ニュース

サザエの貝殻を耳に当てて聴く「SAZAE RADIO」。bayfmが発売

 bayfm(ベイエフエム)は、千葉県で獲れた本物のサザエの貝殻を使ったラジオ「SAZAE RADIO(サザエラジオ)」を発売する。bayfm通販サイトの特設ページ「SAZAE RADIO」で4月1日12時から予約を受け付け、4月30日24時に受け付け終了。発送は5月中旬ごろを予定する。価格は3,980円(税込)。100個限定で、応募者多数の場合は抽選となる。「これまでのラジオの概念をくつがえす“全く新しいラジオ”」としている。

耳に当てて聴く「SAZAE RADIO」

 砂浜などで貝殻を耳に当てて“波の音”を聴く時と同じような仕草で、サザエを耳に当ててラジオを聴ける製品。ベイエフエムは東京湾近くに本社があることから「海に関わるものとラジオとの組み合わせで、何か面白いものができないか」と考え、「サザエからラジオが聞こえたら面白いのでは?」というアイデアから「SAZAE RADIO」の開発が決定したという。

 10cmを超える大ぶりのサザエの貝殻に、チューナユニットやスピーカーを内蔵。天然のサザエを使用するため、一つ一つの色や形が異なる。チューナはFMのみだが、ベイエフエム以外の局も聴くことができ、AM番組をFMで放送するワイドFM(FM補完放送)にも対応。オートチューニング対応で、チューニングボタン(電源ボタン兼用)を押すと自動で順に選局する。アンテナケーブルも備えている。

SAZAE RADIOの利用イメージ
天然の貝殻を使用し、一つ一つの形などが異なる

 ボリュームノブを備え、1人で使うときは耳に当てたり机に置いたりして聴けるほか、ボリュームを上げれば複数人で一緒に聴くことも可能。スピーカーユニットがあるバッフル面を下に向けて置くと、机などの置いた面を震わせる「振動スピーカー」のような聴き方もできる。なお、イヤフォン出力端子は搭載しない。バッテリを内蔵し、連続使用時間は2時間。充電はmicroUSB経由で行なう。

 サザエの穴に合わせた楕円形の基板にチューナやユニットなどのパーツを配置。エンクロージャである貝殻の特性に合わせた結果、音質的に優れていたという国産のスピーカーユニットを採用。貝殻への基板の固定は、最初は加工しやすいように柔らかい素材で接着していたが、硬質なエポキシパテにしたところ不要な振動が抑えられ、音質が改善したという。

右のボタンが電源兼チューニング、中央のノブがボリューム、左のUSBが充電用
ユニットを下にして伏せると、置いた机などの面を震わせることで違った音で聴ける
アンテナケーブルを装備
10cm大の千葉県産サザエを使用
各部の説明

廃棄される貝殻を有効活用し、海とラジオをマッチング

 ベイエフエムに出演するラジオパーソナリティの槇原敬之、押切もえ、斎藤工、シシド・カフカ、山寺宏一、DOBERMAN INFINITYにもSAZAE RADIOが手渡され、感想などを語る動画がYouTubeにて公開。同日に行なわれたSAZAE RADIOの発表会で上映され、ベイエフエムの担当者から、制作の背景や過程などが語られた。

槇原敬之や押切もえ、シシド・カフカ、山寺宏一らのパーソナリティがビデオ出演
「SAZAE RADIO」のプロモーションムービー

 エンクロージャとなるサザエの貝殻は、千葉県内の漁協などが普段は廃棄しているものを、無料で譲り受けて使用。製品が100個限定である理由は、10cm大という大きなサザエの数が少ないことと、1個1個手作りであることなどから100個が限界だという。

 譲り受けたサザエの貝殻は、洗浄後に漂白剤に浸けて乾燥し、ワイヤーブラシで磨いて使用。色は付けずに天然そのままの形状を活かしている。貝殻の穴の部分は楕円形で、個体によって大きさは異なるものの、楕円の長軸と短軸の比率が一定なため、一つのサイズの基板で多くの貝殻に装着できるという。

制作過程。サザエを洗って漂白
日に当てて乾燥
ブラシで磨く
基板を組み込む
パテで基盤を固定
完成

 SAZAE RADIOを手作りしている開発担当の吉田八郎氏は、1つの基板に部品を収めるために苦労した一方で、スピーカーユニットは最小サイズのパーツでは音質が良くなかったことから、「ラジオ局として譲れない一点」として、大きなサイズの国産ユニットに変更したというエピソードを紹介した。

 編成局の小縣正幸氏は開発した理由について「千葉県は三方を海に囲まれ、海とラジオのマッチングをやりたいと以前から思っていた。貝殻を耳に当てると潮騒の音がすると小さい頃に経験した人もいると思うが、ラジオの音が出たらきっと面白いのではと単純に思ったのがきっかけ」と説明。3,980円と低価格なため100個では赤字とのことだが、「色々な人に知ってもらって、“ラジオって面白いことをやっているな”ということが伝われば」としている。

開発担当の吉田八郎氏(左)と、編成局の小縣正幸氏(右)

(中林暁)