナログRGB(D-Sub15ピン)入力×1と、Ethernetを備えている。

 消費電力は350W、騒音レベルは20dB(ランプ標準モード)で共通。また、両モデルとも外形寸法は455×472×179mm(幅×奥行き×高さ)、重量は15.1kg(X7)、14.7kg(X3)。リモコンが付属する。

DLA-X7の背面DLA-X3の背面

 また、発表に先駆けて、福岡(11月5、6日)、大阪(11月5日)、名古屋(11月12、13日)の3会場でDLA-X7/X3の先行視聴会を開催。詳細は同社ホームページで案内している。


(2010年 10月 25日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]