リンクス、“魔法の杖”リモコンを英国大使館でデモ

-英The Wand Companyの開発者が誕生の背景を語る


iPodスピーカーを操作しているところ

 リンクスインターナショナルは、“魔法の杖”の形をした英The Wand Company製の学習リモコン「カイミラ」(KYMERA/WRC10209)を、4月より日本で発売開始。発売を記念したパーティーを東京・半蔵門の英国大使館で5月25日に開催した。カイミラを開発した、The Wand Company共同創始者のクリス・バルナルド氏がデモを交えて製品を紹介、開発の経緯や今後の製品展開などについて語った。

 「カイミラ」は、“魔法の杖”を振る動作でテレビなどの操作ができる学習リモコン。2009年の誕生以来、70カ国以上で販売されている。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は6,980円前後。国内の販売代理店であるリンクスによれば、日本でも発表後に問い合わせが殺到し、初期ロットの1,000本が即日完売し、次に入荷する4,000本もほぼ完売予定だという。当初の5,000本という販売予定を大きく上回り、年末の映画「ハリー・ポッター」公開や、クリスマス商戦により、トータル約5万本の販売を見込んでいる。


「カイミラ」本体

 赤外線リモコンの信号が学習でき、上下左右に振ったり、回転させるという13通りのジェスチャーで操作が可能。本体に加速度センサーを内蔵し、ジェスチャーを感知する。RFリモコンには対応しないほか、一部のエアコンや、バング&オルフセン(B&O)製品では動作しないという。また、なお、リモコンのボタンの長押しを必要とする操作には対応しない。

 操作に使うジェスチャーの種類は下記の通り。本体の材質はABS/ポリカーボネートを使用。電源は単4電池2本を使用し、電池の持続時間は約6~8カ月。外形寸法は20×353mm(直径×長さ)。電池を含む重量は約70g。

  • 時計回り/反時計回りに回転させる
    杖自体をゆっくり時計回り/反時計回りに回転させる。時計回りに回転させると杖が2回振動。反時計回りに回転させると杖が1回振動
  • 上下に振る
    杖の先を上下に振る。上に振ると杖が3回振動。下に振ると杖が4回振動
  • 左右に振る
    杖の先っぽを左右に振る。左に振ると杖が5回振動。右に振ると杖が6回振動
  • 上/横を軽く1回たたく
    網目状の部分を指で上/横から軽く1回たたく。上をたたくと杖が7回振動。横をたたくと杖が8回振動
  • 上/横を軽く2回たたく
    網目状の部分を指で上/横から軽く2回たたく。上を2回たたくと杖が11回振動。横を2回たたくと杖が12回振動
  • 前に押しだす/手前に引く
    杖自体を前に押しだす/手前に引く。前に押しだすと杖が10回振動。手前に引くと杖が13回振動
  • 早く振る
    杖を早く振る。杖を振ると9回振動
先端に赤外線の発光部根本の部分高級感のあるパッケージに、魔導書のようなデザインのマニュアルを同梱。手順が詳細に記されているが、結局は「習うより慣れろ」とのこと


■ 機能強化した新モデルも来年投入予定

 The Wand Companyのバルナルド氏は、テレビやDVDプレーヤー、送風機、iPodスピーカーをカイミラで操作。また、同社は「カンデラ」というLEDランプを使ったキャンドル風の照明も発売予定としており、これを点灯させるデモも行なった。この照明は息を吹きかけることで消灯できる。

 

【動画】カイミラを使ったデモ。上段の動画はテレビと送風機、中段はiPodスピーカー、下段はLED電灯をつかったもの

 


The Wand Companyのクリス・バルナルド氏

 バルナルド氏は、「もともと学習リモコンを作るつもりではなく、魔法の杖を開発していたら、それにたまたまリモコンの機能が載り、世界初のボタンレス・ジェスチャーリモコンになった」という。

 バルナルド氏は「dadcando.com」というサイトを運営しており、「どうやって、お父さんに子供ともっと遊んでもらうか」を提案していた。その中で人気のコンテンツの一つが「紙で魔法の杖を作る」というもので、1枚の紙から杖を作って行く工程を見せたページが25万回のアクセスを集めたという。

 当時、リモコン制作の仕事にも携わっていたバルナルド氏は、この杖にリモコン機能を持たせるアイディアを思い付いた。そこで、子供の前でリモコンを背中に隠しつつ、杖で操るように機器を操作したところ、子供は大喜びしたという。製品化したところ、英国でその独自性が認められ、数週間で1万本を販売。'09年にワールドワイドで65,000本の売上を達成した。


パーティーに先立ち、英国大使館の一等書記官であるレイチェル・ベイフィールド氏が挨拶。「最初見た時、魔法のように自由にコントロールできるのか疑問だったが、実際に試して、その性能に驚いた」と述べた

 日本では、2月に行なわれた「東京インターナショナル・ギフト・ショー」で英国大使館のブースにて出展。リンクスを通じて国内販売に至った。

 バルナルド氏は「大人も、“マジカルバックヤード(子供にしか見えない、別の世界)”への壁を乗り越えて行けるようなイメージで開発した。『ハリー・ポッター』の影響などで、子供だけでなく大人からも人気を集めている。英国には『不思議の国のアリス』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの話が存在するように、日本にも『千と千尋の神隠し』や『となりのトトロ』といった物語がある。こうした幻想的な物語が、製品開発の背景にある」と語った。

 なお、同社は2012年にカイミラの新製品を投入する計画も明らかにした。詳細は未定だが、現行のカイミラでは13個のリモコン信号が登録できるのに対し、新モデルは10個の登録を4モード、計40個の信号を登録可能にする予定。そのほかにも、いくつかの案があるという。


リンクスの川島義之社長。「遊び心のある製品を投入することで、震災後の日本を明るくしたい」とコメントした発売記念パーティーが行なわれた英国大使館


(2011年 5月 25日)

[AV Watch編集部 中林暁]