シャープ、フレーム幅6.5mmの空間創出液晶「i3Wall」

-54枚を組み合わせ410型を実現


6月7日発表


54枚のPN-V601を組み合わせて410インチを実現
 シャープは、世界最薄のフレーム幅6.5mmを実現した60型液晶ディスプレイ「PN-V601」を8月31日より発売する。複数のPN-V601を組み合わせたデジタルサイネージなどをシステム展開し、価格はオープンプライス。

 独自の高密度配線技術の採用によりフレーム幅を極小化したことで、複数のディスプレイをつなぎ合わせたマルチ画面構成でつなぎ目が目立たず、大画面化を実現できる。縦3面につなげると103型相当の大画面を実現可能となる。愛称は「i3Wall(アイトリプルウォール)」で、infomation、intelligent、imagingの3つの“i”が無限に広がる映像空間をイメージしたという。

 発表会では、PN-V601を正面に6×5枚(30枚)、床面に6×4枚(24枚)組み合わせ、合計54枚、410インチ相当のマルチディスプレイを展示した。参考価格は30枚のPN-V601と送出システムなどの組みせで、5,000万円程度。410インチディスプレイは、6月9日から11日まで幕張メッセにて開催される「デジタルサイネージジャパン2010」に出展する。


410型ディスプレイで象も原寸で表示床面にも24枚のディスプレイ床面を使うことで立体的な表現が可能に

 フレーム幅は、本体右側と下側が各2.4mm、左側と上側が4.1mmで、46型以上の液晶ディスプレイとしては世界最狭フレームとなっている。パネル解像度は1,366×768ドット、輝度は700cd/m2。フルHD解像度にしなかったのは、「システムのバランスと最狭フレームの実現のためで、今後の展開は検討している(執行役員 ビジネスソリューション事業本部長 中山藤一氏)」という。

 LEDバックライトの採用により、狭額縁化とともに均一な輝度表示を実現。マルチディスプレイ表示時にも全体の輝度ムラを抑えることができるとしている。

 入力端子はHDMI、アナログRGB(D-Sub15ピン)、アナログ音声(ステレオミニ)、RS-232C、コントロールキット用端子などを装備。また、DVI-DやBNC入力など追加可能な拡張ボード「PN-ZB02」も用意される。コントロールキットとの組み合わせで、全ディスプレイの操作が行なえる。

マルチ構成時の画面ロス比較LEDの採用により輝度ムラを解決愛称はi3Wall

 


■ i3Wallで、サイネージ売上高1,000億円へ

岡田守行 国内営業本部長

 シャープ 常務執行役員 国内営業統轄 兼 国内営業本部長の岡田守行氏は、デジタルサイネージなど業務/法人向けの事業強化について説明した。

 「液晶を組み合わせて大画面を実現できるほか、タイルのように敷きつめることもできる。9枚で180型などのさまざまな拡張や画面展開が可能。無限の可能性を秘めたシステム」と語り、「i3Wallを核に、配信システムなどを強化し、デジタルサイネージ関連で近年中に売上高1,000億円を目指す」とした。

 ビジネスソリューション事業本部長の中山藤一氏は、特別な器具が不要、などのi3Wallの特徴を紹介。フレーム幅を縮小したことで、従来品で9%の画面面積ロスが発生していたものを、1.5%まで抑えたことで「ストレスの無い映像空間を作れるようになった」と強調した。


i3Wall用に配信システムも容易超解像技術も導入

超解像(右)により時計の文字盤のにじみやジャギーを抑制する
 また、LEDの採用による輝度ムラの抑制を説明したほか、他方式と比較において、導入/ランニングコスト、解像度、軽量などのさまざまな利点がある点をアピール。最大5×5枚に拡大表示できるエンラージ機能や、マルチディスプレイ表示/配信システムの「e-Signage Pro」などを紹介した。

 画質面についても、マルチ画面構成により、フルHDをはるかに超える高精細映像を扱えるため、独自の超解像技術を導入。モスキート/ブロックノイズなどを低減するほか、高周波復元などにより、ジャギーも抑制できるとする。

 発表会では、デジタルサイネージ風の利用提案だけでなく、底面ディスプレイを組み合わせたバーチャル空間表現、NHKによるスーパーハイビジョン映像の表示などさまざまな応用例を紹介した。


スーパーハイビジョンなど高精細映像を表示
スーパーハイビジョン映像はNHKが撮影
床面も活用して高精細表示デジタルサイネージの活用例
水の上のカフェのイメージインテリアや車のショールームなどでの活用イメージ

(2010年 6月 7日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]