月額1,480円の映像配信「Hulu」が日本参入。1日開始

-iPadやスマホ、PS3やTVなどで「いつでも動画」を


PC版のHulu

 月額固定のオンライン映像配信サービス「Hulu」が9月1日より日本国内でサービス開始した。月額1,480円のサブスクリプション型サービスで、テレビやポータブル機器などさまざまなデバイスでビデオを視聴できる点が特徴。

 米国に続き、2カ国目として日本に参入。なお、米国では広告表示付の無料版も展開しているが、日本では有料版のみとなる。日本サービス開始を記念して、1カ月間の無料お試しキャンペーンも実施する。

 日本でのサービス開始にあたり、CBS、NBC、ユニバーサル、ソニーピクチャーズ、20世紀フォックス、ディズニー、ワーナーなどとライセンス契約。「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「アルマゲドン」、「トロイ」、「恋愛小説家」などの映画や、「24」、「BONES」、「ゴシップガール」などの海外ドラマが、月額固定料金でさまざまなデバイスでストリーミング視聴できる。1カ月間の無料トライアルも実施する。

 課金方法はクレジットカード。なお、NTTドコモがマーケティングパートナーとして協業するが、ドコモとの協力の詳細については後日案内するという。

 対応機器は、テレビはパナソニックのテレビ「VIERA」の2011年モデル。レコーダの「DIGA」やソニーのテレビ「BRAVIA」、BDレコーダの最新モデルも対応予定。さらに、PlayStation 3とXbox 360も今後対応予定という。

 モバイルデバイスでは、iPhone/iPad/iPod touchと、富士通、HTC、NEC、パナソニック、Samsung、シャープ、ソニーエリクソンのAndroidスマートフォンが対応。今後Androidタブレットにも対応予定としている。

多数のハリウッド映画を用意複数デバイスで視聴できる点が特徴大手スタジオがコンテンツ供給
PS3やXbox 360でも対応予定

 各デバイス間でユーザーアカウント情報が共有されるため、モバイルデバイスで途中まで見た映画の続きを、テレビで見るといったシームレスな利用が可能。なお、ストリーミングのため、利用にはインターネット回線が必須となる。

 テレビやレコーダなどは720pのHD映像にも対応し、テレビの場合最高ビットレートは約3.5Mbps。モバイル機器ではSDとなる。Huluでは、接続中のネット回線の速度を検知し、最適なビットレートを割り振る技術を導入しており、接続回線に適した映像を楽しめるという。


PCでHuluにアクセスiPadでもHuluを利用できるXperia arcでHuluアイコンをクリックすると、メインメニューが表示される
スマートフォンで映画を検索画質も選択できるVIERA「TH-P55GT3」
VIERAの「テレビdeネット」内にHuluのアイコンテレビ向けの720p映像でも画質を選択できるDIGAでも近日対応予定

 字幕のON/OFF機能も搭載。字幕対応の有無はコンテンツによるが、テレビやPC向けのものの多くは字幕データを別に持っているため、字幕切り替えに対応している。モバイル向けについては、コンテンツエンコード時に映像に統合しているものが多い。

字幕は言語だけでなく、[オフ]も選べるテレビ向けでも字幕変更可能

■ 「いつでも、どこでも」をアピールし、拡大を図る

ジェイソン・カトラーCEO

 Huluのジェイソン・カトラーCEOは、ディズニーやNBCユニバーサル、ニューズコーポレーションなどの米国大手メディア企業らがHuluに株主として参加していることのコンテンツ調達の強みについて言及。さらに、「いつでも、どこでも、気軽に、世界のプレミアム動画コンテンツを楽しむ」というHuluの目標を紹介し、1つの契約で「いつでも、どこでも」映像を楽しめるというHuluの魅力をアピールした

 2007年にサービス開始したHuluは、広告付きの無料動画配信からスタートしたものの、有料のHulu Plusの有料会員数も100万人を突破。次の成長機会として日本市場に参入を決定したという。

 日本に参入した理由については、「消費者からの要望」と、「もっとも市場規模が大きい国の一つであること」、「インターネット環境が最も充実した国であること」の3点を挙げた。当初はハリウッド映画や海外ドラマが中心となるが、日本のコンテンツについても、「具体的な話は言えないが、交渉をすすめている。Huluのコンテンツをさらに充実させて出していきたい」とした。

 目標ユーザー数は非公開。なお、日本では無料版を提供しないが、「広告付きの無料版より、日本に類例がない、サブスクリプション型のサービスで、どこでも多くの動画が見られるということをアピールしていきたい」と説明。また、米国(月額7.99ドル)に比べて、日本の価格が高いのでは? との質問にも、「日本のマーケットを調査したが、1つのアカウントで、いろいろなデバイスからたくさんの映像を見られ、広告無しというサービスは存在しない。価値あるサービスと認めえてもらえると考えている」とした。

モデルの森泉さんもHuluを体験。「海外ドラマ好き」とのことで、「無限大の可能性を感じる」とコメント

■ 「日本人のためのHuluに」。日本ではモバイルの比率が高まる?

主にiPadでHuluを使っているという、ヨハネス・ラーチャー国際部上級副社長

 会見後に日本参入を主導したヨハネス・ラーチャー国際部上級副社長に話を伺った。

 日本参入を決定したのは2010年。「市場調査は以前から行なっていたが、コンテンツパートナーなどとの話を進めだしたのは昨年」で、上記のように市場規模やネット接続率、ユーザーの要望の高さがその参入決定の要因という。ただし、日本でのローカライズは単純ではなく、言語変更やユーザーインタフェイスの改善とともに、字幕対応などが大きな課題であったという。ローカライズの目標も「日本人のためのサービスに」としており、字幕を単に切り替えるだけでなく、オフにできるようにするなど、日本対応に向けて新機能を多数盛り込んだ。これらの日本向け機能の開発は主に北京で行なっている。

 一方で、コンテンツ調達等においては「常にパートナーとの間で厳しい交渉にはなる。しかし、日本特有の困難ということは特になかった」という。

 また、パナソニック「VIERA」やソニー「BRAVIA」などのAV機器への対応については、それぞれのハードウェアメーカーとの連携が必要となる。この点においても、「幸いなことに米国で先行してソニーやパナソニックと開発協力しており、相互に信頼関係ができている。それを日本向けに調整するという流れができている」とする。

 2011年モデルのVIERAは対応済みだが、DIGAやBRAVIA、PS3などについても「近日中のサポート」を予告している。ラーチャー氏は「対応はそう遠くない将来です。1年待たせるとかそういうことにはなりません」と語る。

 米国ではPCからサービスをスタート、2010年にテレビやSTB、モバイル機器に対応を拡大してきたためPCでの利用者が多いという。具体的な比率については非公開だが、「携帯電話の通信網や端末が発達している日本ではモバイルの比率が高まると期待している」とのことで、「1カ月無料体験可能になっているので、ぜひ使って、Huluの良さを感じてほしい」とした。


(2011年 9月 1日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]