パイオニア、ダンサー向けブランド「STEEZ」6製品
-ダンスバトル可能なスピーカーや携帯プレーヤー
「STEEZ」ブランドのロゴマーク |
パイオニアは7日、新ブランド「STEEZ」(スティーズ)の製品を発表。ストリートダンサー向けのカルチャーブランドと位置付けられており、第1弾製品として4GBメモリを内蔵し、音楽プレーヤー機能も備えたポータブルスピーカー「STEEZ AUDIO」3機種、コンパクトな単体プレーヤー「STEEZ PORTABLE」(BSO-D10P)1機種、ヘッドフォン「SE-D10M」1機種、カナル型(耳栓型)イヤフォン「SE-D10C」1機種を10月中旬より順次発売する。
価格は全てオープンプライス。各モデルの店頭予想価格は下表の通り。なお、ヘッドフォンとカナル型イヤフォンについては、別記事で紹介する。
シリーズ名 | 型番 | カラー | 店頭予想価格 | 発売時期 |
STEEZ AUDIO | STZ-D10S | ブルー/ピンク/ホワイト | 25,000円前後 | 10月中旬 |
STZ-D10T | グリーン/ブラック/レッド | 30,000円前後 | ||
STZ-D10Z | レッド | 55,000円前後 | 11月中旬 | |
STEEZ PORTABLE | NSP-D10P | ブラック/バイオレット | 14,000円前後 | 10月中旬 |
STEEZ HEADPHONES | SE-D10M | ホワイト/ブラック | 5,000円前後 | |
SE-D10C | ホワイト/ブラック | 3,000円前後 |
■STEEZ AUDIO
4GBのメモリを内蔵し、iPod用Dockも備えたプレーヤー内蔵型スピーカー。3機種用意しており、全モデルでAC電源と乾電池の2電源に対応する。
小型の「STZ-D10S」は、キッズやダンスエントリー層の個人練習用を想定したモデル。コンパクトで持ち運びやすいデザインを採用するほか、カラーもブルー、ピンク、ホワイトと、キッズや女性を意識したバリエーションになっている。40mm径のフルレンジユニットを2基搭載し、アンプの出力は2.5W×2ch。
小型の「STZ-D10S」 | iPod/iPhoneも搭載できる |
「STZ-D10T」は、ストリートをメインにパフォーマンスを行なうダンスチーム向けのモデル。屋外での利用を想定しているため、JIS保護等級2級相当の防滴性能(製品が15度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する)を持っている。さらに、プロテクタも備え、衝撃を吸収する機構を備えている。40mm径のフルレンジユニットを2基搭載し、アンプの出力は2.5W×2ch。カラーはグリーン、レッド、ブラック。
「STZ-D10T」は防滴仕様 | iPod/iPhoneが搭載でき、搭載するスタンド部分は回転する |
「STZ-D10Z」は、スタジオや体育館など、大人数で練習する時に使用するハイパワーモデル。26mm径のツイータ2基、80mm径フルレンジ2基、135mm径のサブウーファを1基、パッシブラジエータも搭載。アンプは10W+10W+20W。カラーはレッドのみ。
大型の「STZ-D10Z」 | 「STZ-D10Z」の背面 | 「STZ-D10Z」の側面 |
いずれのモデルも、PCとUSB接続し、本体内蔵の4GBメモリに楽曲を転送・再生可能。iPod Dockも備え、iPodからの音声をスピーカーから再生する事もできる。音楽ファイルはMP3/WMA/AAC/WAVで、DRM付の楽曲には非対応。USB端子を備え、USBメモリに保存した楽曲を再生する事もできる。
「STZ-D10Z」もiPod/iPhoneを搭載できる | 全モデル液晶ディスプレイを備えている |
また、PC用楽曲管理・転送ソフト「MIXTRAX」を9月29日に無償公開。同ソフトで楽曲のジャンルやテンポなどの解析を行ない、解析データと楽曲を一緒に転送する事で、後述するダンサー向けの様々な機能が利用できる。逆に、「MIXTRAX」で解析せずに、直接ファイルをドラッグ&ドロップ転送した楽曲では、これらの機能は利用できない。
ダンサーの声を反映し、ダンスの練習やバトルで活用できる機能を豊富に搭載しているのが特徴。
「DJ MIXモード」は、ヒップホップやブレイクなど、選択したダンスジャンルにマッチする楽曲を自動的に機器が選曲し、ミックスして再生する機能。曲が途切れる事無く、自然につながった状態で再生されるため、ダンスの練習やダンスパフォーマンスに活用できる。
さらに、音程を変える事なく、再生スピードを調整する「テンポコントロール」機能も用意。スローテンポで再生し、振り付けを覚えるといった用途に使用できる。
「ダンス CUE」は、ボタンをワンタッチすることで、あらかじめ設定したポイントから再生できる機能で、曲の一部パートを繰り返し再生可能。繰り返し練習に適している。また、ダンスの基本テンポであるエイトビート(8拍)単位で早送り、巻き戻しができる「エイトスキップ」機能も備えている。
さらに業界初という「オートバトルモード」を搭載。これは、1 VS 1などで、DJがかける曲を聞きながら、即興ダンスを交互に披露し、ダンスパフォーマンスの優劣を競う「ダンスバトル」を行なう機能。
あらかじめダンスのジャンルとパフォーマンスの時間を設定すると、ジャンルに合う楽曲の選曲と、楽曲同士のミックスが自動で行なわれ、その曲を聴きながら踊る。さらに、「last 10 sec.!!」など、制限時間に近づいた事を曲に乗せてアナウンスで知らせてくれ、時間が来ると「MOVE end!」と次のパフォーマーを呼び込む。これまで、こうしたダンスバトルを行なうためには、DJと、ダンサー入れ替えを仕切るMCが必要だったが、その2役を「STEEZ AUDIO」が代わりに行なう形となる。なお、上位モデルとなるD10TとD10Zには、多人数でバトルする「Circle」モードも備えている。
音質もダンスに適したチューニングを実施。豊かな低域再生やビートをクリアに再生する事を念頭に置いて開発したという。また、小型モデルでも低域再生が行なえるよう、DSP技術を用いて低域を補っている。
なお、転送した楽曲だけでなく、プリセット楽曲も収録。購入してすぐにダンスができるという。いずれのモデルも液晶ディスプレイを備え、D10SとD10Tは2.4型、D10Zは3.5型。詳しいスペックは下表の通り。
STZ-D10S | STZ-D10T | STZ-D10Z | |
内蔵メモリ | 4GB | ||
ディスプレイ | 2.4型/QVGA | 3.5型/QVGA | |
オートバトル | ノーマル | ノーマル/サークル | |
防滴構造 | ― | ○ | ○ |
ダンスサウンド | 1モード | 3モード | |
アンプ出力 | 2.5W×2ch | 10W+10W+20w | |
スピーカー | 40mm径フルレンジ | 26mmツイータ×2 80mmフルレンジ×2 135mmサブウーファ×2 など | |
再生可能形式 | MP3/WMA/AAC/WAV | ||
電池 | 単3電池×6本 | 単1電池×10本 | |
入出力端子 | マイク入力(STZD-107のみ) ステレオミニ入力 iPhone/iPad対応Dock ヘッドフォン出力 USB | ||
最大外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 319×94×89mm | 360×108×113mm | 632×221×245mm |
重量 | 800g | 1.2kg | 7.4kg |
■STEEZ PORTABLE
曲の自動選曲やミックス再生に特化したポータブルプレーヤー。カラーはブラックとバイオレットを用意。再生対応ファイルはMP3、WMA、AAC、WAVでDRMは非対応。前述のPC用ソフト「MIXTRAX」で解析、転送した楽曲を、自動的に選曲し、ミックス再生できるのが特徴。ステレオミニの出力を備えている。
「ノンストップミックスプレイ」と名付けられた機能で、曲調やテンポの近い楽曲など、ミックス再生時に繋がりやすい曲を自動的に選曲。楽曲が盛り上がるサビの部分を検出するブロック検出技術を使い、サビの部分を繋げて、途切れないミックスプレイができる。
サビを繋げる部分では、楽曲の拍(ビート)のタイミングが前の曲と、後の曲でズレないよう繋げるため、ビートがズレて踊りにくく感じる事が無いという。また、フランジャーなど、つなぎ目にエフェクトをかける事もできる。
なお、基本は「MIXTRAX」で作成したプレイリストをノンストップミックスで再生する形となるが、ミックスせずに1曲ずつ再生する事もできる。
ノンストップミックスプレイの概要 |
STEEZ PORTABLEのバイオレット | 「STZ-D10Z」の背面 | 「STZ-D10Z」の側面 |
さらに、「テンポコントロール」機能を装備。プレーヤーの前面に備えたパネルを指で上下になぞると、音程を変えることなく、テンポを自在に変化させる事ができる。テンポを変更した状態で、上部の「MIX」ボタンを押すと、変更後のテンポに合った別の曲が自動選択され、再生できる。これにより、好きな曲をアップテンポに変化させて再生させ、同じテンポの別の曲を続けて再生する事で、気分の高まりを維持する事ができる。
前面パネルを指でなぞるとテンポが変化。テンポは数値で表される | テンポを変更し、上部のMIXボタンを押すと、そのテンポと同じ楽曲が再生される |
また、「STEEZ AUDIO」との連携も可能。STEEZ PORTABLEで気に入った曲をお気に入りに登録し、STEEZ PORTABLEとSTEEZ AUDIOをUSB接続すると、お気に入りに登録したプレイリストの楽曲をSTEEZ AUDIOで使い、ダンスの練習ができる。
「STEEZ AUDIO」と同様に、ノンストップミックスプレイが楽しめるプリセット楽曲も収録。バッテリの充電はUSB経由で行なう。主な仕様は下表の通り。
NSP-D10P | |
内蔵メモリ | 4GB |
ディスプレイ | 64×48ドット有機EL |
再生可能形式 | MP3/WMA/AAC/WAV |
電池 | 内蔵リチウムイオン 900mAh |
入出力端子 | ヘッドフォン出力 USB |
最大外形寸法 (縦×横×厚さ) | 86.8×39.8×15.5mm |
重量 | 55g |
■MIXTRAX
PC用楽曲管理・転送ソフト「MIXTRAX」 |
PC用楽曲管理・転送ソフト「MIXTRAX」は、STEEZ製品のユーザーでなくても無料でダウンロード&使用が可能。楽曲管理、再生ソフトとして活用できる。
前述の、楽曲のビートや曲調などを解析する機能を備え、解析データと共にSTEEZ製品へと転送する機能も装備している。なお、解析した情報はパイオニアの楽曲サーバーにアップロードされ、ユーザー同士で共有が可能。既に他のユーザーが解析した楽曲であれば、新たに楽曲解析する時間が短縮されるという。
また、ソフト単体で、複数楽曲のサビの部分を連続再生する「ノンストップミックスプレイ」に対応。PCをDJプレーヤーのように使う事もできる。ただし、ミックスした楽曲を保存する事はできない。
対応OSはWindows XP/Vista/7。Windows 7は64bit版にも対応。再生対応楽曲はMP3/WMA/AAC/WAVで、DRMには非対応。
■「'15年3月期には50億円を超える事業に育てたい」
常務執行役員 ホームAV事業部長の井下源氏 |
常務執行役員 ホームAV事業部長の井下源氏は、ホームAV事業黒字化に向けた戦略として、市場創造領域事業の推進による売上拡大が重要と説明。その開拓市場として“ダンス”に目を着けた経緯について、「ダンスは音楽に合わせて踊るが、音楽は我々の事業の柱で、高い技術も備えている。そして、DJ分野も我社が得意とするところ。こうした点から、ストリートダンサー向けの製品が生まれるのは、自社の強みを発揮するためにも、自然な流れだった」という。
製品化にあたっては、世界5カ国、ストリートからスタジオ、アマチュアからプロダンサー、インストラクター、プロDJに至るまで、様々なダンス関係者に意見を聞き、顕在化している、そして潜在にあるニーズを把握。「ダンサーのライフスタイルに溶け込み、無くてはならない存在と認識してもらえるようにしていきたい。STEEZを単なる製品ブランドではなく、カルチャーブランドに育てていきたい」という。
市場規模については、10カ国を対象に実施したWeb調査の結果、ストリートダンスをやっている人と、今後やってみたいという潜在需要をプラスすると、日本、アメリカ、フランス、スペイン、英国、ドイツ、オーストラリア、マレーシア、中国(主要都市)、台湾の10カ国合計で約7,000万人の規模になると推計。「日本では400万人、米国と中国ではそれぞれ2,000万人を超える、大きなポテンシャルの市場だと判断した」(井下氏)という。
世界5カ国で様々なダンス関係者に意見を聞き、開発したという | 10カ国で行なったWeb調査の結果 | 各国のストリートダンス市場規模の試算 |
さらに井下氏は、文部科学省の新学習指導要領「生きる力」で、ダンスが必須科目になり、小学校は本年度から、中高でも来年度以降順次取り入れられる事を紹介。「キッズダンスは既に習い事として人気で、大学のダンスサークルの活動も活発だが、義務教育化される事で、今後ますますダンスに触れる児童は増えてくる。また、先生もダンスに触れる事になる。“大人も子供もダンスする”事が、当たり前になる時代はもうすぐ」と、市場の発展性に期待をかける。
また、「ダンスにも、社交ダンスやサンバ、フラメンコなど、様々な種類があり、それぞれに多くの愛好者がいる。“ダンサー向けオーディオ”というコンセプトは、それらに応用できるため、今後も発展の可能性を積極的に追求していきたい。また、コンテンツビジネス、アプリケーションビジネス、周辺機器ビジネスも展開し、非常に大きなビジネスに育てる事が可能」と説明。目標として、「2013年3月期に全世界で20億円の売上、2015年3月期には50億円を超える事業に育てていきたい」とした。
発表会には、開発にも携わったプロダンサーのカリスマカンタロー氏が登場 | キッズダンサーも登場 |
STEEZ AUDIOのサウンドに乗って、実際にダンスバトルを披露した |
(2011年 9月 7日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]