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「Unity with VOCALOID」無償公開。ユニティちゃん歌声のゲーム制作などが容易に

 ヤマハは、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのゲームエンジン「Unity」上で、VOCALOIDの歌声を使ったコンテンツが制作できるソフトウェア開発キット「VOCALOID SDK for Unity」を12月22日より提供開始した。特設サイトの「Unity with VOCALOID」からダウンロードできる。Unity 5.2.2以降に対応する。プラットフォームはWindows、Mac、iOSに対応し、順次追加予定としている。

「VOCALOID SDK for Unity」を使ったコンテンツのイメージ

 ヤマハとユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの2社は、誰もが自由にUnity上でVOCALOIDの歌声を利用した音楽ゲームやインタラクティブなコンテンツを開発できるようにするための合同プロジェクト「Unity with VOCALOID」を展開。その成果の一つが今回のVOCALOID SDK for Unityとなる。

 世界で大きなシェアを持つゲームエンジンであるUnityの開発環境から、シームレスにVOCALOIDの歌声合成エンジンにアクセスして利用可能にするソフトウェア開発キット(SDK)。ゲームのシチュエーションやユーザーの操作に連動してリアルタイムに歌声を合成し、キャラクターに歌を唄わせたり、その歌い方を変化させたりするようなインタラクティブなコンテンツを容易に開発可能としている。作成したコンテンツ自体に歌声合成エンジンが自動的に組み込まれるため、コンテンツの配布時に特別な対応は不要。

 また、VOCALOID SDK for Unityにインポートすることで、コンテンツ上の歌声音源として利用できる歌声ライブラリ「Unityランタイム版VOCALOID Library unity-chan!」も提供。歌声ライブラリは、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン公式キャラクター「ユニティちゃん」のオリジナルボイスでヤマハと共同開発した。

歌声ライブラリは「ユニティちゃん」のオリジナルボイス

 なお、「VOCALOID SDK for Unity」と「Unityランタイム版VOCALOID Library unity-chan!」は、制作されるコンテンツが「ユニティちゃんライセンス条項」に準拠すれば無償で利用できる。

 VOCALOID SDK for Unityには、Windows 7/8/10、Mac OS X 10.10/10.11、iOS 8.4/9.1 上で動作するマルチプラットフォーム対応の歌声合成エンジンを組み込んでいる。歌声合成エンジンは、様々なコンテンツで軽快に動作するよう最適化され、コンテンツ内での機敏なレスポンスとコンテンツの軽量化の両立を実現したという。将来バージョンではAndroidへの対応も予定している。

 歌声合成エンジンは、プラットフォームごとのネイティブプラグインとして提供。C#のインターフェイスを介して歌声合成エンジンを利用できる。

VOCALOID SDK for Unityの概要図

 歌声の合成は、歌詞やメロディー、調声パラメータ、シンガー(歌声音源)などから構成されるシーケンス情報をもとに行なう。シーケンス情報は、アプリケーション内で直接生成するほか、別途パソコンやiOSデバイス用のVOCALOIDで制作されたVSQ/VSQXデータを読み込んで利用することもできる。全てのシーケンス情報はプログラム上で操作/編集でき、歌声を使った様々な演出や表現ができるという。

歌詞やメロディーなどのシーケンス情報から歌声を合成、プログラム上で自由に編集できる

 歌声合成モードは「Playbackモード」と「Realtimeモード」の2つを用意。「Playbackモード」は、一定の先行時間(500ミリ秒+α)を設けた上で歌声の明瞭度や音質を優先して合成するモードで、ボーカルフレーズに豊かな表情や変化を与えて歌わせたい場合などに利用。「Realtimeモード」は、リアルタイム性を最優先して合成するモードで、歌声を利用したリズムゲームや楽器アプリケーションなどに適している。

(中林暁)