サムスン、IFA 2012にあわせて会場外でも訴求活動を展開

ドイツにおける認知度向上へ各種施策


IFA 2012が開催されたメッセ・ベルリンの北入口はサムスンのロゴでいっぱいだった

 8月31日~9月5日までドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2012で、最も注目を集めた企業が韓国サムスンであったといえよう。

 スマートフォン「GALAXY Note II」や、ネットワーク機能を搭載したコンパクトデジタルカメラ「GALAXY Camera」、Windows 8を搭載した「ATIVシリーズ」など、新製品発表が目白押し。展示ブースにも終日多くの来場者が詰めかけた。


量販店店頭前でも大規模なイベントを開催。新製品を披露した

 だが、サムスンが注目を集めたのは、IFA 2012の会場のなかだけではなかった。ベルリン市内でも様々なイベントを開催し、その存在感を発揮していたのだ。

 例えば、ベルリン市内の主要部では、SAMSUNGのロゴが入ったポロシャツを着たスタッフが風船を配ったり、大規模な看板を掲示するといった様子があちこちでみられた。

 また、ドイツの大手量販店であるメディアマルクトやサターンでは、発売前の55型の有機ELテレビなどを店頭に展示。一部の店舗前では、商品を紹介する店頭イベントを開催するといった動きも見られていた。

 実際にサムスンがIFA 2012の期間中に、ベルリン市内で行なった取り組みについて追ってみた。

IFA 2012が開催されたメッセ・ベルリンの北入口はサムスンのロゴでいっぱいだったポツダム広場のベルリンの壁の前にも大きな看板を掲出有機ELテレビだけに留まらず、ドラム式洗濯機の看板も掲出していた
ドイツ銀行の施設を活用して開催したDISCOVER BERLIN

 IFA 2012の期間中にあわせてサムスンが行なっていたイベントのひとつに、「DISCOVER BERLIN」がある。

 ブランドショップなどが集中するフリードリッヒ通りに面したドイツ銀行の施設を利用し、8月28日~10月13日までの期間、スマートフォンのGALAXY S IIIやGALAXY note 10.1、デジタルカメラのNX210を展示。これらを自由に触ることもできる。


DISCOVER BERLINの様子
サムスンの製品が数多く展示されており、自由に触ることができる
DISCOVER BERLINでは写真を液晶テレビに表示して展示

 ここではデザイン学科の学生が撮影した写真を公開。サムスンの製品を利用して、優れた写真が撮影できることなどを紹介している。

 公開された写真には投票が行なわれ、優秀な作品には5,000ユーロ(約50万円)を授与するほか、来場者が作品を欲しい場合には、絵はがきや引き延ばした作品として購入することも可能。売り上げは慈善団体などに寄付されるという。


Samsung Electronics Corporate Marketing Team長、DirectorのGeorg R. Rotzer氏

 「ここでは実際に、サムスンの製品を購入していただくのではなく、実際に製品を手に取ってもらったり、作品を通じて感動をしていただくといった経験の場と位置づけている。また、サムスンの製品を連携させることで、新たな経験ができるといった新たな提案の場となっている。ベルリン市内に住む人だけでなく、観光客にも訪れてもらい、楽しんでもらいたい」とする。

 ドイツ銀行の場所を借りてイベントを開催するのは今回が初めての試みだというが、期間中に10~15万人の来場者を予定しており、幅広い層に対して、サムスンのブランド浸透を図る考えだという。


写真の表示は手元のスマートフォンから操作できる写真はFacebookでも公開している
DISCOVER BERLINでは、学生が撮影した写真を絵はがきにして提供引き延ばした写真としても販売している

 また、サムスンでは、IFA 2012の開催期間中、ショッピングモールなどにおいて、一般ユーザーが参加できるイベントを随所で開催していた。

 そのなかのひとつであるGALAXY Studioは、その場でデジタルカメラで撮影した写真を、GALAXY note 10.1を使用して編集。これをPCやスマートフォンなどに送信するというサービスを無料で行なっていた。

 これもサムスン製品に親しんでもらうための施策のひとつだといえる。

ショッピングモール内で開催されたGALAXY Studioの様子。バイクに乗った写真を撮影し、それをアドレスに送信してくれる
ベルリン市内の量販店内にあるサムスン エクスペリエンスゾーン(アレクサンダー広場近くのメディアマルクト内)

 一方、サムスンでは、ドイツ国内における独自の取り組みとして、主要量販店において、「サムスン エクスペリエンスゾーン」を展開している。

 現在、ベルリン市内のメディアマルクトのほか、ミュンヘン、フランクフルトの店舗内にも同様の店舗を設置しており、今後、ハンブルグやケルン、シュトゥットガルトなどへの出店も検討しているという。

 サムスン エクスペリエンスゾーンは、ショップ・イン・ショップ型の店舗で、サムスン製品を一堂に展示。サムスンが派遣する専門スタッフが、来店客に対して説明を行う場として展開しているものだ。

 「サムスンの製品同士をそれぞれに結びつけて、どんな活用ができるのかといった提案型の店舗。売り上げ目標は持たずに、サムスン製品に対する理解度や認知度を高めることが狙いとなる。ここで得たユーザーの声を製品開発にフィードバックすることもできる」とする。

 1年前に設置したベルリン市内のエクスペリエンスゾーンでは、リビングルーム風の落ち着いた雰囲気のなかで、機器を体験したり、相談ができたりといったことが可能だ。

 こうした展示スペースを持っているのは、ドイツ国内ではサムスンだけだ。総合家電メーカーであるサムスンならではの提案が行なわれているといえよう。

ゆったりとした雰囲気のなかで専門スタッフが相談に乗ってくれる
Skypeを使った実演も可能。DISCOVER BERLINの会場と接続してみたデジタル家電だけでなく、ロボット掃除機も実演できる

(2012年 9月 10日)

[Reported by 大河原 克行]