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iFi、K2HDやDSDリマスタリング機能搭載のDAC内蔵ポタアン「iDSD Valkyrie」
2025年4月4日 10:00
エミライは、iFi audioの新製品として、K2HDテクノロジー、DSDリマスタリング、6種類のデジタル・フィルターなど、豊富な機能を盛り込んだUSB DAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ「iDSD Valkyrie(ヴァルキリー)」を4月11日に発売する。価格はオープンで、市場予想価格は297,000円前後。
アンプとしてパワフルなだけでなく、「かつて世界のトップ・マスタリング・ハウスのみが使用したツールをボタンを押すだけですぐに使用できるようになっており、さながらリマスタリング・エンジニアのような体験が可能」という。
デジタル入力端子はUSB-C、光デジタル、同軸デジタル。アナログ入力端子はバランス4.4mm、シングルエンド3.5mm。ヘッドフォン出力はバランス4.4mm、シングルエンド3.5mm(S-Balance対応)。ライン出力端子はバランス4.4mm、3.5mm、RCAを備える。
カスタム・コード化されたFPGAによる特注のDSDリマスタリング・アルゴリズムを搭載。DSD信号が直接DACに送られ、PCM信号はユーザーが選択したデジタル・フィルターを通過する「ノーマル」設定か、DSD 512、またはDSD 1024に変換する「リマスター」のいずれかを選択可能。
DSD 512は704.8kHz/24bit、DSD 1024は1.4MHz/24bitで、それぞれ1秒間に2,240万回、4,480万回の1bitの情報をサンプリングするPCM信号と同等と考えることができ、これにより解像度を高め、歪みを低減し、プロがリマスタリングしたレコーディングのような、より豊かでクリアなサウンドを実現するという。
心臓部には、JVCケンウッドによるK2HDテクノロジーを搭載。アナログ録音の温かみと情感をも復元し、「デジタルオーディオが必ずしも冷たく分析的なサウンドになるとは限らないことを保証する」という。
JVCのエンジニアが無数のアナログ・マスターとデジタル・マスターを耳で丹念に聴き比べ、感覚と豊富な経験を頼りに作り上げた技術で、「人間的なアプローチとフィーリングを重視することで、K2は他とは異なる生来のオーガニックなクオリティを備えている」という。
「K2」モードと「K2HD」モードの2つを用意。前者はファイルの元の解像度を保持したまま復元し、後者は192kHz/24bitにアップスケールしてから、任意に選択したK2パラメーターを適用して復元する。
どちらのフィルターも、波形補正のためにJVCケンウッドが厳選した「K2」パラメーターを適用し、周波数領域ではなく時間領域を処理。時間領域の処理により高度な高周波数帯域の拡張と微細な信号(bit)の拡張が可能になり、K2とK2HDは22kHzを超える自然な倍音と倍音を復元し、最終的にオリジナル・マスターに近い音質を実現するという。
以下の6種類のデジタルフィルターを搭載し、ディテールを微調整して自分だけのリスニング体験を作り上げることもできる。
- Bit Perfect:デジタル・フィルタリングを適用しない。これは最高のインパルス・レスポンスを提供するが、高域特性は減衰
- Standard:適度なフィルタリング、適度なプリリンギング、適度なポストリンギング処理。多くのCDプレーヤーやDACで使用されている典型的なFIRフィルター。高域が抑制され、フォーカスされたサウンド・ステージが得られる
- Minimum:最小限のフィルタリング、最小限のプリリンギング、最小限のポストリンギング、32タップ処理。Bit Perfectとより複雑なフィルターの中間点で、フォーカスされたサウンド・ステージと正確な高域特性を併せ持つ
- GTO:最小限のフィルタリング 、プリリンギングなし、適度なポストリンギング、32タップ処理。独自のフィルターにより不要な超高域を減衰し、聴こえないことを目指す
- Apodising:適度なフィルタリング、プリリンギングなし、適度なポストリンギング、128タップ処理。録音時のインパルス歪みの一部を補正するのが目的。生成される音は自然で、フォーカスはわずかにぼやけるがサウンドステージは拡大し、高域のディテールは正確
- Transient Aligned:最大フィルタリング、最大プリリンギング、最大ポストリンギング、16,384タップ処理。理論的、数学的に理想的なレスポンスに基づき、サウンドステージが拡大し、滑らかな高域を実現する
「XBassII」「XPresence」「XSpace」といったiFi独自の高度なアナログ・プロセッシング機能も搭載。従来製品のデジタル信号処理(DSP)とは異なり、切り替え可能なアナログ回路をEQモードに使用。これにより元の音質を維持した、位相のずれや歪みが少ない、より自然な周波数調整が可能。
内部はツインモノ設計を採用。各チャンネルのコンポーネント間の物理的な距離と分離により、チャンネルセパレーションの向上と干渉の低減を図っている。
さらに、クロストークを防ぐためにアナログとデジタルの回路を分離し、最高レベルのサウンド純度を確保した。
DAC部にはカスタム・インターリーブ構成のバーブラウン製ビットパーフェクトDSD、およびDXD DACを4基搭載、ノイズフロアの低下と優れたリニアリティを実現したという。
バーブラウンのチップセットを採用した理由は、iFi audioが「マルチビット方式の臨場感と迫力が大好きだった」とのことだが、「いわゆるハイレゾ音源のような高品位信号を使用する場合、マルチビット方式はデルタ・シグマ方式のような低レベルのリニアリティを持たない」という。
そこで、iDSD Valkyrieに使用したチップセットは、最上位6bitを真のマルチビット方式で処理する一方で、残りの下位ビットはオーバーサンプリングフィルターを介して1bitに変調し、両方の長所を発揮させている。
DACへの全信号は、AMR DP-777の低ジッターGlobal Master Timing由来のマスター・クロックでリクロックし、高い精度を実現。
また、FPGAを搭載しているが、FPGAではD/A変換をせず、代わりにCrysopeia FPGAデジタル・エンジンが特注のデジタル・フィルタリングとリマスタリングを行なう。
Bluetoothにも対応。QualcommのQCC518Xシリーズをベースにした回路により、aptX Lossless経由でCD品質のオーディオをワイヤレスで、LDAC経由でハイレゾ96kHz/24bitのワイヤレス伝送も可能。
ヘッドフォンアンプとしては、最大5,700mWの最大出力と、2,258mWの定格出力を実現。iDSD Diablo 2よりも10%近くパワフルになっており、「最も要求の厳しいヘッドフォンも駆動できる数少ないポータブルDAC/ヘッドフォンアンプの1つ」になるという。
さらに、MEMSを使用したIEMをサポート。MEMSスピーカーは、圧電効果を利用して電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、一体型シリコン膜を励振して強力な音波を発生させる、新しい原理のドライバー。
それを手掛けるxMEMSとのコラボレーションにより、このMEMSドライバーに必要な最適な電圧とEQを開発。EQは1kHzを8dBブーストし、2kHzを1.5dBの僅かな増幅を加え、存在感を高めている。
EQは4.4mmプラグがiDSD Valkyrieに挿入されると、-14Vバイアスと共にアクティブになるため、通常のIEMを接続してもダメージを与えることなく安全だという。なお、音質には影響がある。
1回の充電で最大18時間の連続再生が可能。USB-Cによる急速充電で、フル充電までの所要時間は2.5時間。5,000mAhの21700型リチウムイオンバッテリーを4つ、合計20,000mAhという巨大なバッテリーを搭載する。
フロントプレートのデザインは、神話上のValkyrieの駆る天馬の雄大な翼にインスパイアされている。筐体は、CNC加工アルミニウム。サテン仕上げのレトロなシャンパン・アルマイトを採用している。時計のリューズをイメージしたアルミニウム製のボタンと大型のコントロールノブ、傷がつきにくいゴリラガラス・ディスプレイも備えている。外形寸法は172×160×30mmで、重量は882g。