映画「ノルウェイの森」BD化。16分長い特別版

-原作・村上春樹。松山ケンイチ&菊地凛子共演


ノルウェイの森 Blu-ray 【コンプリート・エディション3 枚組】
(C)2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビ

 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)は、村上春樹の小説を原作とし、松山ケンイチと菊地凛子が共演した映画「ノルウェイの森」を6月22日にBlu-ray/DVD化する。価格はBD版が5,990円、DVD版が3,990円。

 BD版は、劇場公開版(約134分)の本編を収めたBDに加え、劇場公開版より16分長い、150分のエクステンデッド版本編を収めたBDも同梱。さらに、特典DVDも付属し、合計3枚組となる。

 特典DVDにはメイキングに加え、イベント映像集も収録。ヴェネチア映画祭、ジャパンプレミア記者会見、ジャパンプレミア舞台挨拶、劇場初日舞台挨拶、台湾プロモーションなどの模様を収める予定。さらに、未公開カット集、プロモーション映像集も収録する。

 DVD版には、約134分の劇場公開版のみ収録。特典DVDも付属しており、内容はBD版に付属する特典DVDと同じ。


 タイトル仕様音声品番価格
BDノルウェイの森 Blu-ray
 【コンプリート・エディション 3枚組】
劇場公開版本編BD×1
エクステンデッド版本編BD×1
特典DVD×1
【本編仕様】
片面2層
劇場公開版134分
エクステンデッド版約150分
シネスコ
聴覚障害者用字幕
(1)日本語
 (DTS-HD Master Audio 5.1ch)
(2)日本語
 (ドルビーTrueHD 5.1ch)
(3)視覚障害者用音声ガイド
 (ドルビーデジタル2.0ch)
BJS-801535,990円
DVDノルウェイの森 DVD
【スペシャル・エディション 2枚組】
劇場公開版本編DVD×1
特典DVD×1
【本編仕様】
片面2層
劇場公開版134分
シネスコ
聴覚障害者用字幕
(1)日本語(DTS 5.1ch)
(2)日本語
(ドルビーデジタル 5.1ch)
(3)視覚障害者用音声ガイド
(ドルビーデジタル2.0ch)
JDD-801533,990円



■ノルウェイの森とは

 '87年に刊行され、一世を風靡した「ノルウェイの森」。現在までに36言語に翻訳され、各国で熱狂的なファン(ハルキスト)を生んでいる小説を、「青いパパイヤの香り」、「シクロ」、「夏至」など、叙情性あふれる映像美で定評があるベトナム系フランス人監督トラン・アン・ユンが映像化。

 ワタナベを演じるのは松山ケンイチ。彼が愛する直子には、菊池凛子が起用された。直子とは対照的な魅力を持つ緑は、本作が演技初体験となるトップ・モデルの水原希子が演じている。

 高校時代に親友・キズキ(高良健吾)を自殺で喪ったワタナベ(松山ケンイチ)は、誰も知っている人間がいない東京の大学に行く。そこで空っぽな日々を送るが、偶然キズキの恋人だった直子(菊地凛子)と再会する。大切なものを喪った者同士付き合いを深めていき、ワタナベは直子に魅かれていく。そして、直子の二十歳の誕生日に二人は夜を共にする。

 ところが、ワタナベの想いが深まれば深まるほど直子の喪失感はより深く大きなものになっていき、直子は結局京都の療養所に入院することになる。そんな折にワタナベは大学で、小動物のように瑞々しい緑(水原希子)と出会う。ワタナベは、直子とは対照的な緑と会うようになり、あるとき緑の自宅で唇を重ねる。

 その後、直子から手紙が届き、ワタナベは直子に会い行く。そこで、ワタナベはギターによるビートルズの「ノルウェイの森」を聴くことになる。それは、直子が大好きな曲だった。彼女はその曲を聴くといつも涙が止まらなくなるのだった……。


 BD版に収録されるエクステンデッド版本編は、BD/DVD発売に先駆け、6月4日から、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、1週間の特別限定公開が決定している。小川真司プロデューサーより、エクステンデッド版と限定上映について、コメントが寄せられている。

 

小川真司プロデューサーからのコメント

 映画『ノルウェイの森』には完成バージョンが二つ存在する。『劇場公開オリジナル版』とこの『エクステンデッド版』である。

  製作された順を時系列で追うと『エクステンデッド版』が先に仕上げられ、『劇場公開オリジナル版』が後に編集された。よくあるディレクターズカット、公開版(プロデューサーズカット)という区別は本件の場合当てはまらない。どちらも監督が編集を行っているため、両方がディレクターズカットといえる。だが、監督はそれぞれのバージョンを完全に異なった方針に基づいて編集を行った。それは非常に繊細な編集におけるニュアンスの部分における選択の方針なのでひとくくりに説明するのは難しいが、あえて結果のみの印象を比べると『劇場公開オリジナル版』はより主人公たちのエモーショナルな部分が強調されており、『エクステンデッド版』はより映画全体の雰囲気、世界観を重視した構成だといえる。前者はよりスピーディに話が展開するような感覚があり、後者は時間の流れはゆったりだが、豊穣な感覚に満ちている。

  劇場公開前に監督も含めた製作者は議論をつくして、劇場公開オリジナル版を選択した。しかし、『エクステンデッド版』もまぎれもなく完成した映画『ノルウェイの森』である。我々はぜひ観客の皆さんに見ていただきたいとずっと切望してきた。幸い関係者のみなさんに調整いただいたおかげで、本バージョンのブルーレイディスク化と劇場での特別限定公開が実現する運びとなった。

 皆さんにふたつのバージョンを見ていただき、『ノルウェイの森』の奥深さをいっそう堪能していただければ幸いである。


(2011年 4月 8日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]