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パイオニア、ESS DACで8万円台のAVアンプ「VSA-1124」
LAN経由でDSD再生。5.2chで51,000円「VSA-824」も。
(2014/5/15 13:00)
パイオニアは、AVアンプのエントリーモデル2機種を6月下旬に発売する。価格は7.2chの「VSA-1124」が85,000円、5.2chの「VSA-824」が51,000円。
「クラスを超えた音質」をキーワードに開発されたという2モデル。「VSA-1124」は、上位機種と同様にESS製のDACを搭載。ハイレゾ音楽ファイル再生、AirPlay、DLNA 1.5のネットワークプレーヤー機能も搭載、HDMI 2.0対応で4K映像もサポートするなど、低価格ながら多機能なモデルとなっている。
VSA-1124の特徴
DACチップは192kHz/24bit対応の「SABRE Premiere Audio DAC ES9006S」。オーディオ専用のカスタムコンデンサや、薄膜高分子積層コンデンサなども採用。アナログ/デジタル回路で独立電源を採用し、信号経路も短縮化するなど、「ダイレクト エナジー デザイン」に基づく高音質設計を追求したという。
さらに、ルビコンと共同開発した「PML MUコンデンサ」も採用。メッキに磁気歪みの無い非磁性体を使うなど、音質に配慮して開発されたもので、「抑圧感を抑え、透明感と開放感のある高音質を実現する」という。
自動音場補正「Advanced MCACC」機能が、上位モデルに先駆けて進化。低音のマネジメント能力(EQ/Delay/Level)を強化しており、音楽の基音となる低域の再現が向上。サウンド全体の表現をより豊かにできるという。このサブウーファEQ補正機能は、f特重視のEQタイプである「ALL CH ADJUST」を選ぶと自動調整されるほか、ユーザー自身がマニュアル調整する事もできる。
さらに、ディスクや放送波など、音源自体に含まれるLFEの位相(タイミング)のズレを自動で解消する技術を内包した「オートフェイズコントロールプラス」機能も備えている。
DLNAのネットワークプレーヤー機能にも対応。FLAC/WAV/AIFFの192kHz/24bit、Apple Losslessの96kHz/24bitといったハイレゾファイル再生をサポートするほか、新たに、マルチチャンネルハイレゾファイルの再生もサポート。FLAC/WAVの96kHz/24bitの5.1chを再生できる。さらに、Windows 8/8.1からのネットワーク再生にも対応した。
DSDは2.8MHzの再生に対応。DSDファイルのネットワーク再生にも対応した。送り出し側は現時点で、バッファローの一部対応NASのみサポートする。
なお、VSA-824は、DSDやFLAC/WAVのマルチチャンネル再生には対応していないが、それ以外のネットワーク再生機能はVSA-1124と同じ。
入力信号をビット拡張して処理する「Hi-bit24 Audio Processing」や、5.2chスピーカー環境で最大11.2chのバーチャルサラウンド再生を可能にする「バーチャルスピーカーズ」機能、入力信号のレートに合わせて音質を自動補正する「オートサウンドレトリバー」なども備えている。
VSA-1124/824に共通する特徴
どちらもディスクリート方式のパワーアンプ部を採用。最大出力は1124が180W×7ch、824が160W×5ch。
VSA-1124/824両方で、サブウーファ接続用のプリアウトを2系統装備。2つのサブウーファを接続でき、よりパワフルな低域再生を実現するという。
HDMI 2.0にも対応。「業界最速のタイミングで対応」としており、4,096/3,820×2,160ドット/60Hzをパススルーできる。4K/60p 4:4:4/24bitもサポート。4:2:0と比べ、色情報を圧縮しないことで鮮やかな色表現を可能にしたという。なお、1124はフルHD映像を4Kにアップスケーリング出力する事も可能。
スマートフォンのアプリからの制御にも対応。これまでAVアンプの下位モデルでは「Control App」というシンプル機能のアプリが使われていたが、上位機種で使われている多機能な「iControlAV」に一本化される事になる。これに伴い、アプリは「iControlAV5」に進化。「iControlAV 2012」、「iControlAV 2013」、ControlApp対応のAVアンプで利用できるようになる。アプリにはAndroid版、iOS版が用意される。
「iControlAV5」では、AVでアンプのステータスを確認するだけでなく、設定も可能。スピーカーセッティングの絵を表示し、各スピーカーにタッチし、直接そのスピーカーの音量をコントロールしたり、入力映像をどのようにアップスケーリング処理するかをタッチでラインを引くように設定するなど、直感的な操作ができる。
リモコンの使い勝手も改善
HDMI端子は1124が、7入力(フロント×1、MHL兼用リア×1含む)、2出力。824が6入力(フロント×1、MHL兼用リア×1含む)、1出力。USB端子にiPod/iPhoneをデジタル接続して高音質再生する事も可能。AirPlayも2機種とも対応する。デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応する。
VSA-1124は付属リモコンも刷新。ボタン数を削減し、主要機能をダイレクトに操作できるようにしたほか、機能毎にボタンの色を変える事で、視認性を改善。印刷色も変更しているという。
また、従来は製品に付属するCD-ROMに収録されていた、設定・操作アシスト用の「AVナビゲーター」を、AVアンプ本体に内蔵。PCやタブレットなど、様々な端末からブラウザでAVアンプにアクセスすると、設定方法などが書かれたAVナビゲーターが表示され、それを見ながら操作ができる。
音を聴いてみる
VSA-1124をパイオニアの試聴室で体験。Blu-rayのクラシック音楽ソフトや、マルチチャンネルのハイレゾファイルなどを聴いた。5.1ch環境で、スピーカーは同社の「シリーズ7」を使っている。
音質面の大きな特徴は、上位のLXシリーズと同様にESS製のDACを搭載した事だが、実際に聴いてみると、広い音場に、音像が精密に描写されていくESSらしいシャープでカッチリしたサウンド。ハイレゾの情報量も聴き取りやすい。
上位シリーズとの違いは、パワーアンプ部はClass Dではなくアナログアンプである事だが、ESS DACとの組み合わせでもチグハグさはまったく無く、ESSの実力を良く引き出していると感じる。低域は量感豊かだが、同時にキレの良さとスピード感も備わっており、もったりした感じは一切ない。強化されたAdvanced MCACCの成果も発揮されているようだ。
型番 | VSA-1124 | VSA-824 |
価格 | 85,000円 | 51,000円 |
定格出力 | 100W×7ch (8Ω時) | 95W×5ch (8Ω時) |
最大出力 | 180W×7ch (6Ω時) | 160W×5ch (6Ω時) |
プリアウト | 2.1ch (フロント2ch/サブウーファ2端子) | 0.1ch (サブウーファ2端子) |
HDMI出力 | 2系統 (HDZONE対応) | 1系統 |
HDMI入力 | 7系統 | 6系統 |
音声入力 | 同軸デジタル×1 光デジタル×1 アナログ音声×3 | 同軸デジタル×1 光デジタル×1 アナログ音声×3 |
映像入力 | コンポジット×2 | コンポジット×2 |
映像出力 | コンポジット×1 | コンポジット×1 |
その他 | Ethernet/ Bluetooth対応アダプタポート | Ethernet/ Bluetooth対応アダプタポート |
消費電力 (スタンバイ時消費電力) | 550W (0.1W) | 450W (0.1W) |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 435×362.5×168mm | 435×331.5×168mm |
重量 | 9.8kg | 8.6kg |