ソニー、3D映像の高画質化が可能な液晶配向技術

-「Hybrid FPA」。応答速度3ms以下を実現


左が5月に発表した「FPA」、右が新開発の「Hybrid FPA」

 ソニーは1日、液晶ディスプレイの高速応答を可能にする新液晶配向技術「Hybrid FPA(Field-induced photo-reactive alignment)」を開発したと発表した。12月1日より福岡で行なわれるディスプレイ関連学会「IDW'10」で2日に発表する。

 新技術により、試作では3ms以下の高速応答を実現。3Dやハイフレームレートの動画表示などの画質向上に寄与するほか、液晶パネル製造や長期間使用時の品質安定性、製造工程・処理時間の短縮による生産性向上などが見込めるという。

 同社は5月に、VA液晶を発展させた高速液晶応答の配向技術「FPA」の開発を発表。今回の「Hybrid FPA」はそれをさらに発展させたもので、応答速度の大幅な向上や高コントラスト化を実現している。

 5月に発表した「FPA」は、液晶の応答速度を向上させるために液晶分子に予め傾き(プレチルト)を付与しておく際に、独自の配向膜により電圧を印加しながらUV光を照射し、プレチルトを保持する技術。液晶分子の配向が均一かつ安定し、高速応答とコントラスト比の向上を実現したほか、ディスプレイのムラや、長期間使用時の焼き付きなども無くせるという。

 新開発の「Hybrid FPA」は、片側の基板の配向膜のみにプレチルトを保持させることで液晶応答速度の向上、特に、従来難しかった電圧オフ時の液晶応答速度の大幅な向上と高コントラストを実現したとしている。

 同技術の早期実用化に向け、電子材料・ディスプレイ材料を手掛けるJSRと配向膜材料について共同開発を推進。JSRの高機能な配向膜材料などにより、開発を加速していくという。



(2010年 12月 1日)

[AV Watch編集部 中林暁]