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キヤノン、業務用4Kカメラ「XC10」にMP4録画追加。マスモニはHDR対応へ

 キヤノンは、小型軽量で約22万円の業務用4Kカメラ「XC10」に、MPEG-4 AVC/H.264のMP4での録画機能などを加えるファームウェアアップデートを7月上旬に実施する。無料で適用可能。

小型軽量の業務用4Kカメラ「XC10」

 従来はMXF(XF-AVC)のみの対応だったが、新たにMPEG-4 AVC/H.264のMP4でも録画が可能になる。記録解像度は最大1080/60pで、4:2:0/8bit 35Mbps。

 AF性能も向上し、最大約2倍に高速化。大デフォーカス状態で、レンズの移動方向の判断と駆動速度を高速化し、撮影前のピント合わせがより快適に行なえるようにする。オーバーシュートも低減させ、停止直前の不自然なピントのゆらぎも抑えるよう、チューニングしている。AFスピードは三段階から選択可能。

 シャッタースピードには1/25秒、1/50秒を追加。フリッカー光源下で4K撮影する際に、光源のちらつきによる露出やホワイトバランスの乱れを抑制する。

 5月下旬にはXA35/XA30に記録モードとしてMP4を追加。6月上旬に、XF305/XF300向けに、600%のダイナミックレンジを持つWIDE DRガンマを追加。高輝度優先・S/N優先対応などがファームアップで行なわれる。

 CINEMA EOS SYSTEMのカメラであるEOS C300 MarkII、EOS C100 MarkIIも、7月下旬に機能拡張ファームウェアを公開。C300 MarkIIでは、Canon Logと同様の扱いやすさと、1600%の広いダイナミックレンジを持つという新たな「Canon Log 3」に対応。PRIMEレンズ使用時に、ピント位置をGUIで把握できるデュアルピクセルフォーカスガイドも追加される。

EOS C300 MarkII

 両モデル共通の機能拡張としては、EFシネマレンズとの連携を強化。CN7×17 KAS S/E1、CN-E18-80mm F4.4 L IS KAS Sレンズを取り付けた際に、EF通信を使ったオート機能に対応。デュアルピクセルCMOS AFを使ったワンショットAF、コンティニュアスAFなどが可能になる。その他の拡張機能は公式サイトを参照のこと。

マスターモニターの4K/HDR対応も強化

 発売中の30型4Kマスターモニター「DP-V3010」、24型4K「DP-V2410」向けに、新規格に対応させるためのファームウェアが7月に無償公開される。

左下に表示されているのが背景モニタ。左右の映像は、異なるHDRレンジの設定を適用したもの。左の画面は暗いが、HDRディスプレイで表示した際に白トビをしないで撮影できているか確認できる

 大きなポイントは、HDR放送の標準規格として準備が進められている「Hybrid Log-Gamma(Y/RGB)」に対応する事。規格はまだ策定されていないが、今年の3月時点で公開されているドラフト版に対応する。

 さらに、Ultra HD Blu-rayやHDR放送に採用されるHDRのSMPTE ST.2084、Canon log~Canon log 3ガンマのHDR入力信号に対応した波形モニタを表示する事で、HDR制作時の確認が手軽に行なえるようになるという。

ガンマ設定画面
波形モニターのスケール設定

 V2410の強化点として、「2-Sample Interleave」にも対応。これは、4K映像を2ピクセルごとに分割した、4つのサブ画面(2K/HD)として送信し、ディスプレイ側で結合して4K表示を行なうというもの。4系統の信号全てが揃っていなくても、4K解像度ではないが、ディスプレイの全画面表示ができるため、例えば屋外の撮影現場で、カメラとディスプレイ間の4本のケーブルを全て接続するのが困難な場合、2本の接続でも、画角を確認しながら撮影ができる。表示解像度としては4Kを下回るが、高精細な映像を確認する必要がない場合など利用できる。

(山崎健太郎)