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パイオニア、ESS DACで8万円台のAVアンプ「VSA-1124」

LAN経由でDSD再生。5.2chで51,000円「VSA-824」も。

左から7.2chの「VSA-1124」、5.2chの「VSA-824」

 パイオニアは、AVアンプのエントリーモデル2機種を6月下旬に発売する。価格は7.2chの「VSA-1124」が85,000円、5.2chの「VSA-824」が51,000円。

 「クラスを超えた音質」をキーワードに開発されたという2モデル。「VSA-1124」は、上位機種と同様にESS製のDACを搭載。ハイレゾ音楽ファイル再生、AirPlay、DLNA 1.5のネットワークプレーヤー機能も搭載、HDMI 2.0対応で4K映像もサポートするなど、低価格ながら多機能なモデルとなっている。

「クラスを超えた音質」がキーワード
7.2chの「VSA-1124」
5.2chの「VSA-824」

VSA-1124の特徴

VSA-1124
VSA-1124の特徴

 DACチップは192kHz/24bit対応の「SABRE Premiere Audio DAC ES9006S」。オーディオ専用のカスタムコンデンサや、薄膜高分子積層コンデンサなども採用。アナログ/デジタル回路で独立電源を採用し、信号経路も短縮化するなど、「ダイレクト エナジー デザイン」に基づく高音質設計を追求したという。

 さらに、ルビコンと共同開発した「PML MUコンデンサ」も採用。メッキに磁気歪みの無い非磁性体を使うなど、音質に配慮して開発されたもので、「抑圧感を抑え、透明感と開放感のある高音質を実現する」という。

 自動音場補正「Advanced MCACC」機能が、上位モデルに先駆けて進化。低音のマネジメント能力(EQ/Delay/Level)を強化しており、音楽の基音となる低域の再現が向上。サウンド全体の表現をより豊かにできるという。このサブウーファEQ補正機能は、f特重視のEQタイプである「ALL CH ADJUST」を選ぶと自動調整されるほか、ユーザー自身がマニュアル調整する事もできる。

 さらに、ディスクや放送波など、音源自体に含まれるLFEの位相(タイミング)のズレを自動で解消する技術を内包した「オートフェイズコントロールプラス」機能も備えている。

「VSA-1124」の背面

 DLNAのネットワークプレーヤー機能にも対応。FLAC/WAV/AIFFの192kHz/24bit、Apple Losslessの96kHz/24bitといったハイレゾファイル再生をサポートするほか、新たに、マルチチャンネルハイレゾファイルの再生もサポート。FLAC/WAVの96kHz/24bitの5.1chを再生できる。さらに、Windows 8/8.1からのネットワーク再生にも対応した。

 DSDは2.8MHzの再生に対応。DSDファイルのネットワーク再生にも対応した。送り出し側は現時点で、バッファローの一部対応NASのみサポートする。

 なお、VSA-824は、DSDやFLAC/WAVのマルチチャンネル再生には対応していないが、それ以外のネットワーク再生機能はVSA-1124と同じ。

 入力信号をビット拡張して処理する「Hi-bit24 Audio Processing」や、5.2chスピーカー環境で最大11.2chのバーチャルサラウンド再生を可能にする「バーチャルスピーカーズ」機能、入力信号のレートに合わせて音質を自動補正する「オートサウンドレトリバー」なども備えている。

VSA-1124/824に共通する特徴

「VSA-824」の背面

 どちらもディスクリート方式のパワーアンプ部を採用。最大出力は1124が180W×7ch、824が160W×5ch。

 VSA-1124/824両方で、サブウーファ接続用のプリアウトを2系統装備。2つのサブウーファを接続でき、よりパワフルな低域再生を実現するという。

 HDMI 2.0にも対応。「業界最速のタイミングで対応」としており、4,096/3,820×2,160ドット/60Hzをパススルーできる。4K/60p 4:4:4/24bitもサポート。4:2:0と比べ、色情報を圧縮しないことで鮮やかな色表現を可能にしたという。なお、1124はフルHD映像を4Kにアップスケーリング出力する事も可能。

 スマートフォンのアプリからの制御にも対応。これまでAVアンプの下位モデルでは「Control App」というシンプル機能のアプリが使われていたが、上位機種で使われている多機能な「iControlAV」に一本化される事になる。これに伴い、アプリは「iControlAV5」に進化。「iControlAV 2012」、「iControlAV 2013」、ControlApp対応のAVアンプで利用できるようになる。アプリにはAndroid版、iOS版が用意される。

 「iControlAV5」では、AVでアンプのステータスを確認するだけでなく、設定も可能。スピーカーセッティングの絵を表示し、各スピーカーにタッチし、直接そのスピーカーの音量をコントロールしたり、入力映像をどのようにアップスケーリング処理するかをタッチでラインを引くように設定するなど、直感的な操作ができる。

新アプリ「iControlAV5」の画面。イラストのスピーカーをタップし、直接そのスピーカーの音量を調整できる
アップスケーリング設定を指でラインを引いて設定しているところ
十字キーの操作ボタンもアプリで表示できるようになった

リモコンの使い勝手も改善

 HDMI端子は1124が、7入力(フロント×1、MHL兼用リア×1含む)、2出力。824が6入力(フロント×1、MHL兼用リア×1含む)、1出力。USB端子にiPod/iPhoneをデジタル接続して高音質再生する事も可能。AirPlayも2機種とも対応する。デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応する。

 VSA-1124は付属リモコンも刷新。ボタン数を削減し、主要機能をダイレクトに操作できるようにしたほか、機能毎にボタンの色を変える事で、視認性を改善。印刷色も変更しているという。

VSA-1124のリモコン新旧比較
VSA-1124のリモコン
VSA-824のリモコン

 また、従来は製品に付属するCD-ROMに収録されていた、設定・操作アシスト用の「AVナビゲーター」を、AVアンプ本体に内蔵。PCやタブレットなど、様々な端末からブラウザでAVアンプにアクセスすると、設定方法などが書かれたAVナビゲーターが表示され、それを見ながら操作ができる。

AVアンプにブラウザでアクセスすると表示される、設定補助機能「AVナビゲーター」

音を聴いてみる

スピーカーは「シリーズ7」を組み合わせた

 VSA-1124をパイオニアの試聴室で体験。Blu-rayのクラシック音楽ソフトや、マルチチャンネルのハイレゾファイルなどを聴いた。5.1ch環境で、スピーカーは同社の「シリーズ7」を使っている。

 音質面の大きな特徴は、上位のLXシリーズと同様にESS製のDACを搭載した事だが、実際に聴いてみると、広い音場に、音像が精密に描写されていくESSらしいシャープでカッチリしたサウンド。ハイレゾの情報量も聴き取りやすい。

 上位シリーズとの違いは、パワーアンプ部はClass Dではなくアナログアンプである事だが、ESS DACとの組み合わせでもチグハグさはまったく無く、ESSの実力を良く引き出していると感じる。低域は量感豊かだが、同時にキレの良さとスピード感も備わっており、もったりした感じは一切ない。強化されたAdvanced MCACCの成果も発揮されているようだ。

型番VSA-1124VSA-824
価格85,000円51,000円
定格出力100W×7ch
(8Ω時)
95W×5ch
(8Ω時)
最大出力180W×7ch
(6Ω時)
160W×5ch
(6Ω時)
プリアウト2.1ch
(フロント2ch/サブウーファ2端子)
0.1ch
(サブウーファ2端子)
HDMI出力2系統
(HDZONE対応)
1系統
HDMI入力7系統6系統
音声入力同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×3
同軸デジタル×1
光デジタル×1
アナログ音声×3
映像入力コンポジット×2コンポジット×2
映像出力コンポジット×1コンポジット×1
その他Ethernet/
Bluetooth対応アダプタポート
Ethernet/
Bluetooth対応アダプタポート
消費電力
(スタンバイ時消費電力)
550W
(0.1W)
450W
(0.1W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×362.5×168mm435×331.5×168mm
重量9.8kg8.6kg

(山崎健太郎)