ソフトバンクBB、フルセグ対応のiPhone/iPad用チューナ

-初のフルセグ&BS/CS対応。無線LAN経由で視聴


左の「デジタルTVチューナ」で放送を受信・転送し、右のiPadで表示する

 ソフトバンクBBは、iPhoneやiPad、iPod touchで地上デジタルやBS/CSデジタル放送をワイヤレスで視聴可能にする「デジタルTVチューナ」を22日に発売する。価格はオープンプライスで、オンラインの直販サイトでは15,800円で販売予定。「SoftBank SELECTION」のラインナップとして販売する。

 地上/BS/110度CSデジタルの3波チューナを搭載した製品で、受信した放送を無線LANで転送。App Storeで20日夜から無料配布される「デジタルTV(StationTV i)」というアプリをiPhoneやiPadにインストールし、デジタル放送視聴を可能とする。製品はピクセラ製。対応機器はiPad 2、iPad、iPhone 4/4S、第4世代iPod touchで、iOS 4.3.5以上が必要となる。

 ワンセグで同様の事を行なう製品は既に存在するが、フルセグのデジタル放送を視聴できるのが最大の特徴。MPEG-4 AVC/H.264リアルタイムトランスコーダを内蔵し、MPEG-2の放送をAVCにトランスコードして、iPhoneなどに転送する。

 画質は高画質(約6Mbps)、標準(約4Mbps)、低画質(約2Mbps)の3モードを用意し、無線LANの状態によりビットレートは変動する。転送される映像の解像度はいずれのモードでも1,024×576ドット。後述する縦表示の「ながら見モード」では768×432ドットとなる。無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応。周波数帯域は2.4GHzと5.2GHz帯域の両方に対応しており、5.2GHzが利用できるiPadでは、5.2GHzで接続。電子レンジなどの干渉を防ぎ、より安定した転送ができるという。

 筐体にはminiB-CASカードスロットと、Ethernet、地上デジタル用とBS/110度CSデジタル用の2つのアンテナ入力を装備。さらに「将来的な拡張用として使う可能性もある」というUSB端子も用意している。

「デジタルTVチューナ」「デジタルTVチューナ」の背面。Ethernetはアクセスポイントとしても機能させるため。その隣にUSB端子を備えている
接続概念図

 Ethernetは「デジタルTVチューナ」を無線LANのアクセスポイントとしても使用するための機能。デジタル放送を視聴するためには、デジタルTVチューナと無線LANで接続する必要があるが、そのままではテレビは視聴できても、iPad/iPhoneでインターネットに接続できない。

 そこで、ルータとデジタルTVチューナをLANケーブルで接続。デジタルTVチューナをアクセスポイントとしても機能させ、デジタル放送のデータだけでなく、ネット接続も行なえるようになる。そのため、LANケーブルを接続せずに使う事も可能。また、iPhoneやiPadの3Gモデルでは、無線LANでテレビを受信し、3G回線でネット接続し、テレビを見ながらWebブラウジングなどをする事もできる。なお、3G回線を使って自宅のチューナにアクセスし、テレビを表示する事はできない。

 本体の外形寸法は150×150×35mm(幅×奥行×高さ)、重量は約300g。消費電力は9W。




■使い方

 アプリの「デジタルTVチューナ」を起動。アプリから無線LANの設定が操作でき、デジタルTVチューナに接続する。接続は1対1で、複数のiPadなどで同時にチューナに接続する事はできないが、1台ずつの接続であれば、複数の機器からテレビを楽しむ事ができる。

 チャンネル切り替えは左右のフリック操作で可能。フリックで放送局のアイコンが表示されている状態で、上下にフリックすると地上/BS/110度CSデジタルが切り替えられる。

無料でダウンロードできる、視聴用アプリ「デジタルTVチューナ」テレビを全画面表示しているところ16:9での表示も可能

 「ながら見モード」をONにした状態で、縦向きにすると画面の上部にテレビ、下部にWebブラウザを表示するモードになり、テレビを見ながらネットサーフィンをしたり、TwitterなどのSNSページを表示して、テレビについてつぶやくといった使い方もできる。

フリックでチャンネル切り替え。上下にフリックすると地デジ、BS、110度CSが切り替えられるフリック以外にも、メニューからのチャンネル切り替えも可能左が「ながら見モード」でブラウザも下部に表示したところ

 ブラウザのブックマークには「Yahoo! テレビ.Gガイド」や「インターネットTVガイド」、「goo テレビ番組」などのiEPGサービスや、各テレビ局へのリンクがあらかじめお気に入りとして登録されており、そこから番組表を見て、見たいテレビを選ぶという使い方を提案。そのため、テレビの放送波のEPGを表示する機能は備えていない。

ならが見モードでのブラウザには、iEPGや放送局へのブックマークが登録されている画質設定は3つ

 データ放送には非対応。字幕表示や音声切り替えはサポートする。なお、視聴予約機能は備えていない。

 録画機能は現在のところ搭載されていないが、「ハードウェア的には(対応できる)余地はあると考えています。製品の売上や、ユーザーの皆様の声を聞きながら、今後の機能強化などについては考えていきたい」(コマース&サービス統括 SoftBank SELECTION 事業推進本部 SoftBank SELECTION商品統括部 アプライアンス商品企画部 商品企画1課の石川純二課長)という。なお、製品には拡張用としてUSB端子を備えており、録画に対応する場合は、ここにUSB HDDなどを接続する形になると思われる。

 なお、au版のiPhoneからの利用については「特にハードウェア側で何かの制約を設けているわけではない」とのこと。また、Android版視聴用アプリをリリースする可能性については、「現時点では非対応。(Android版を出すためには)色々な条件をクリアする必要があり、その対応が出来たらという形になると思う」(石川課長)とした。



■手軽さとSNS連携

コマース&サービス統括 SoftBank SELECTION 事業推進本部 SoftBank SELECTION商品統括部 アプライアンス商品企画部 商品企画1課の石川純二課長

 石川課長は製品の魅力として、「ごろ寝スタイルやベッドなどでWebを閲覧するといった、iPadのフリーなスタイルを維持しながら、テレビも楽しめるのが特徴。しかも、iPadの画面を活かし、フルセグを高画質に表示する事で、ワンセグの画質では物足りないというお客様にも満足していただけると考えている」と説明。

 さらに、「パソコンを介して地デジが見られる機能を提供している他の製品もあるが、デジタルTVチューナーは、一切パソコンを利用する事なく、地上/BS/110度CSデジタルを受像できる手軽さも魅力。ながら見モードでは、テレビとインターネットを同時に楽しめ、先日話題になった“例の呪文”をつぶやく事も簡単にできる」と語り、手軽に利用できる点や、SNSとの柔軟な連携が可能な事もアピールした。


会場にはSoftBankSELECTIONの製品も展示された。写真は「SoftBank SELECTION Creator's Gallery Inside Wonder World SB-IA01-HCIW」SoftBank SELECTION スタイリッシュ Dock スピーカー for iPhone SB-SP04-STIPSoftBank SELECTION ケース & キーボード for iPad SB-KB04-BTSP/BK

(2011年 12月 20日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]