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NVIDIA、Tegra 4にHDR撮影などの「Chimeraアーキテクチャ」

動画やパノラマもHDRで。LTEモデム統合「Tegra 4i」も

Tegra 4

 米NVIDIAは19日(現地時間)、スマートフォンやタブレット向けの新プロセッサ、Tegra 4に搭載するデジタルイメージング技術「Chimera コンピュテーショナルフォトグラフィ・アーキテクチャ」の新機能を発表した。

 新たに発表された機能は、写真や動画のHDR(ハイダイナミックレンジ)撮影機能や、HDR対応で魚眼レンズ相当の広角写真が撮影できるパノラマ機能、プレビュー画面でタッチした被写体にフォーカス/露出を合わせ続ける「パーシスタント・タップ・トゥー・トラック機能」など。いずれの機能も世界初としている。

 Chimeraアーキテクチャでは、「人間の目に見えている世界をほぼ再現できる」画像を素早く撮影するため、1秒あたり1,000億回近くの演算による画像処理を実行。X線CTスキャナや深宇宙望遠鏡、スパイ衛星などに使われている計算手法を活用しているという。HDR撮影機能は常時オンとなり、パノラマ写真撮影にも対応。カメラを左右や上下、あるいは対角に動かしながら「パノラマの範囲を塗る」ようにさまざまなアングルから写真撮影を行なうことで、魚眼レンズで撮影したような広角写真が手軽に撮れるという。

 「パーシスタント・タップ・トゥー・トラック機能」は、デジタルカメラのプレビュー画面に映った人や物体にタッチするだけでレンズの焦点を合わせ、撮影対象が動いたりアングル調整を行なったりしても被写体に追従する機能。撮影条件が変化すると、撮影対象や背景の露出が不足/過多にならないよう自動調整するという。

 これらのChimeraアーキテクチャの新機能は「Tegra 4」と、後述する4G LTE対応モデム統合プロセッサ「Tegra 4i」で利用することができる。ChimeraアーキテクチャのためのAPIも用意しており、Android端末向けの画像処理アプリを開発することも可能。

 Chimeraアーキテクチャに対応するカメラ用イメージング・センサ製品として同社は、ソニーの「Exmor RS IMX135 13MPセンサ」とAptinaの「AR0833 1/3” 8MPモバイル・イメージング・センサ」を挙げている。

 Tegra 4は、ARMのCPUコア「Cortex-A15」を4個搭載したクアッドコア構成SoC(System-on-a-chip)。72個のカスタムコアからなるGeForce GPUも搭載し、Tegra 3に比べてGPU能力が6倍に強化されている。4K動画にも対応する。

NVIDIA Tegra 4i

 4G LTE対応モデムを統合したARM SoC、「Tegra 4i」もあわせて発表した。端末メーカー向けにTegra 4i搭載スマートフォン開発のためのリファレンスプラットフォーム「Phoenix」(開発コードネーム)を提供することも明らかにしている。

 Tegra 4のCPUコアと違い、ARMの「R4 Cortex-A9」をベースとしたクアッドコアCPU(動作周波数2.3GHz)を採用。Tegra 4ではオプションのチップセットとしていた「NVIDIA i500」LTEモデムを、60個のカスタムコアからなるGPU、バッテリセーブ型コアとともに集積。4G LTEによる音声通信とデータ通信にも対応しながら、高品位なゲーム体験やフルHD(1080p)表示が可能とする。Chimeraアーキテクチャを採用し、HDR機能やHDR対応パノラマ写真撮影、「タップ・トゥー・トラック機能」に対応する。

 モデムベンダーによるLTEネットワーク機能の改良や強化が素早く簡単に行なえるという。電力効率を高めて端末バッテリの長寿命化を図ったことや小型化により、ハイエンド以外のスマートフォンでも高いパフォーマンスを実現できるとしている。

 なお、Tegra 4iのデモは、スペイン・バルセロナで2月25日~28日まで開催される「2013 Mobile World Congress」において、NVIDIAブースで行なわれる予定。

(庄司亮一)