東芝、2Dの4K画質に注力した新4K REGZA「55XS5」
-裸眼3D立体視を省略し、「買える4Kへ」
55XS5 |
東芝は、55型の4K/2Kパネル(3,840×2,160ドット)を採用した液晶テレビ「REGZA 55XS5」を6月下旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は75万円前後。
フルHDの4倍の画素数となる829万画素の55型/3,840×2,160ドットパネルを採用した液晶テレビ。同社は世界初の民生市場向け4K液晶テレビとして、「REGZA55X3」を'11年12月に発売している。55XS5は、55X3の裸眼3D立体視の機能を省略し、2Dの4K映像表現に特化した。
また、デザインを海外向けの4Kテレビと共通の欧州調の狭額縁タイプとしたほか、バックライトも55X3の直下型LEDから、55XS5ではエッジ型に変更した。バックライトスキャン技術の「アクティブスキャン240」や、LEDの部分駆動を搭載し、残像感の低減とコントラスト拡張を図っている。
ただし、55X3よりLED分割エリアは少なく、通常のREGZAとあまり変わらないとのこと。そのため、LED部分駆動を要因とするダイナミックなコントラスト表現は55X3が上回る。一方、裸眼3D用のレンチキュラーレンズを省略したことで、光の透過率や黒の沈み込みの向上が見込まれる。コントラストは5,000:1、ダイナミックコントラストは650万:1。視野角は上下/左右178度。
REGZAの商品企画を担当するデジタルプロダクツ&サービス第一事業部 国内企画・マーケティング部 本村裕史氏は、「55X3は裸眼3Dと4Kに対応したフラッグシップとして、これまでどおりに展開する。一方で、55X3以降『2Dの4K』を求める声も多く頂いた。REGZAのZシリーズでも、3Dあり/無しを選択できるようなラインナップにしているが、それに近い展開と考えている。2Dの4Kが欲しいという声に応えるとともに、『買える4Kテレビ』を増やして、4Kの良さを積極的に訴えていきたい」とする。
55XS3 | 本村 裕史氏 |
デザインも一新し、ベゼル幅も大幅に小さくなった |
4K/2Kパネルを採用 |
映像処理エンジンは55X3と同等の「レグザエンジン CEVO Duo」で、REGZAと同様の各種高画質処理により、4Kの入力信号を精細に表示できるほか、フルHD映像の高画質4Kアップコンバート処理も組み込んでいる。
なお、4K信号のネイティブ表示のためには、4本のHDMI信号を同期を取りながら、同時に入力する必要があるため、一般家庭で4K映像をそのまま見るのは難しい。そのため家庭での主な利用シーンとしてはフルHDのBDや放送番組などを4Kにアップコンバートして視聴する形となる。
ただし、4月に発売した4Kアダプタ「THD-MBA1」(実売20万円)を利用することで、パソコンや4Kビデカメラ、業務用4K出力機器の4Kの映像をそのまま入力可能になる。
THD-MBA1の併用で4K映像の直接入力に対応 | 専用端子でTHD-MBA1と55XS5を接続 |
3Dとデザイン以外の主な仕様は55X3と共通。画素ごとに色情報を解析し、高彩度画像のテクスチャー復元性能を向上する「カラーテクスチャー復元 超解像技術」を搭載。再構成型や自己合同性型などの超解像技術などと組み合わせて、精密さを保ちながら4Kへのアップコンバートを行なう。
写真の高画質表示ができる点も特徴。4Kの829万画素を活かし、SDメモリーカードに記録した写真をDot by Dotで再生できるほか、スケーリング時には再構成型やカラーテクスチャー復元超解像などを適用し、高画質に再生する。SDだけでなく、LAN HDD内の写真なども4Kで表示できる。
4K超解像処理も55X3と同等 | デジタルカメラ写真のビューワーとしても55XS5を訴求 |
地上デジタルチューナを3系統、BS/110度CSデジタルチューナを2系統装備し、別売USB HDDへの録画にも対応。また、DRモードのほか、MPEG-4 AVC/H.264の長時間録画モードも備えており、AFモード(約12Mbps)、ANモード(約8Mbps)、ASモード(約6Mbps)の3種類を用意する。2番組の同時録画にも対応する。
人気の番組などを紹介する「おすすめサービス」も搭載。USB HDDに録画した番組をLAN経由でREGZAブルーレイなどにダビングする「レグザリンク・ダビング」やスカパー! HD録画にも対応する。
側面。奥行きも薄型化 | 入力端子は背面と左側面にまとめられている | 番組表 |
DTCP-IPサーバーとしても動作。USB HDDに録画した番組を家庭内のネットワークの別DTCP対応テレビやタブレット、スマートフォンなどから再生できる「レグザリンク・シェア」に対応する。DTCP/DLNAのクライアント機能も備えており、レコーダ内の番組をREGZAから再生することも可能。DLNAのDMR(レンダラー)にも対応する。
対応タブレットはREGZA Tablet AT700/AT3S0。アプリケーションの「RZプレーヤー」が必要。スマートフォンはREGZA Phone IS11T/T-01Dで、T-01DはRZプレーヤーを、IS11Tは「DiXiM Player」を利用する。
新開発のスピーカーを搭載 |
スピーカーは2×100mmのデュアルスリムスロットスピーカーを片側に2基づつ搭載するほか、80mm径のウーファを搭載し、出力は10W×2ch+10W。フルレンジ、ウーファ用にそれぞれ10Wのアンプを配したマルチアンプ構成で、パッシブネットワークの介在しない、鮮やかな音を実現するという。ウーファは背面に搭載し、ウーファの音道と正面配置のフルレンジの音道が異なることを時間軸補正し、音像定位を向上している。音響パワーイコライジングの「CONEQ」も搭載する。
SDカードスロットも装備し、AVCHDやMP4の動画ファイル、MP3音楽、JPEG写真などを再生できる。入力端子はHDMI×4と、D5×1、コンポジット×2、アナログ音声×2、HDMIアナログ音声×1。光デジタル音声出力やヘッドフォン出力、アナログ音声出力も装備する。USB×2も備えている。
REGZAサーバー「DBR-M190/M180」との併用時に、重複する超解像機能などを最適に制御し、最適な状態で表示を行なえる「レグザコンビネーション高画質」も搭載。両機をHDMI接続した場合に、DBR-M190/M180では、複数フレーム超解像と色超解像を適用、REGZA側で再構成型超解像と非圧縮12bit相当の4:4:4処理を適用する。
消費電力は268W(待機時0.14W)、年間消費電力量は253kWh/年。外形寸法は125.3×35.7×83.2cm(幅×奥行き×高さ)、重量は27.5kg。リモコンには「節電ボタン」も装備し、バックライトの明るさや画質をワンボタンで節電モードに切り替えできる。
(2012年 5月 10日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]