ミニレビュー

最強“純銅”プレーヤーAK380 Copperをさらに強化。約70万円の音と重さは!?

 直販価格549,980円(税込)、重量約350g、筐体を銅で作った超弩級ハイレゾプレーヤー「AK380 Copper」。先日詳細をレポートしたが、しばらくこれ以上に“凄い”モデルは登場しないだろうと思っていた。しかし、早くもこの「AK380 Copper」を、さらに“凄まじい”モデルに進化させる「AK380 アンプ Copper」が登場した。

左がAK380 Copper+AK380 アンプ Copperで、643g。右はお茶のペットボトルで549g。プレーヤーの方が重い

 「AK380 アンプ Copper」は、端的に言えば、ジャケットのようにAK380の背面にドッキングできるポータブルアンプだ。無印のAK380向けにも、既に「AK380 アンプ」が発売されているが、新たにAK380 Copperと組み合わせるために、ジャケット型アンプの筐体も銅で作ったのが「AK380 アンプ Copper」というわけだ。価格は直販149,980円(税込)と、これだけで高級ハイレゾプレーヤーが買えてしまう高価なアップグレード製品となる。

AK380 Copper

 気になるのは組み合わせた時の価格と重さだ。AK380 Copperは直販549,980円(税込)、AK380 アンプ Copperは直販149,980円(税込)なので、両方買うと総額は699,960円となる。要するに約70万円だ。これに10万円、15万円などのイヤフォン/ヘッドフォンを組み合わせたら、ちょっとした据え置きピュアオーディオコンポ一式をポケットの中に入れて持ち歩いているようなものだろう。

この重さをお伝えしたい

 とりあえず実物を見てみよう。パッケージも“銅色”。開けてみると、ズシリと重い、AK380 アンプ Copperが登場する。“金属のカタマリ感”はAK380 Copperほどではないが、高級感はやはり凄い。ひんやりと冷たい表面に、ほんのり香る十円玉のような銅の匂い。光の加減で明るい色にも、渋い色にも変化するのが楽しい。

AK380 アンプ Copper
AK380 アンプ Copperのケース
AK380 アンプ Copperの背面

 素材には純度99.9%の銅が使われている。銀の次に導電率が高い銅は、優れた導電性と外来ノイズを防ぐシールド効果、比重の重さにより、「(通常モデルの)ジュラルミン素材とは異なるアプローチで重厚且つ優れたバランスのサウンドを提供する」という。

素材には純度99.9%の銅が使われている

 AK380の底部にはUSBと専用端子(バランス出力端子)があり、それを用いてアンプと接続する。ドッキングしたら、背面上部にあるネジを回して両者を固定。当然、このネジも銅でできている。

AK380の底部。左にあるのが専用端子
AK380とドッキング
USB端子と背面のネジで固定する

 専用のジャケット型アンプだけあり、ドッキングした時の一体感は見事。個人的にカッコいいと思ったのは背面で、AK380 Copper単体ではカーボンが見えているが、AK380 アンプ Copperの背面はすべて銅。つまりドッキングすると、“前も後ろも全部が銅”のカタマリになり、銅っぷりに磨きがかかるのだ。

一体化した時の“銅っぷり”が凄い

 重量も凄い。AK380 Copperは約350g、AK380 アンプ Copperは約297gなので、合計647gになる計算だ。実際に編集部で計測してみると643gだった。

測ってみると643g

 もはやポータブルプレーヤーと言っていいのか迷う重さだが、スマートフォンとポータブルアンプ、ポータブルDACなんかを三段重ねするようなシステムとなら良い勝負になるだろうか。実際に持ち上げてみると、ズシリと重く、習字をする時の硯や文鎮が頭に浮かぶ。だが、銅のカタマリである本体の質感が凄いので、「重い」と文句を言うよりも「なんかスゲエ!」という感想が先に立つ。ほかの人に手渡しても「うひゃー!」とか「え!? なにこれ!!」と驚きの方が優先している印象だ。

 ただ、数字で643gと言われてもピンとこない。この重さをお伝えすべく、身近なモノで643gに近いものは何かないかと探してみた。

 スマホは約140gでぜんぜんダメ。7インチのタブレット(Nexus 7)も約330gでまったく届かない。大きめのスマホを1台含む、合計4台を重ねたら613gと近くなってきた。

スマホは軽い。もっと重いものを!
7インチタブレット。こんなんじゃだめだ、もっと重いものを!
いろいろかき集めてみた
お、4台重ねて良い感じの重さに
525mlのペットボトルより重い

 525mlのお茶「綾鷹」ペットボトルはどうかと測ってみると549g。実際に持ち比べてみても、確かに「AK380 Copper+アンプ Copper」の方が重いと感じる。実際の重さに加え、サイズが小さい事や、金属の触り心地も心理的な影響を与えているように思う。

 あれこれ計測していると、フルサイズのミラーレス一眼(ソニーのα7)にレンズをつけたものが683gと近い。持ち比べてみると、どちらも金属質なのでかなり印象が似ている。

ミラーレス一眼+レンズと同じくらいのイメージ?

Copperの良さを活かしつつ、駆動力アップ

設定メニューから「AMP」を選ぶと、外部アンプから音が出るようになる

 重さはさておき、音も聴いてみたい。AK380 アンプの目的は、AK380の音質をそのままに、ハイインピーダンスヘッドフォンも高出力でドライブするためだ。

 そのため、アンプ側にも本体と同様に、ステレオミニのアンバランス出力と、2.5mm/4極ミニのバランス出力を装備している。接続したら、AK380の設定メニューから「AMP」を選択すると、AK380 アンプ側から音が出るようになる。

バランス出力も備えている

 ゲインの切り替えも設定メニューから可能で、Low/Highが選べる。Low時の出力レベルはアンバランス:2.1Vrms、バランス:2.1Vrms(負荷無し)、Highでは、アンバランス:4.1V/rms、バランス 8.1Vrmsとなる。Highゲインを選べば、Lowの約4倍の出力(バランス時)が得られるので、ハイインピーダンスのヘッドフォンもドライブできる。AK380本体の出力レベルはアンバランス:2.1Vrms、バランス:2.3Vrms(負荷無し)だ。推奨ヘッドフォンインピーダンスは最大600Ω。

 実際にヘッドフォンで聴いてみると、AK380 Copper本体が持っている圧倒的な空間表現能力、特に奥行きの深さや、低域の分解能の良さを残しながら、駆動力がアップしているのがわかる。特にバランス接続すると、広大になる音場を下支えする低域のドッシリ感、沈み込みの深さに磨きがかかり、描写が重厚になる。「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」のベースも、「ズシン」と重みが増す。

 Copperモデルが持つ、音の輪郭がカリカリしない“しなやかさ”、特に中高域の階調の豊かさが、ドッキング状態でも変わらない。Copperモデル同士を組み合わせる意義は、確かにあると言えるだろう。

 なお、アンプ部にも3,400mAhのバッテリを内蔵。ドッキングした状態でも、アンバランス時で約9時間、バランス使用時で約7時間の再生が可能だ。

 セットで約70万円という組み合わせは、おいそれと買えるものではないが、ここまで超弩級の組み合わせとして君臨してくれると、小気味良いものがある。ポータブルオーディオの一つの可能性を示しているモデルとも言えるだろう。AK380 Copperのユーザーで、低インピーダンスのヘッドフォンを屋外や屋内でも使いたいという人は、音のトーンの統一も含めて、やはり“銅セット”を追求して欲しい。まだユーザーでない人にも、究極のポータブル環境のサウンドを、一度体験して欲しい。

山崎健太郎