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LINNの“布巻きスピーカー”や、エニグマの静電型+ダイナミック型ヘッドフォンなど
(2015/9/25 18:49)
9月25日から27日まで、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されているオーディオ機器の展示/試聴イベント「2015東京インターナショナルオーディオショウ」。ここではELACやLINNの新スピーカー、エニグマ・アコースティクスの静電型+ダイナミック型ハイブリッドヘッドフォンなどをレポートする。
ユキム
ユキムブースでは、12月の発売が予定されているELACの新スピーカーシリーズ「デビュー・ライン」が展示されている。ブックシェルフの「Debut B6」(ペア7万円)、トールボーイ「Debut F5」(ペア125,000円)が展示されているが、さらに上位モデルの「F6」、下位モデルの「B5」というモデルもラインナップされるという。
大きな特徴は、TADやKEFでスピーカー開発を手掛けてきた、エンジニアのアンドリュー・ジョーンズ氏が開発に関わっている事。JETツイータではなく、1インチのクロスドームツイータと、アラミドファイバーを使ったウーファを採用。いずれもジョーンズ氏がデザインしたもので、強度と軽さを追求したものだという。
Carot Oneのコーナーでは、イヤフォンの新モデル「SUPER TITTA」を参考展示。年内に発売予定で、TITTAの上位モデルにあたる。大きな特徴として、ハウジング部分にネジのようなパーツを装備。ユーザーがそれを付け替える事ができ、音の傾向を調整可能。JAZZ向けパーツなど、複数の交換用パーツを同梱し、聴く音楽に合わせて付け替えられる。
ケーブル関連の新モデルでは、inakustikの「NF-2404 XLR」(ペア1.5m 36万円)が注目を集めている。絶縁体などは空気が理想的という発想で作られているもので、穴の空いたプレートが無数に内部に配置されている。その穴を導体が通る事で、内部で触れ合わず、空気を絶縁体として使っているのが特徴。
エニグマ・アコースティクス
スーパーツイータを手掛けているエニグマ・アコースティクスが、ヘッドフォン市場に参入。「ダーマ D1000」というモデルで、10月頃の発売を予定。価格はオープンで、18~20万円程度になる見込み。
同社が特許を持つ、静電型でありながら専用の電源が不要なSBESL(セルフバイアス式静電スピーカー)の技術をヘッドフォンに応用している。高域用にはSBESLを、低域用には和紙の製造技術を活用した50mm径のダイナミック型ドライバを搭載。ハイブリッドタイプとなっており、15~50kHzまでの再生ができる。インピーダンスは26Ω、感度は95dB(1kHz/1mW)。
専用のアンプでドライブする必要がないため、入力端子は標準プラグのステレオ。通常のヘッドフォンアンプや、変換プラグを介してスマートフォンなどでもドライブできるという。
短時間だが試聴したところ、静電型ならではの高解像度な中高域と、厚みのある低域がうまく融合しており、静電型ヘッドフォン特有の低域が弱い印象は一切無い。ハイクオリティなサウンドに仕上がっていた。
同時期に24万円で発売予定なのは、ヘッドフォンアンプ「アテナ A1」。ローノイズで低インピーダンスな双三極管「ECC82/B749」を使ったシングルエンド・A級の入力段を搭載。出力段はMOSFETとBJT(バイポーラTr)をA級動作で組み合わせたハイブリッド構成になっている。
LINN
スピーカーにパワーアンプを内蔵し、プレーヤーから音楽データをデジタル伝送するEXAKTスピーカーの新シリーズとして、「Series 5」が参考展示された。今年中の発売を予定しており、価格は「530」が199万8,000円、「520」が1,458,000円。
最大の特徴は、サランネット代わりの布をスピーカーの正面、側面、背面にグルっと巻きつけるような構造になっている事。購入時に好みの色や柄の布を指定するほか、布だけの販売も予定。英国のメーカーらしく、ツイードなどの販売も予定されているという。リビングなどで、よりカジュアルに活用するスタイルを提案するシリーズと位置づけられている。
ユニットの前も覆うため、音への影響が気になるところだが、デジタルで高度な補正を行なうEXAKTの特徴を活かし、巻きつけた布をあらかじめシステムで設定しておく事で、その布を透過しても音質が劣化しないような補正をあらかじめかけた状態で再生できるという。
タイムロード
CHORDのフラッグシップDAコンバータ「DAVE」が展示された。12月発売で、価格は150万円。10月1日より受注を開始する。
USBや光デジタル、BNC同軸などの入力を備え、USBでは11.2MHz DSDや768kHzまでのPCMに対応。新たに、FPGA「Spartran-6 Version LX75(XC6SLX75)」を搭載しており、高い処理能力を活かして音質を向上。モバイル向けの「Hugo」と比べ、10倍の回路規模を持つという。
FPGAに実装される「WITA(Watts Transient Aligned)」フィルターデザインは、164,000タップに向上。166個のDSPコアが並列駆動することで、サンプリングレート周波数の256倍のFIRフィルタが機能するという(Hugoは26,000タップ)。新設計の17次ノイズシェイパーなど、FPGAの処理能力を活かした設計により、DA変換精度を大幅に向上したとする。
9月12日から発売している、独ULTRASONEのオンイヤー型ヘッドフォン「ULTRASONE GO」も展示。ULTRASONEのサウンドを気軽に外出先でも楽しめるように開発したというモデルで、同社の密閉型で最軽量となる141g(実測値)を実現。新設計の折り畳み機構とハウジング部の可動により、コンパクトに収納できる。
40mm径のマイラードライバを搭載。独自技術の「S-Logic Basic」により、立体的で広がり感のあるサウンドを追求。プロフェッショナル向けのヘッドフォンを開発している同社の音作りをモバイルユースに最適化したという。