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アドビ、動画配信プラットフォーム「Primetime」を国内で本格展開

 アドビシステムズは11日、動画配信プラットフォームの「Adobe Primetime」の日本市場への本格展開を開始すると発表した。

 Primetimeは、放送局や有料映像配信サービスプロバイダ向けの動画配信ソリューション。2013年にNABで発表され、米国CATV最大手のComcastや、NBC Sports、MLB Advanced Media、PlayStation Vueなどのサービスで利用されている。

Adobe Primetimeの採用事例

 Primetimeは、TVSDK、認証、DRM、広告の4つの主要機能を搭載。PCやスマートフォン、タブレット、ゲームコンソールなどのあらゆる視聴デバイスに対し、著作権処理されたテレビ番組や映画を配信できるほか、スムーズに動画広告の挿入/管理なども行なえる。

 日本導入にあわせて、新機能も追加。マルチDRM対応のHTML 5動画プレーヤー「Primetime TVSDK for HTML5」のほか、Marketing Cloudと連携したOTT事業者向けソリューション「Primetime OTT」、Videologyと共同開発した動画広告プラットフォーム「Primetime TVMM」、動画コンテンツレコメンデーション「Primetime Recommendations」などが追加されている。

Primetime TVSDK for HTML5の新機能
動画コンテンツレコメンデーションを強化

 TVSDK for HTML5により、動作の高速化や再生待ち時間の短縮、マルチDRM対応などを実現。また、レコメンデーションの強化により、ユーザー属性や視聴履歴以外の豊富なデータ・セットを使ったオススメに対応。例えば、視聴デバイスにあわせて、テレビでは長尺のコンテンツを中心にオススメ番組を構成、スマホでは短時間で視聴できる番組で構成するなど、ユーザーの視聴コンテクストに最適化したオススメを可能にする。また、再生時間の高速化も図っている。

 また、Adobe Marketing Cloudの他のソリューションと連携。視聴データの収集・解析や、視聴行動データをもとにした番組編成の最適化、パーソナライゼーション、動画広告のターゲティングなどが行なえるという。

 日本導入にあたり、販売・導入を支援するパートナーシップ体制も構築。カタリナ、コムスコア・ジャパン、サイバー・コミュニケーションズ、Jストリーム、Videology Japanと提携する。

 Adobe Primetimeの特徴は、これらのパートナー経由でシステム提供されること。他の動画配信事業者向けプラットフォーム(OoyalaやBrightcove)などは、導入が簡単な一方、カスタマイズができないなどの制限があるという。Primetimeは、顧客の要望にあわせてシステムを開発し、Adobeのパートナー経由で提供されるものとなる。そのため、スケール性も高く、必要に応じて機能追加が可能な点が特徴という。

Primetimeの優位性
Primetimeの責任者であるジェレミーヘルファンド氏

 Primetime担当バイスプレジデントのジェレミーヘルファンド氏は、動画配信の市場拡大を「メディア企業にとっても、消費者にとっても大きな機会。メディア企業は、ここにしっかり拡大し、さまざまな魅力を消費者に提供することが重要になる」とし、Primetimeの採用を呼びかけた。また、PCからテレビやゲームコンソールに視聴デバイスが移ってきていることや、Adobe Analytics等のソリューションとの連携による視聴データ分析や、パーソナライゼーションの強みについても説明。これまで立ち上げ期にあった映像配信が、市場拡大に伴い収益化、パーソナライゼーションのフェーズに入っているとして、Primetimeの優位性を強調した。

収益化とパーソナライゼーションのフェーズに入った動画配信

 また、Primetimeの採用事例として、アニメコンソーシアムジャパンによる「DAISUKI」を紹介。海外向けにアニメコンテンツの動画配信を行なうプラットフォームだが、採用理由については、Marketing Cloudとの親和性や、安定した広告配信、新デバイスへの対応の充実などを上げて説明した。

DAISUKI

(臼田勤哉)