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パイオニア、DSDネイティブ対応AVアンプ「SC-LX57」
ESS製DAC搭載で約18万円。12万円の「SC-2023」も
(2013/6/13 13:00)
パイオニアは、ミドルクラスAVアンプの新製品2機種を7月下旬に発売する。価格は、9.2chの「SC-LX57」が187,000円、7.2chの「SC-2023」が120,000円。カラーはどちらもブラック。
共通する特徴として、アンプ部に、多チャンネルハイパワー同時出力を可能にする「ダイレクト エナジーHDアンプ」を採用。使われているパワー素子「DirectPower FET」は、半導体チップを基板に直結させた独自の構造により、シンプルでクリーンな回路構成を実現している。
新モデル開発にあたって、パーツの再選定や、それに伴う周辺回路部品/回路の再設計を実施。DirectPower FETの持ち味を活かすために、より純度の高い音声信号入力ができるようパーツを選び、出力段において悪影響を及ぼす部分でも品位をキープできるよう工夫したという。
モデル名 | SC-LX57 | SC-2023 |
最大出力 | 310W×9ch | 310W×7ch |
価格 | 187,000円 | 120,000円 |
オーディオスケーラー (Hi-bit32 Audio Processing) (Up-Sampling) Digital Filter | ○ | - |
Hi-Bit24 Audio Processing | - | ○ |
フェイズコントロール | ○ フルバンド | ○ |
フロントUSB からのDSD再生 | 2.8/5.6MHz対応 ダイレクト/PCM変換再生 | 2.8MHz PCM変換再生 |
LX57はESSのDACを新搭載
上位モデルのLX57は、カナダESS Technologyの32bit DAC「SABRE32 Ultra DAC」を全チャンネルに採用。「極めて高精度なD/A変換は、ダイレクト エナジーHDアンプの性能とも相まって、このクラスではかつてないクオリティの高音質再生を可能」という。なお、パイオニアの2chアンプ最上位モデル「A-70」にも同シリーズが採用されている。
さらにLX57は、「オーディオスケーラー」機能も搭載。入力された音声を32bit/192kHz、または32bit/176.4kHz(CDを整数倍した場合)に拡張して処理する。好みに応じて解像度やサンプリングレート、フィルタ効果のマニュアル設定も可能。
ビット拡張の「Hi-bit32 Audio Processing」と、サンプリングレートをアップして可聴帯域内のノイズを低減させる「Up-Sampling」、プリエコーを取り除いて音の輪郭をクッキリさせる「Digital Filter」で構成されている。なお、「オーディオスケーラー」機能をマニュアル設定で行なう場合、「Hi-bit32 Audio Processing」と「Digital Filter」機能はマルチチャンネル音声に対しても適用できる。
AVアンプを制御できるスマートフォン向けアプリ「iControlAV 2013」にも、「オーディオスケーラー」操作機能を追加。サンプリングの切り替えなどを手軽に行なえる。また、アプリの「STATUS VIEWER」を使う事で、元データが「オーディオスケーラー」でどのように拡張され、再生されているかを確認する事も可能になった。また、アンプ付属のリモコンにも「A.SCALE」ボタンを新たに追加した。
SC-2023は、音声信号を24bitまで拡張して処理する「Hi-bit 24 Audio Processing」を備え、CDや、24bit/48kHzまでの圧縮音楽再生時で利用できる。
フロントのUSB端子からDSD再生
両モデルとも、AirPlayとDLNAに対応。DLNA 1.5に準拠し、ネットワーク経由でFLAC/WAV/AIFF/Apple Lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生に対応。FLACとWAVは24bit/192kHzまでサポート。ギャップレス再生にも対応する。
さらに、USB端子も備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルも再生可能。iPhone/iPad/iPodをUSB接続し、デジタル再生する事もできる。
新機能として2機種とも、USBメモリなどに保存したDSDファイルを、フロントのUSB端子に接続し、直接AVアンプで再生できるようになった。フォーマットはDSDIFFとDSF、拡張子は.dffと.dsfに対応する。
XL57とSC-2023で違いがあり、LX57は2.8MHzと5.6MHzの両方に対応するが、2023は2.8MHzのファイルのみをサポート。また、再生処理も、LX57はDSDのデータをDACに直接入力するダイレクト再生(ネイティブ再生)が可能だが、SC-2023はDSPでDSDをPCMに変換し、PCMデータとしてDACで変換する方式となる。
DSD以外にも、フロントのUSB端子、もしくはネットワーク経由で様々な音楽ファイルが再生可能。AIFF/WAV/FLACは24bit/192kHz、Apple Losslessは24bit/96kHzまでのファイルが再生できる。
また、2機種とも、SACDプレーヤーからHDMI入力された、2ch、および5.1ch音声の再生が可能。その際、PCMに変換して処理するだけでなく、LX57では新たに、DSDダイレクトの処理が可能になった。ただし、2chのみとなる。
4K表示でもオーバーレイ可能
最大出力は、LX57が310W×9ch(4Ω)、SC-2023が310W×7ch(4Ω)。バーチャルワイド/ハイト/サラウンドバック、という3つの仮想スピーカーを自動的に設定する事もでき、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が作れる「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。3Dコンテンツでは、奥行き感に合わせた「バーチャルデプス」も利用可能。各仮想スピーカーを個別にマニュアル設定する事もできる。スピーカーは、4Ω~16Ωまでに対応可能。
ユニットから出る音の位相を揃える「フェイズコントロールプラス」機能も進化。強くなった低域成分をユーザーがスマートフォンのアプリから調整できるほか、自動で設定する機能を利用した場合でも、どの程度調整されたのか調整値をチェックできるようになった。LX57は、スピーカー内で発生する低音と高音の時間的なズレや、チャンネル間で異なる位相特性をアンプ側で測定し、接続スピーカーの位相を全て揃える「フルバンドフェイズコントロール」も利用可能。
HDMIは、LX57が入力×9、出力×3(同時出力可能)、2023が入力×8、出力×2。どちらも4Kのパススルー表示や、1080pや720p映像の4Kへのアップスケーリングも可能。
表示している映像に、設定などをオーバーレイ表示する「シンプル オーバーレイ」も改善。新モデルでは、従来は非対応だった4Kアップスケーリング映像にも表示ができるようになったほか、各解像度に合わせて表示サイズも最適化された。
また、従来はHDMI出力の内、HDMI 1のみオーバーレイ表示が可能だったが、LX57では3系統の出力の中で、HDMI 1と2の2系統で表示が可能になった。新たにオーバーレイ表示が可能になったSC-2023では、HDMI 1のみとなる。なお、2機種とも、4Kパススルー表示や3D映像を出力する際、オーバーレイ表示はできない。
フロントのHDMI端子は、MHL 2.0に対応。対応するAndroid端末などを接続し、ケーブル1本でフルHD動画などをスマートフォンから表示できる。
メインルームとは異なる部屋で、メインルームとは異なるコンテンツが再生できる「ゾーン」機能も用意。LX57は9chの入力、2023は8chの入力を使用。サブルームでも、HDMIで入力した4Kや3Dの映像表示、マルチチャンネル音声再生が可能。
Macユーザー対応強化。ECO機能も
デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応。DTS Neo:X(SC-2023はDTS Neo:X 7.1)にも対応する。
Windows用に、初期セットアップなどが可能なソフト「AVNavigator 2013」を提供しているが、新たにMac向けの「AVNavigator for Mac」が追加。さらに、既に提供しているiPad版「AVNavigator」がフル機能版に進化。連動取説、説明動画が利用できるようになる。
ECOモードも搭載。ピークボリュームを抑制して、使用時の消費電力を抑える「インテリジェントECOモード」や、スタンバイ時の消費電力削減も実施。「インテリジェントECOモード」は、音楽やネットラジオなど、平均音量レベルの高いコンテンツ向け、映画やライヴなどダイナミックレンジの高いコンテンツ向けと、2つのモードから選べる。
モデル名 | SC-LX57 | SC-2023 |
最大出力 | 310W×9ch | 310W×7ch |
HDMI | 入力×9 出力×3 | 入力×8 出力×2 |
音声入力 | アナログ(オーディオ)×1 アナログ(AV)×4 光デジタル×2 同軸デジタル×2 | |
映像入力 | コンポジット×4、コンポーネント×2 | |
出力端子 | 9.2chプリアウト×1 アナログ音声×1 光デジタル音声 マルチゾーン用音声×2 マルチゾーン用サブウーファ×1 マルチゾーン用コンポジット×1 マルチゾーン用 HDMI(HDZONE)×1 など | 7.1chプリアウト×1 アナログ音声×1 マルチゾーン用音声×2 マルチゾーン用サブウーファ×1 マルチゾーン用コンポジット×1 マルチゾーン用 HDMI(HDZONE)×1 など |
その他の端子 | USB、Ethernet、12Vトリガー、RS232C、IR | |
消費電力 | 330W (待機時0.1W) | 290W (待機時0.1W) |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×441×185mm | |
重量 | 15.3kg | 14.7kg |