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パナソニック、第3四半期は346億円の営業黒字に改善
非テレビの加速に成果。「利益まだ十分ではない」
(2013/2/1 20:07)
パナソニックは1日、2012年度第3四半期(2012年4~12月)の連結業績を発表した。
第3四半期累計の売上高は前年同期比8.8%減の5兆4,396億円、営業利益は208.4%増の1,219億円、税引前純損失は前年の3,505億円の赤字から812億円改善したものの、2,693億円の赤字。当期純損失は前年の3,338億円の赤字から、2,900億円悪化し、6,238億円の赤字となった。
第3四半期単独の売上高は前年同期比8%減の1兆8,015億円、営業利益は427億円改善の346億円、税引前純損失は2,005億円改善の93億円、当期純損失は2,590億円改善し、614億円の黒字となった。
河井英明常務取締役は、「第3四半期は、デジタルコンシューマ商品の販売不振により売上高が減少したが、今年度の固定費削減への取り組みなどにより、営業利益は改善。また、事業構造改革費用の減少などにより、税引前利益、当期純利益が黒字化した」と総括した。
また、「まだ、普通の会社に向けては過渡期である。第3四半期は利益が出ているが十分ではない。全社をあげて経営戦略の改善、事業構造の見直しに取り組んでいる段階にある」とした。
第3四半期累計の地域別売上高は、国内が9%減の2兆7,954億円、米州が2%増の7,573億円、欧州が15%減の4,996億円、中国が11%減の7,333億円、アジアが10%減の6,541億円となった。「中国では、日本製品の不買運動影響があり、売上高が減少した」という。
セグメント別では、第3四半期累計で、AVCネットワークスの売上高が前年同期比23%減の1兆789億円、営業利益は621億円改善の216億円。
先進国を中心に、薄型テレビ、BDレコーダ、デジタルカメラなどの売り上げが大幅に減少したものの、固定費削減や構造改革効果により営業利益は黒字転換した。「薄型テレビでの不採算モデルの絞り込みや、パネルの外部調達の拡大、非テレビ事業の拡大などにより、テレビおよびパネル事業の収益改善が進んでいる。第3四半期累計で約900億円の営業利益改善となっており、年間1,100億円の改善に向けて予定通りの進捗となっている。薄型テレビの収益改善などが、AVCネットワークスの増益に貢献している」とした。
テレビセットとテレビパネル外販をあわせた出荷台数は、前年同期の1,472万台から1,075万台に減少。そのうち、セットだけの販売は770万台となった。内訳は、液晶がセット販売で607万台、パネルの外販を含むと911万台。プラズマディスプレイパネルはセット販売が163万台、パネルの外販を含めて164万台。
また、テレビの販売金額は26%減の4,274億円。そのうち、液晶テレビの売上高は前年同期比8%減の3,044億円、プラズマテレビは50%減の1,230億円となった。
デジタルカメラは30%減の870億円。BDレコーダおよびプレーヤーが58%減の400億円となっている。
アプライアンスの売上高は1%増の1兆1,971億円、営業利益は8%減の703億円。エアコンの売上高が前年を下回り、冷蔵庫や洗濯機などが伸張したが、国内および中国での販売減が影響した。
エアコンは売上高が6%減の2,137億円、洗濯機・乾燥機が5%増の1,134億円、冷蔵庫が13%増の1,184億円となった。
システムコミュニケーションズは、小型複合機やPBXなどのシステム関連機器や携帯電話が減少し、売上高が15%減の5,098億円、営業損失は117億円悪化の140億円の赤字となった。
エコソリューションズは、欧州向け太陽光発電システムが減少したものの、LEDを中心とするライティング事業や配線器具などのエナジーシステムの販売が増加し、売上高が前年並の1兆1,401億円、営業利益が11%増の427億円。オートモーティブシステムズは、カーオーディオやカーナビゲーションシステムが国内外ともに成長し、売上高が28%増の5,717億円、営業利益は269%増の119億円。デバイスは、光ピックアップや半導体などの売上高が減少し、売上高は5%減の1兆302億円、営業利益は316億円改善し、179億円の黒字。エナジーは、車載用電池が大幅に伸張したが、民生用リチウムイオン電池の減少などの影響があったものの、合理化効果などにより、売上高が6%減の4,348億円、営業利益は231億円改善の64億円の黒字。その他事業では、マニュファクチュアリングソリューションの売り上げ減少や、三洋電機関連の事業譲渡の影響などにより、売上高が28%減の1兆129億円、営業利益が28%減の113億円となった。
なお、2012年度の連結業績見通しは10月公表値を据え置き、売上高は7兆3,000億円、営業利益は1,400億円、税引前純損失はマイナス3,650億円の赤字、当期純損失はマイナス7,650億円の赤字としている。
テレビおよびパネル事業に関しては、「構造改革に全力で取り組んでおり、その成果が出ている。だが、今年度の黒字化は難しい。次期中期経営計画において、追加戦略を含めてやっていきたい。非テレビ事業へのシフトを相当加速しており、その効果が出ていること、為替が円安に触れたことで、今後の改善にプラスになる。年間目標のセット販売で900万台、パネル外販を含めて1,300万台という目標は達成したい」(河井常務取締役)と語った。
また、河井常務取締役によると、「10月公表値に比べると、第3四半期では営業利益では100億円上回っている。その分、第4四半期は少し落とすことになる。第3四半期の売上高では、AVCネットワークス、システムコミュニケーションズ、その他分野が公表値に比べて落ちている。営業利益ではAVCネットワークス、アプライアンス、デバイスが10~20億円の範囲でマイナスとなっている。第4四半期においては、売上高でAVCネットワークス、アプライアンス、デバイスが下方修正する形になり、営業利益では、アプライアンス、デバイスが見通しから下がる。AVCネットワークス、エコソリューションズが営業利益ベースでは上昇しそうだ」としてほか、「中国では、反日運動が収束に向かっているという報告もあるが、第4四半期もこの影響が残ると考えている。中国におけるエアコンの流通在庫の問題もある」などとした。
さらに、「当社を取り巻く環境は刻一刻と変化しており、それに対応するために、スピードをあげて実行していく。2013年3月下旬には中期経営計画を発表する予定である」などと語り、「中期経営計画では、テレビ事業の改善についても、詳細を説明したい。為替が適正になれば、急速な改善が見込める」などとした。
中期経営計画については、「2015年度に営業利益率5%が軸になる。従来よりも時間をかけて、事業単位で作り込みを行なっている。徹底したものを出していく」と語った。
一部報道にあった富士通とのシステムLSI事業の統合については、「まだなにも決まっているものではない」とした。