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13日開幕「大阪万博」、河森監督プロデュースのパビリオン行ってきた。ソニーPCLも協力

河森正治氏が手掛けたパビリオン「いのちめぐる冒険」

4月13日に開幕する「EXPO 2025 大阪・関西万博」。その開幕に先立って、各界で活躍する8人のプロデューサーがテーマごとに展開する「シグネチャーパビリオン」8館の完成披露・メディア先行内覧会が行なわれた。このうち「マクロス」や「アクエリオン」などで知られるアニメーション監督・河森正治氏が手掛けたパビリオンでは、ソニーPCLの最新技術が活用されている。

シグネチャーパビリオン8館は、大阪・関西万博の象徴的な建造物である「大屋根リング」の内側に位置する「シグネチャーゾーン」に展開。河森氏のほか、放送作家の小山薫堂氏、映画監督の河瀨直美氏、メディアアーティスト・落合陽一氏が手掛けたパビリオンが用意されている。

パビリオン「いのちめぐる冒険」の外観

河森氏がプロデュースしたのは、「いのちを育む」をテーマとした「いのちめぐる冒険」。「はかなくて、尊くて、力強くて、愛おしくて、美しいいのちの輝きと、宇宙・海洋・大地に宿るあらゆるいのちのつながりを表現。人間中心からいのち中心へのパラダイムシフトと、いのちを守り育てることの大切さを訴求することを目指す」というシグネチャーパビリオンとなっている。

超時空シアター「499秒 わたしの合体」MRと一体感とVRの没入感をEXPO 2025 大阪・関西万博で

パビリオン内では、30人がカメラ付きVRヘッドセットを装着して、VRとMRを行き来しながら宇宙スケールの食物連鎖を同時体験できるというイマーシブ展示『超時空シアター「499秒 わたしの合体」』や、音楽プロデューサー・菅野よう子氏が創り出す音の世界と、インタラクティブな振動や立体音響、紗幕に映し出される映像で体感できる「ANIMA!」などが体験できる。

「499秒 わたしの合体」の映像は、河森氏が総監督を務め、IMAGICA EEXが映像をプロデュース。監督は西郡勲氏、音楽は菅野氏、ナレーションは坂本真綾が担当した。主題歌は、菅野氏/河森氏が作詞を手掛けた「499秒」。前半部分「ワカンタンカ」を葉音、後半部分「499秒」を中島愛が歌唱している。

ソニーPCLは、この「499秒 わたしの合体」と「ANIMA!」のイマーシブ体験演出に協力。「499秒 わたしの合体」では、ロケーションベースARアプリなどを展開するSoVeCとソニーPCLがタッグを組み、VRヘッドセットの耳元から聴こえる音とスピーカーから流れる音が組み合わさった「圧倒的な立体音響」を楽しめる。

「ANIMA!」でも、SoVeCによる立体音響を使ったソリューション「音のXR体験」と、人の歩行に合わせてさまざまな振動フィードバックを実現するソニーの「床型ハプティクス」を組み合わせて、人間の五感に訴え、全身で感じられる体験型エンタテインメントを作り上げている。

そのほか4m超の巨大ビジョンに、「ほぼリアルタイムで生成される」地球などを映し出す「宇宙の窓」も用意されている。

この地球映像は、気象衛星ひまわりから10分ごとに届く今の地球の写真画像から、AIで22Kに高解像度化したもの。そのほか、特殊なカメラで撮影した卵の中のいのちが育まれる瞬間や、湧き水の源泉などのコンテンツも表示される。

落合陽一氏プロデュースのパビリオン「null2

また、メディアアーティストの落合氏が手掛けたパビリオン「null2(ヌルヌル)」では、建物外装が特殊なミラー外装膜で覆われており、地鳴りのような低い音とともに振動。内部には「おそらく日本でも最大級」(落合氏)だというLEDシアターが用意されている。

「超時空シアター」「ANIMA!」を体験

「超時空シアター」内部
天井部には複数のスピーカー

実際に「超時空シアター」と「ANIMA!」の2コンテンツを体験してきた。「超時空シアター」は円形のシアターで一度に30人が同時に体験できる。

“超時空デバイス”と名付けられたHMDを被って体験する

観客は壁を背にして、円の中心を向くように着席。“超時空デバイス”と名付けられたヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着すると、中心部に超時空空間の入口(ゲート)となる水の球が出現する。

またHMDを装着した状態で、観客が両手を合わせて広げると、手の中に小さな水玉が出現する。これを中央の水の球に押し出すことでゲートが大きくなっていき、十分な水玉が集まるとゲートがオープン。「現実と仮想、過去と未来、時間と空間を超えたいのちめぐる冒険の旅」が楽しめる。

冒険の旅は水の中で生きるミジンコや魚、空を飛ぶ鳥などの視点になったり、人の血管の中を通っているような映像もあったりと、目まぐるしく展開。そして最後にパビリオンのテーマシンボルである「いのち球」が登場する。

特に印象的だったのはサウンド面で、冒頭のゲートに水玉を投げ込むパートでは、自分の手元で水玉を作るときの「シュワシュワシュワ」という効果音は眼の前から聴こえつつ、自分から少し離れた位置にあるゲートが、投げ込まれた水玉をと吸収する「チャポン」という音は遠くから聴こえ、立体的な音響づくりを実感できた。

「ANIMA!」
複数の紗幕が使われた鏡張りのルームで映像を体験できる

続いて体験した「ANIMA!」は、場内各所に紗幕、壁面に鏡が貼られたシアター内で映像を体験するもの。地面にはソニーの「床型ハプティクス」が仕込まれており、映像や演出に合わせて足元から振動が伝わってくる。

映像中盤、小さな可愛らしいキャラクターが大量に登場。一斉に飛び跳ねる
足元の床には「床型ハプティクス」が仕込まれている

特に映像中盤で小さく可愛らしいキャラクターが数多く登場し、一斉にジャンプする場面では、小さなキャラクターたちがコロコロと跳ね回る振動が足元から伝わってきて、より高い没入感を味わうことができた。

なお、これらふたつのシアターの体験には事前予約が必要なので、大阪万博に来場する際は注意してほしい。予約方法等は、万博公式サイトまで。

「命は合体、変形だ」がコンセプト。全面金箔貼りの「いのち球」登場

河森正治氏

4月3日に行なわれた完成披露イベントに登場した河森氏は、自身がプロデュースしたパビリオンについて「人間だけでなく、いろいろな生き物の命がどんな形で繋がりあい、共鳴し合っているのかをテーマにしました」と説明した。

「『命は合体、変形だ』をコンセプトとして、そのテーマを表現しています。例えば魚を食べるとき、命の流れを中心に考えれば“魚と合体して自分になっている”、その魚が大阪湾で採れていれば大阪湾の海水とも合体していると言えます」

「また太陽の日差しを暖かく感じるのも、499秒前に太陽を出た光と自分が合体して、自身を形成しているから。499秒前、自分はあの太陽に居た、自分の一部が確実にそこで輝いていた、ということが実感できるようなパビリオンになっています」

「これは実際に体感していただかないと、なかなか伝わらないものなので、ぜひ来場していただければと思っています」

パビリオンのテーマシンボル「いのち球」も披露された

またイベントでは、パビリオンのテーマシンボルとなる、3.5mの「いのち球」も披露された。「あらゆるいのちには上も下もない。生物多様性を合体・変形させた象徴」というシンボルで、河森氏がコンセプトスケッチを手掛け、これをもとに海洋堂が原型を作成。この原型からパビリオンのサプライヤー/パートナー各社協力のものとで巨大なシンボルとして作り上げられた。

「いのち球」表面の金箔は、スマホやPCなどから取れる都市鉱山製

「いのち球」の表面には金箔が貼られていて、この金箔はサプライヤーであるミナミ金属のリサイクル工場で、廃棄された携帯電話やPCなどを解体して取り出した“都市鉱山製”。総使用量は「携帯電話で言うと、おおよそ20万台分」(ミナミ金属 岡村昇社長)だという。

「いのち球」原型の除幕式の様子。当初は大きな「いのち球」の除幕式が行なわれる予定だったが、風で幕が飛んでしまうハプニングがあり急きょ変更に

イベントでは、海洋堂が手掛けた原型の除幕式も実施。河森氏は「ものすごく細かく作っていただいたもので立体的なので、ぜひ近くで見ていただきたいです」とコメント。また「大きないのち球は、原型からスタイリッシュに、シンプルにしているものですが、(パビリオンで体験できる)超時空シアターや、バーチャル万博で使っている映像では、原型を元にしたものが登場します」とも語った。

「いのち球」原型

パナソニックもブース出展「ノモの国」

パナソニックグループのパビリオン「ノモの国(The Land OF NOMO)」

この大阪・関西万博には、パナソニックグループも「ノモの国(The Land of NOMO)」と題したパビリオンを展開している。場所は大屋根リングの外側、会場東エントランス付近。

ミストと気流制御を使った演出が楽しめる
RFIDを内蔵した結晶を使った体験も

「ノモの国」では、ココロが映し出される不思議な国「ノモの国」に迷い込んだ子どもたちがUnlockされていくストーリーを体験可能。ミストと気流制御を組み合わせたミストウォール、映像が照射された直径1.3mのミストの渦輪が降り注ぐ「ボルテックスリング」、立体音響を軸としたクロスモーダル体験などを楽しめる。

パビリオンの外観は、「人間の皮膚感覚に近い」パビリオンとして、風で揺らぐ軽やかで自由な建築デザインを採用。主要部材には洗濯機など、家庭で使われた使用済み家電のほか、工場で出る端材や廃材、世界中で廃棄・焼却されていた廃材などを活用している。

万博会場で作ったゼロカーボン電力由来の水素エネルギーも活用。「ノモの国」近くにあるNTTパビリオンで作られた水素が地中パイプライン経由で供給され、「ノモの国」で使用されている。

この「ノモの国」を題材としたオリジナルアニメも用意。ノモの国Webサイトで公開されている。アニメ制作はmonofilmo(モノフィルモ)、出演は市ノ瀬加那(ソラ役)、潘めぐみ(ダイチ役)、悠木碧(ロココ役)。

【本編】「ノモの国」オリジナルアニメーション公開 |大阪・関西万博2025 |Panasonic Group Pavilion"The Land of NOMO"Original Anime
「ノモの国」からほど近い会場入口付近には大阪万博の公式キャラクター「ミャクミャク」の姿も