【CES】DTS、11.1chサラウンド「Neo:X」などを訴求

-PC用のPremium Suiteも“II”で音質補間など導入


DTSブース

 DTSは、CES会場のサウスホールにブースを展開。11.1chサラウンド技術の「DTS Neo:X」をシアターでデモしているほか、PC用ソリューションの新バージョン「DTS Premium SuiteII」も発表された。




■ 11.1chのDTS Neo:X対応AVアンプも間もなく登場へ

シアタールームでDTS Neo:Xをアピール

 DTS Neo:Xは、11.1chスピーカーによるマルチチャンネル再生環境。5.1ch、7.1chなどのサラウンド収録されたコンテンツを、さらに広がりある音場で再生することを狙っている。

 Neo:Xでは、DTS-HD Master Audio 7.1chの標準的な構成となるフロントL/R、センター、サイドL/R、リアL/Rに加え、前方にワイドL/R(Lw、Rw)と、フロントハイトのL/R(Lh、Rh)を加えた11.1chが基本構成とする。

 Neo:Xについては、CEATECでもパートナーや報道向けに体験ルームを設けていたが、CESではDTSブースの中央にDTS Neo:Xを体験できるシアタールームを用意。DTS-HD Master Audio 7.1chのアイスエイジのほか、Neo:X用に音楽コンテンツなどで、11.1chのサラウンド環境をアピールしていた。デモに使われていたAVアンプはオンキヨー製。


各社のAVアンプを展示。これらのモデルではNeo:Xに対応していないが、今後の中級以上の製品では対応が見込まれる

 Neo:Xの基本となるアルゴリズム自体は、DTS Neo:6と共通だが、Neo:6を改善しながら、11.1chまで拡張している。DTS Japanの藤崎賢一氏によれば、すでに半導体や製品メーカーでは製品化に向けた実装が進んでいるとのことで、今年の中位機以上のAVアンプでは採用が見込まれる。オンキヨーなどが新モデルでの対応を予告している。




■ PC用のPremium Suiteも“II”に強化

 新技術としては、パソコン用の高品位オーディオ認証プログラム「DTS Premium Suite」の最新バージョン「DTS Premium Suite II」を初披露している。Premium Suiteは、DTS-HD Master Audioのデコードやパススルー出力に加え、バーチャルサラウンド技術のSurround Sensation、ボリュームをそろえるDTS Symmetryなどの技術を搭載した高音質PC向けの認定プログラム。

DTS Premium Suite搭載のパソコンSuite IIに新搭載のDTS Enhance

 このPremium Suiteを拡張したものが、DTS Premium Suite IIとなる。新たにマイクを使ったSkypeなどの通話時のノイズや不要なエコーを抑えるClear Voice、ノイズキャンセル機能の「Clear Audio」、マスタリング時などに失われたCDなどの原音を推測してレストアする「Audio Restoration」、高域補間技術「DTS Enhance」などを追加している。会場では、DTS Enhanceによる音質の向上について、比較デモを行ないアピールしていた。なお、現時点では Premium Suite II対応のパソコンは発売されていないが、今後の登場が見込まれる。

 また、テレビでのDTSデコーダ導入も韓国や中国市場で進んでおり、SamsungやLGのテレビにDTSデコーダなどが搭載されたほか、テレビのDLNA機能を組み合わせたネットワークプレーヤー的な機能でも活用もなされているという。中国においても、HisenseやTCLなどの大手メーカーがDTS搭載テレビを発売開始しており、日本のテレビにおいても採用を目指しているという。

 同様に携帯電話においても、DTSデコーダやDTSのサラウンド技術の導入を進めるているほか、IPTVなどの領域の対応も強化していく方針。

携帯電話でもDTS対応を推進IPTVやネットワークプレーヤーでも採用を進めている

(2011年 1月 10日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]