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JDI、高コントラスト/低消費電力の「IPS-NEO」液晶をモバイル向けに量産

 ジャパンディスプレイ(JDI)は、深い黒色や自然な発色を再現するという「IPS-NEO」液晶のモバイル製品向け量産を7月より開始する。

従来のIPS(左)とIPS-NEO(右)の比較

 IPS-NEOは、光照射配向プロセスにより高透過率材料の使用を可能とし、透過率を10%以上向上させることができる液晶技術。高解像度化が進んでいるモバイル向け液晶では、画素サイズが小さくなるため透過率が低く、それ故にバックライト消費電力が大きくなるという課題があったが、IPS-NEOによる透過率向上により消費電力を削減できるほか、コントラストや視野角特性、製造歩留まりの向上などが図れるとする。

 液晶パネルの製造では、液晶分子の向きを同方向に揃える配向プロセスが必要で、一般的には配向膜に布を巻きつけたローラーで一定方向にこする「ラビング」という方法を用いる。ただし、ラビングではガラス基板上に形成された回路パターンの段差により配向できなかったり、こする過程で異物が発生するなどで、製造歩留まりに影響をあたえる場合があった。IPS-NEOではラビングではなく、光照射により配向を行なうため、これらの課題が解決できるという。

 これまでも医療などの産業用途でIPS-NEO液晶を提供し、高画質や高コントラストに評価を得てきたが、モバイル向けの用途拡大を図る。

 JDIでは、茂原工場の第6世代低温ポリシリコン(LTPS)液晶パネルラインにIPS-NEOの量産体制を構築。今後、他のラインにも順次導入し、展開する計画。

(臼田勤哉)