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4K TVシェア50%を狙うソニーマーケティング。ウォークマンは1/4をハイレゾに

 ソニーマーケティングの河野弘社長は、23日に大阪市内で会見を行ない、4Kテレビにおける国内市場シェアを50%とする目標を掲げる一方、ウォークマンにおける販売台数の4台に1台をハイレゾ対応モデルにする姿勢を示した。また、ウォークマンAシリーズの事前予約が前年度の製品に比べて2倍以上の実績になっていることや、デジタルカメラ分野にマーケティングリソースを積極的に投下する考えも明らかにした。河野社長は、「市場全体では販売台数増が見込めないなかで、高くても欲しいと思ってもらえる価値を提案するマーケティングに力を注ぐ」とした。

ソニーマーケティング 河野弘社長
国内AV市場規模の推移

 河野社長は、ここ数年、国内AV市場環境が年間2兆円規模で推移していることに触れながら、「2011年度までは地デジ化やエコポイント制度の影響もあり、年間3兆円を超える市場規模を誇っていた。2010年度には4兆3,000億円の市場規模があった。テレビは、レコーダーやオーディオといった周りの製品の販売増にも寄与する製品。こうした特徴を持った製品はそれほどあるものではなく、その低迷が市場に与える影響は大きい。テレビはどこかのタイミングで反転すると考えているが、今後数年は台数成長が見込める状況にはない。モノが行き渡っている時代において、必要なモノではなく、価値を感じるモノへとニーズがシフトしている。それを先取りし、ソニーが変化を促していく必要がある」と切り出す。

 ソニーマーケティングでは、4Kテレビ、デジタルカメラ、ハイレゾオーディオの3つの製品群において、「高付加価値戦略」を展開。重点的に力を注いでいく姿勢をみせる。

年末商戦で4K TVシェア50%へ。単価下落は4Kシフトでカバー

4Kテレビの市場トレンド

 4Kテレビにおいては、ソニーが「大型」と定義する46型以上の販売構成比が、今年4月には台数ベースで15%、金額ベースで40%にまで拡大してきたこと、さらに46型以上においては4Kテレビの構成比が今年9月には24%にまで拡大してきたことを指摘。「1台あたりの単価を引き上げるという点でも大型化、4K化は重要な要素。ソニーは4K化に一番早く取り組み、一番力を入れてきた自負がある。早期に、46型以上の4Kテレビの比率を30%にまで高めたい」とした。

 年末商戦が含まれる2014年度第3四半期(2014年10〜12月)においては、テレビの全販売台数の10%を4Kとすることで、テレビ全体の平均単価を前年同期の6万7,760円から、7万5,100円にまで約2割引き上げる考えを示す。

テレビは4Kに注力

 「10台に1台は4Kテレビを売る。前年同期の4Kテレビの平均単価は44万円だったが、今年は27万4,000円にまで下がる。だが、テレビ市場全体では、4Kテレビの拡大により、平均単価を大きく引き上げることができる」と見込んでいる。

 これにより、2014年度第3四半期の国内テレビ市場は、前年同期比5%増の140万台、金額では16%増の1,047億円と2桁成長に達すると試算している。

 ソニーマーケティングでは、4K市場において、市場全体の底上げを図りながら、年末商戦ではシェア50%の獲得を目指すという。

台数で10%を4Kとし、テレビ全体の単価を向上
4Kマーケットの推移
4Kチューナなども訴求

 「一時は70%のシェアを持っていた時期もあったが、市場拡大期においてもリーダーのポジションを確保し、4K市場を確実に立ち上げていく使命があると考えている」と4Kへの取り組みに意欲をみせる。

 4Kへの取り組みについては、4Kアップコンバートの徹底訴求により、いますぐ4K対応テレビが楽しめることへの認知を高める考えで、量販店店頭においても普段見ている映像でも4K対応テレビの表示の方がきれいであることを示すために、2Kと4Kを比較した展示を実施。さらに、今後の4K放送や4K配信に対しても安心感をもってもらうために4Kメディアプレーヤーを投入。また、11月中旬からJR東日本や大阪市営地下鉄での交通広告を展開するという。

デジカメは4D FOCUS

αシリーズなど高付加価値製品を訴求

 デジタルカメラについては、αシリーズによるミラーレス一眼カメラと、RXシリーズによる高機能コンパクトデジタルカメラにフォーカス。「カメラはソニーにとってチャレンジャー。スマホの影響で、コンパクトデジカメ市場は減少しているが、ミラーレス一眼カメラや、高級コンパクトデジカメはまだ元気だといえる。これをさらに加速させたいと考えている」とし、なかでも「4D FOCUS」を差異化技術として徹底訴求する姿勢を示した。

 「販売店との商談会で、最も高い評価を得たのが、4D FOCUS機能。α6000で実現した世界最速の高速オートフォーカス性能や、高い追従性能に関心が集まっていた。この技術は中期的にみても、ソニーのデジタルイメージング事業の強みになるうる技術。オートフォーカスの優位性をもっと訴えたい」と語った。

テーマは4D FOCUS
デジカメ市場の変化
レンズにおける付加価値販売効果

 さらに全国規模でのテレビCMのほか、ソニーストアで実施しているαユーザーを対象にしたα Cafe体験会を通じた撮影スキルの向上の場、レンズ体感の場を提供することなどに力を注ぐ。

 「セミナーの講師育成にも取り組んでおり、現在、第1期生が全国に散らばっている。様々なテーマでセミナーを実施し、撮影する楽しさを知ってもらいたい。これにより、レンズにおける付加価値販売にもつながる。日本はレンズの所有率が高く、エレキの収益性向上にも寄与している。ソニーが本当のカメラメーカーになるには、ハードウェアの訴求だけに留まらず、顧客に対するマーケティング活動が必要。デジタルカメラ分野に対して、特別なマーケティング予算を投下する」と述べた。

ウォークマンは1/4をハイレゾに

ハイレゾ対応したNW-A16/A17

 3つめのハイレゾオーディオについては、「いまでも、ソニーといえば、ウォークマンといわれるように、ソニーのDNAはオーディオにある。個人的には、ソニーのオーディオが元気になることを望んでいる」と語る。

 2013年に発売したNW-ZX1は、ハイレゾオーディオ市場を切り開いたが、75,000円という価格設定も影響して、コアユーザーが中心となった製品。だが、今年発売するウォークマンAシリーズ「NW-A16/NW-A17」は、ボリュームゾーンをターゲットとした製品に位置づけ、ハイレゾユーザーを一気に拡大する考えだ。

ソニーはハイレゾ。
NW-A16/A17でウォークマンの1/4をハイレゾに

 「moraのハイレゾ音楽のダウンロードランキングをみると、中森明菜などが上位に入り、40代以上の人たちが中心に聞いているのが推測される。その一方で、アニソンも上位に入っており、若い世代にもハイレゾオーディオに対する関心が高まっていることがわかる。11月8日に発売するNW-A16およびNW-A17はそうした層をターゲットにしていく」と語る。

ソニーストアの予約は昨年の倍に

 ソニーストアではすでに予約を開始しており、昨年の同等モデルに比べて2倍以上の販売台数に達することになるという。

 「世界最小、最軽量のハイレゾオーディオミュージックプレーヤーとして、販売店からの反応もよく、強い手応えを感じている。すでに予定の販売台数を大きく上回っている。この下期は、ウォークマンの実売台数の4台に1台をハイレゾにしたい」という。

 ソニーストア大阪の堺本浩司店長によると、「上期のウォークマンの全販売台数の4分の3がハイレゾオーディオモデルになっている。ソニーストア大阪ではひと足先にハイレゾ化が進んでいる」と補足する。ハイレゾ化は着実に進展しているようだ。

 また、河野社長は、「今回のAシリーズでは、Androidではなくなったが、開発陣はよく決断してくれたと思う。純粋なウォークマンであり、バッテリの持ち時間が改善された点は評価されている」と語った。

 12月上旬からは、木村カエラさんを起用したテレビCMを全国で展開。販売にさらに弾みをつける考えだ。

 「ハイレゾの認知度は今年6月には25.8%であったが、9月には48.2%にまで上昇している。また、ハイレゾオーディオを購入した人は、単品ではなく、様々な周辺機器を購入する傾向が強く、新たにハイレゾの音楽をダウンロードしている。単体販売に留まらないビジネスになっている」とした。

ハイレゾの認知率も向上
ウォークマンをアピール

 一方、VAIOについては、「VAIOを、最もVAIOらしく販売していたのが、ソニーマーケティングであったといえる。VAIOは全社売上高の3割程度を占めていたが、今後、数年でそこまで戻るかどうかはわからない。来年がフルイヤーで貢献するため、そこから先にどうなるかを見ていきたい」として、ポストVAIOに対して取り組む姿勢もみせている。

VAIOは様子見

 ソニーマーケティングでは、テレビやハイレゾオーディオ、PCのように周辺機器の販売増加につながる製品の取り組みによって、関連製品の買い増し促進を図っていく考えだ。

 「付加価値販売により、商品単価の向上、高単価商品の構成比向上、そして、関連商品の買い増し促進を図る。これにより、市場の活性化と成長、顧客満足度を高めることにつなげたい。安い商品のマーケティングをするのではなく、高くても欲しいと思ってもらう価値の高いマーケティングに取り組む」とした。

 ソニーマーケティングでは、「ソニーファンの創造」をミッションに掲げている。また、商品軸のプロダクトマーケティング、販売チャネル軸のチャネルマーケティングに加えて、顧客軸のカスタマーマーケティングに取り組み、顧客視点での姿勢を強化。そのひとつとしてソニーストアを通じた顧客体験の場の提供があるとする。

ソニーファンの創造がミッション

 さらに、今後の取り組みとして、ソニーのデバイス部門との連携を図る考えを示す。

 「これまでは商品事業部門との接点が多かったが、デバイス組織との連携によってビジネスにつながるものが多いこともわかった。デバイスからビジネスをつくるようなプロデュース力がこれから求められる」とした。

 10月26日に大阪市内で開催される大阪マラソンでは、ケイ・オプティコムと協業して、ソニーがIFAで参考展示した透過式メガネ型端末「Smart EyeGlass」をランナーに装着させ、マラソン中に走行タイムや順位、応援メッセージ、観光情報などを表示する実証実験を行なう。これらの成果を踏まえて、スポーツ領域に留まらず、様々な分野へのウェアラブルデバイスの展開を、同社法人営業本部を通じて模索していくことになるという。

Smart EyeGlassを装着する河野社長

(大河原 克行)