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伝説のヘッドフォンが復刻、ULTRASONE「Tribute 7」が約38万円で5月発売

 タイムロードは、独ULTRASONEのヘッドフォン「Tribute 7」の詳細を発表した。名機「Edition 7」を現在の技術で復刻したモデルで、発売日は5月14日。価格はオープンプライス、店頭予想価格は38万円前後(税込)。世界で777台の限定モデルとなる。

Tribute 7

 2004年に999台限定で発売された、ULTRASONEの伝説的なヘッドフォン「Edition 7」。現在も主力として展開されているEditionシリーズの原型となったモデルだが、そのサウンドを懐かしむ声や、聴いてみたいという若いヘッドフォンファンなどから、復刻を望む声が多く寄せられていたという。

Tribute 7

 そこで、ULTRASONEが25周年の記念として復刻を決定。ただし、「Edition 7」をデザインを含めて再現するのではなく、現在のマテリアルや技術を用いての復刻となる事から、モデル名は「Tribute 7」となった。サウンドの傾向はEdition 7を踏襲しており、Edition 7との周波数特性比較も1台1台実施。そのグラフも製品に同梱される。

ハウジングはアルミブロックからの削り出し

 ハウジングはアルミブロックからの削り出しで密閉型。表面は深いブルーカラーでアノダイズド処理されている。ハウジングはヘッドバンド方向に折りたたんだり、平らにスイーベルする事も可能。

 イヤーパッドにはエチオピンシープスキンを、ヘッドバンドには高級車の内装などにも使われるアルカンターラ素材を採用している。

 40mm径のチタニウムプレイテッド・マイラードライバを採用。再生周波数帯域は8Hz~35kHz。出力音圧レベルは96dB。インピーダンスは30Ω。頭内定位を緩和する「S-Logic Plus」テクノロジーや、低域電磁波低減テクノロジーのULEなども導入されている。

イヤーパッドはエチオピンシープスキン
ヘッドバンドにはアルカンターラ素材が使われている

 ケーブルは着脱可能で、ヘッドフォン側の端子は2.5mmのモノラル。端子の付け根に切り込みがあり、差し込んでから右にひねるロック機構を備えている。入力端子はステレオミニ。ケーブルは3mと1.2mの2本を同梱する。ケーブルの素材は、シルバープレイテッドOFCケーブル。ケーブルを除いた重量は399g。

 手作りのチェリーウッド製収納ケースや、セミハードキャリングケースが付属する。

ケーブルは着脱可能。ヘッドフォン側は2.5mmモノラル端子でロック機構付き
手作りのチェリーウッド製収納ケースが付属する

音を聴いてみる

 Edition 7と比べると、ハウジングのブルーカラーがとても明るくなり、イヤーパッドがホワイトではなく黒になっているなど、デザイン面では異なる部分も多い。だが、実際に手にとってみると、適度な重さがあり、高級感は抜群。ハウジングの光沢も合わせて、Editionシリーズが持つ独特の“別格”的な雰囲気も感じられる。とはいえ、Editionシリーズではなく、Tribute 7という独立した“孤高のモデル”という位置づけだ。

 ハイレゾプレーヤーの「AK380 Copper」と、ジャケット型外部アンプ「AK380 アンプ Copper」を組み合わせたシステムで試聴。接続は付属ケーブルなので、3.5mmのステレオミニだ。

 音が出た瞬間、思わず口元が緩む。懐かしさすら感じる“ULTRASONEらしい音”だ。ヴォーカルなど、中央の音の中低域が強く、音圧があり、迫力満点。同時に背後の空間はとても広いので、圧迫感は無い。高域は鋭く伸び、鋭すぎてキツイ音になってしまう一歩手前で踏みとどまる。このピーキーさ、ギリギリまで情報量を引き出そうとするサウンドが、実にULTRASONEっぽい。最近のEditionシリーズはどちらかというと優等生的なサウンドに思えるので、この個性派ぶりは、オーディオファンとしてはたまらないものがある。

 かといって、“キャラクターが強い変な音”ではまったくない。音場の広さ、低域の分解能、付帯音の少ない高域のクリアさなど、さすが30万円のヘッドフォンだけあり、ベースの再生能力の高さは圧倒的なものがある。その上で、フラットで大人しい音になっているのではなく、音圧によるパワフルさや、鋭い高域の気持ちよさをも追求している。“魅せる音”のヘッドフォンだ。

 ちょっと中低域が強すぎる印象があったが、外部アンプを外してAK380 Copperに直接接続すると、これが良い感じに抑えられ、低域の細かな音がより見えるようになった。高域の鋭さやクリアな感じは、おそらく標準で付属するシルバープレイテッドOFCケーブルによるところも大きいだろう。銀コートされていないOFCのケーブルなどと組み合わせたりしても面白そうだ。細かな変化にもすぐに反応する細かな描写力も備えている。

 高価なモデルだが、高価だからこそ、このくらい“旨味たっぷりのサウンド”を追求しているのが小気味良い。コストパフォーマンスを考えたり、理詰めで選ぶような製品ではない。一度聴くと心地よさの虜になり、それが頭から離れずに欲しくなってしまうような魅惑のサウンドだ。

(山崎健太郎)