【CES】ソニー、パーソナル3DとネットワークTVを強化へ

-56型4K裸眼TVや24型裸眼3D有機EL。3Dビデオカメラも


ストリンガーCEO(左)とグリーン・ホーネット出演のセス・ローゲン(左)、周杰倫(中央)

 ソニーは5日(米国時間)のInternational CES前日プレスカンファレンスを開催した。

 他社の前日カンファレンスが、ホテル内(The Venetian)の会場を利用するのに対し、同社はLas Vegas Convention Center(LVCC)のブースで会見を行なうため、会期となる翌日に展示予定の新製品や参考展示品が多数確認できる。

 会見には、ハワード・ストリンガーCEOら、同社エグゼクティブが多数登壇し、新BRAVIAやフルHD 3DビデオカメラやBloggie、3D VAIOなどの新製品を紹介。さらに、ネットワークサービスQriocityの強化などの戦略についても説明した。

 また、メガネ無しで3Dを体験できる、裸眼3Dテレビも3種類を参考展示。46型2Kや56型4Kパネルを採用した裸眼3D液晶テレビや、フルHDパネルを採用した裸眼3D有機EL 3Dテレビなども紹介した。本レポートでは会見の模様を中心にお伝えし、ブースの模様については別記事で、ビデオカメラ関連については小寺氏のレポートでお伝えする。


4Kパネルを採用した裸眼3Dテレビ3Dビデオカメラ「HDR-TD10」720pで3D体験できる有機ELヘッドマウントディスプレイも参考出展

 


■ 2011年は「パーソナル3D」を推進する

会場に入ってきたグリーンホーネットから、ストリンガーCEOが登場

 会場に入場した関係者全員に3Dグラスを配布し、イベントスタートと同時に1月公開予定のSPEの映画「グリーンホーネット」の3D予告編を紹介。すると、ステージの中央が回転し、機関銃などを搭載したグリーンホーネットの車体から、出演者とともにハワード・ストリンガーCEOが登場するという演出で会見がスタートした。

 ストリンガーCEOは、2年間で会社の体質を強化するとともに、ネットワークエンターテインメントを加速したと説明。テレビのネット対応とともに、PlayStation 3のサービス拡充や、Sony Internet TV(Google TV)などの発売で、多くの製品がネットワーク対応を果たした。これにより、PlayStation Networkのアカウント数が6、000万を突破し、40以上の国でサービスを開始。ビデオや音楽配信のプラットフォームであるQriocityについても、テレビや機器の魅力を向上するものとして強くアピールした。

 3Dについては、ハードウェアやソフトウェア、コンテンツが揃ってきたことを紹介するとともに、「2011年は3Dの次のフェーズに入る。3Dはパーソナルなものになる。より多くの高品位な映画、ビデオ、テレビ、音楽、ビューワが3Dになる。3DはもはやSFのギミックではなく、特別な効果でもない。経験やリアリティをそのまま反映するものが3Dになる」と語り、コンテンツの増加とともに、新3Dビデオカメラ「HDR-TD10」や、サイバーショットにおける3D対応などをアピールした。さらに、VAIOでも3D対応モデルを強化する。

3DビデオカメラやBloggieをアピールVAIOの3D化も加速
新3D BRAVIAの最上位モデル「XBR-55HX929」。X-Reality PROを搭載する

 加えて、3D BRAVIAの新モデルも発表した。BRAVIAは、22型65型までの全27機種をラインナップし、2月より順次発売。3D対応は16機種で、インターネット接続可能なモデルは22機種となる。

 上位モデルでは、新高画質回路「X-Reality」、「X-Reality PRO」を搭載。従来と同様のモノリシックデザインを踏襲しながら、最上位モデルの「XBR-55HX929」では、LED制御技術の強化やパネル部の改善などで画質を向上している。

 ネットワーク機能は22モデルが「Video On Demand powered by Qriocity」に対応。最新映画などをVODで楽しむことができる。

吉岡副社長

 吉岡浩副社長は、2011年の3D対応強化について、ビデオカメラやサイバーショットなどの「パーソナルコンテンツ」と、PCやポータブルBDプレーヤーなどの「パーソナルディスプレイ」の2方面で取り組む方針を説明。「3Dがパーソナルになるということで、コンテンツクリエイションの領域も3Dに対応していく。3D Worldを拡大するためには、パーソナルディスプレイも3Dにする。部屋の外でも3Dを体験できる」とし、VAIO FシリーズやLシリーズにおいて3D対応を加速する。

 また、将来の技術として裸眼3Dテレビも紹介。3つのテレビがCESに参考展示する。46型2Kパネルや56型4Kパネルを採用した裸眼3D液晶テレビ、さらにフルHDパネルを採用した裸眼3D有機EL 3Dテレビが出展される。

 いずれも3D方式の詳細や視点数などは非公開だが、46型が2Kパネル、56型が4Kパネルとなるものの、3D表示解像度は720pとのこと。パネルや逆視を抑える映像処理などにソニー独自の工夫が加えられているという。2D表示時にはパネルのフル解像度が生かせる点も特徴としている。有機ELは3Dの表示解像度も非公開。

24型の裸眼3D有機ELテレビ46型2Kパネルを採用した裸眼3D液晶56型4Kパネルを採用した裸眼3D液晶

 さらにプロトタイプとして、2枚の有機ELを搭載した3Dヘッドマウントディスプレイを紹介。CESに参考展示するもので、解像度は1,280×720ドットでパネルサイズは非公開。高画質とクロストークが少ない映像体験が特徴で、高音質なヘッドフォンも装備する。

 10.1型/1,366×768ドットの液晶パネルを採用した裸眼3DのポータブルBDプレーヤーも参考展示。3D方式や3D視聴時の解像度は非公開としている。

有機ELヘッドマウントディスプレイも参考出展裸眼3DポータブルBDプレーヤー
ネットワークを生かしてテレビを「再定義」

 ストリンガーCEOは、3D BRAVIAやSony Internet TVなどに言及しながら、「産業の次の変革をもたらすもの」として、テレビにおけるネットワーク機能の強化を強調。2011年のテレビのテーマとして「Television Redefined(テレビ再定義)」というキーワードを掲げ、Qriocityによるビデオコンテンツ配信などをアピールした。

 加えて、2011年3月末までに、アメリカやカナダでクラウドベースの音楽配信サービス「Music Unlimited powerd by Qriocity」をスタートすることを紹介。テレビの風景を変え、カラー化やHD化に並ぶ大きな変革をもたらすとし、「家電のビジネスを変革する」という。

 プロジェクタ内蔵の「HDR-PJ10V」などのビデオカメラも紹介。新サイバーショットも2モデルが3D撮影に対応。コンパクトビデオカメラ「Bloggie」でも「MHS-FS3」を3Dモデルとして発売する。Blu-rayプレーヤーではBlu-ray 3D対応とともにSkypeやDLNAの対応を強化している。

プロジェクタ内蔵の「HDR-PJ10V」サイバーショットも3D対応Bloggieも3D対応モデル
Xperia Arc

 また、4型液晶を搭載したスマートフォン「Xperia Arc」も紹介。Android 2.3を搭載した最新スマートフォンで、CMOSセンサーのExmor Rを搭載した高画質撮影や4.2型/800×480ドット高精細液晶、モバイルブラビアエンジンによる高画質化などを実現。2011年度第1四半期に発売する予定という。


 


■ ネットワークサービスを強化。対応タブレットも開発中

平井執行役EVP

 平井一夫執行役EVPは、「ネットワークによりソニー製品で統合された体験を提供する」として、PSNとQriocityの2つのネットワークサービスの今後について解説した。

 ゲームについては、グループの3D対応の柱として3D化を積極的に行ない、グランツーリスモや、KILLZONE 3、UNCHARTED 3などをPlayStation 3向けに提供する。

 Qriocityは従来のビデオ配信だけでなく、音楽サービスの「Music Unlimited powerd by Qriocity」を米国で導入するとをアピール。テレビやスマートフォンなどのデバイスを問わずに、ラジオのチャンネルを選ぶように好きな音楽を体験できるクラウド型のサービスとして訴求している。また、Qriocityにおいてもゲームの配信も予定しているという。

 平井氏は、「モバイル領域を強化し、投資も拡大する。単に機器をつなげるだけでなく、消費者の体験を向上するクリエイティブな提案を続ける。サービスと機器を戦略的につなげ、PSNのノウハウを生かしていく。ソニーには強い資産があり、QriocityやPSNと接続するタブレットやスマートフォンなど、幅広い機器を提供する。これはソニーにしかできないこと」とアピール。同社が計画しているタブレットでは、Qriocityのビデオや音楽、電子書籍、ゲームなどが楽しめるようになるという。


ソニーの体験を統合Music Unlimited powerd by Qriocity

(2011年 1月 6日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]