ソニー、'12年度第1四半期決算。テレビは収益改善

-246億円の赤字。「nasne回収の業績影響は軽微」


業務執行役員 SVP 広報センター長 神戸司郎氏

 ソニーは2日、2012年度第1四半期決算を発表した。売上高は、前年同期比1.4%増の1兆5,151億円。営業利益は77.2%減の約63億円、税引前利益は59.3%減の94億円。純損益はマイナス246億円で赤字となった。

 なお、4月1日付の組織変更にともない、事業セグメントの集計方法を変更。新たにイメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)、ゲーム、モバイル・プロダクツ&コミュニケーション(MP&C)、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)、デバイス、映画、音楽、金融の各セグメントでの集計となる。

 売上高はHE&S分野の減収はあったものの、MP&C分野の好調により、全体では増収。営業利益はMP&C分野の損益悪化により減益となった。

 なお、第2四半期以降の為替や景気の動向を含む経営環境は厳しくなると見ており、通期業績見通しを5月発表時の予測から下方修正。売上高は6,000億円/8.1%減の6兆8,000億円、営業利益は400億円減の1,500億円、純利益は100億円減の200億円。

第1四半期連結業績セグメント変更通期予想を下方修正

■ テレビは大幅収益改善。台数ベースでは下方修正

橋谷 IR部門長

 テレビやBDレコーダ、オーディオなどを含むHE&S分野の売上高は、前年比26.2%減の2,518億円、営業利益はマイナス100億円。主に日米欧の液晶テレビ販売減少により売上高が減少。さらに、営業損失は前年同期比で36億円改善しているが、販管費の減少や、前年に計上していたS-LCDの低稼働率による追加費用などで収益が改善している。

 テレビについては、売上高は前年同期比35%減の1,570億円、営業損失は前年同期比で81億円縮小し、マイナス66億円。第1四半期の販売台数は前年比27%減の360万台。「収益性重視のオペレーションと継続的なコスト削減で、売上台数減、販売単価減でも営業損失は半分以下に改善。5月想定よりも改善しており、テレビの収益構造改善は確実に進んでいる(IR部門 部門長 橋谷義典氏)」とする。


セグメント別売上高、営業利益

 ただし、「第1四半期以降は欧州や中国の市況を慎重に見ている」とし、年間の販売台数想定は200万台下方修正の1,550万台となる。通期の収益については800億円の損失で変更はない。

 また、オリンピック商戦については、「現時点ではあまり効果がないと考えている(橋谷IR部門長)」とのこと。

 デジタルカメラなどのIP&S分野の売上高は売上高7.6%増の1,938億円、営業利益は1%増の126億円。レンズ交換式一眼カメラの需要増や、前年に震災の影響を受けた放送/業務機器などで大幅増収となった。一方コンパクトデジタルカメラは市場縮小の影響で大幅減となっている。コンパクトデジタルカメラは通期の売上見通しも下方修正し、300万台減の1,800万台とした。



■ nasne回収の業績インパクトは「軽微」。携帯ゲームの台数も下方修正

 ゲーム分野は、売上高が前年比14.5%減の1,180億円、営業利益はマイナス35億円。PlayStation Vita(Vita)が貢献したものの、PSPやPlayStation 3(PS3)のソフトウェア/ハードウェア減収により、分野全体で減収となっている。

 なお、HDDレコーダ「nasne」の発売延期については、「楽しみにしていただいたお客様に申し訳ありません。発売時期に関しては、決まり次第案内しますが、業績へのインパクトは軽微と考えている。最終的には全台数を確認した上で安心してお使いいただけるよう出荷したい」(神戸 広報センター長)とした。

 第1四半期のゲーム販売台数は据置型(PS3/PS2)が280万台、携帯型(PSP/PS Vita)が140万台。携帯ゲームは年間の売上台数見通しを下方修正し、当初予測比で400万台減の1,200万台としている。

 ソニーモバイルなどMP&C分野は、売上高が前年比132.9%増の2,856億円、営業利益はマイナス281億円。スマートフォンシフトによる販売単価向上や、Xperiaシリーズの好調などで増収となったが、PCの売上減による減収やソニーモバイルの子会社化による費用などが響いて赤字となった。

 第1四半期の販売台数はPCが180万台、スマートフォンが740万台。通期の販売見込はパソコンは80万台下方修正の920万台、スマートフォンは70万台増の3,400万台。

 デバイスは、売上高が前年比14.4%減の2,173億円、営業利益は同200.7%増の159億円。イメージセンサーの増収のほか、前年のタイ洪水による損害/損失に対する保険収入などにより増収となった。

 映画分野は売上高が前年比6.2%増の1,534億円、営業利益はマイナス49億円。「メン・イン・ブラック3」などの劇場収入増加も、「アメイジング・スパイダーマン」の宣伝費増などで赤字となった。

 音楽分野は売上高が前年比9.8%減の988億円、営業利益は同39.8%減の73億円。金融分野は、売上高が前年比3.5%減の1,945億円、営業利益は3.9%減の276億円。


(2012年 8月 2日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]