YouTube、メジャーリーグ全試合をノーカットで無料配信

-日本人選手のハイライト集など。小宮山氏も納得


右上が「MLB.JP」チャンネルのページ。元メジャーリーガーの小宮山氏がゲストとして来場した

 YouTubeは30日、米メジャーリーグ(MLB)における2010年シーズンの試合を配信開始した。シーズン全試合のノーカット映像とダイジェスト版がパソコンで鑑賞可能になる。利用は無料。

 MLBアドバンスト・メディアとYouTubeがパートナーシップを締結し、MLB全試合をはじめとした映像コンテンツをYouTube内の「MLB.JP」チャンネルにおいて配信。パソコン専用となっており、iPhoneなどのスマートフォンやiPad、携帯電話では利用できない。


ページのデザイン。サムネイルから選んで視聴できる

 今シーズンの試合のノーカット映像は、試合終了後より36時間以内に配信。また、2009年の試合も順次ノーカット映像で配信される。

 さらに、日本人選手の活躍を集めたハイライト映像や、各試合のハイライトシーンを集めた映像、一日の全試合結果をまとめたダイジェストの速報映像も各試合後に視聴可能。こちらは試合後から配信開始までの時間は決まっていないが「作業が終わり次第配信する」という。

 そのほか、アーカイブ映像として、1974年にハンク・アーロンがベーブ・ルースの本塁打記録を塗り替えた試合や、2004年のランディ・ジョンソンによる完全試合など、歴史に残る名シーンの配信も同チャンネルで観られるようになるという。米国の選手だけでなく、野茂英雄選手の初登板や、松井秀喜選手がMVPを獲得した2009年ワールドシリーズなど、日本選手の名シーンも順次公開する予定。


動画の視聴画面

 動画はFlash形式で、解像度はSD(最大480p。回線速度により自動調整)。映像はMLBが製作するもので、YouTube専用ではないという。キーワード検索で選手名などから動画を探すことも可能。なお、一部のコンテンツには日本語の解説音声も含まれているが、多くは英語のみとなる。ページ内には広告も表示され、収益はYouTubeとMLBアドバンスト・メディアで分配する。

 なお、これまでもMLBの日本公式サイト「MLB.jp」でも日本選手の試合のハイライト映像配信などを行なってきたが、YouTubeにおけるチャンネル開設により動画の本数を大幅に増やし、「何万本という単位で提供できる」(YouTube コンテンツパートナーシップ統括部長の水野有平氏)としている。


日本人選手のハイライトシーン集「matsuzaka」と入力して動画を検索Google Earthと連動して、各スタジアムから試合映像を探すことも可能


■ 元メジャー投手の小宮山氏も活用へ。「野球少年の上達にも」

小宮山悟氏

 ゲストとして、かつてメジャーリーグにも在籍した日本の名投手で、現在は野球解説者である小宮山悟氏が来場。

 「解説をしていると、他球場のことも気になる」という小宮山氏はこのサービスについて「“この選手のこの試合のココ”というポイントポイントで選手を追いかけられる。何より“全てをカバーできる”ことで、知らない情報が無くなる。これから有効活用したい」と歓迎。一方、解説などのほとんどが英語のみとなることについては「英語で聴いたほうが臨場感がある」とした。

 また、後進の指導にもあたっている小宮山氏は「日本のプロ野球選手で、アメリカで将来やりたいという人も、YouTubeを使ってどのチームでプレーしたいかといったことが考えられるから、相当なプラス。野球をする子供にとっても、いい選手のプレイを見ることで、練習するよりも飛躍的に良くなる可能性がある」と述べた。自身も「これからシーズンが佳境に入り、プレーオフを賭けた戦いがあるが、どこがワールドチャンピオンになるか、1カ月楽しみたい」とした。

 YouTubeは、スポーツコンテンツの配信では海外で既にホッケーのNHLやバスケットボールのNBA、モーターレースのインディカーシリーズ(IRL)などとパートナーになっているほか、国内では横浜ベイスターズの試合なども配信している。コンテンツパートナーシップ統括部長である水野有平氏は、「インドのクリケット『IPリーグ』がすさまじいトラフィックを集めた」との例も紹介した。

 また、水野氏はテレビ放送との棲み分けについて「まったく別のものだと考えている。最近はテレビ以外にも携帯電話やスマートフォンなどのメディアに触れることも多いと思うが、生放送と違うタイミングで観られることは便利。コンテンツホルダにとっても機会が増え、利益がある」とした。

YouTubeコンテンツパートナーシップ統括部長の水野有平氏YouTubeの国内におけるスポーツコンテンツのパートナー水野氏と小宮山氏が握手を交わした


(2010年 8月 30日)

[AV Watch編集部 中林暁]