「春のヘッドホン祭 2011」。低価格なWestoneなど

-XLR出力のiPodトランスポート。Suara生ライヴも


会場のスタジアムプレイス青山

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドホン祭 2011」が5月7日に開催された。会場は東京・外苑前駅近くの「スタジアムプレイス青山」。




■ナスペック

 Cambridge Audioの新製品として、iPod/iPad/iPhone用のデジタルトランスポート「iD100」を展示。既に発売が開始されており、価格はオープンプライスだが、35,000円程度で販売されている。

Cambridge AudioのiPod/iPad/iPhone用のデジタルトランスポート「iD100」背面。AES/EBUのXLR出力も備えているのが特徴

 iPod内の楽曲をデジタルデータで取り出し、DACなどに渡して高音質再生する機器で、アナログ出力は備えていない。出力は光デジタル、同軸デジタルに加え、AES/EBUのXLR出力も備えているのが特徴。映像出力も装備する。さらにiPodとPC同期用のUSB端子も用意。USBオーディオ機能は備えていない。

 SPDIFのデジタル出力と、AES/EBUデジタル出力は独立した回路で構成する。外形寸法は108×128×46mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は480g。リモコンも付属する。



■ステラヴォックス

 
 ゴールドムンドなど、高級オーディオの輸入販売を行なうステラヴォックスジャパンは、自社で企画・開発するオーディオブランド「TechDAS」(テクダス)ブランドを昨年末に設立。第1弾モデルとしてUSB接続が可能なDAC「D-7」(オープン/実売26万円前後)を発売している。

 会場ではこの「D-7」を展示したほか、5月末に発売予定のiPodデジタル接続対応モデル「D-7i」も参考展示。価格は同じくオープンプライスで、実売は「D-7」よりも3万円程度高価な29万円程度になる見込み。なお、3~4万円程度の費用で、D-7からD-7iへの有料アップデートサービスも実施予定だという。

「TechDAS」の第1弾製品「D-7」「D-7」をiPodのデジタル入力に対応させた「D-7i」

 同軸/光デジタル入力を備え、単体DACとしても使用可能。最高24bit/96kHzのデータを再生可能で、TI製コントローラーとオリジナルソフトウェアを用いたアシンクロナス転送を行ない、高音質な再生ができるという。ドライバはWindows/Mac共にOS標準のドライバで動作する。なお、将来的にはUSB入力でも、基板交換によるアップグレードで192kHzのサポートが予定されている。



■シネックス

 シネックスブースで注目を集めているのは、Westoneの高級カナル型イヤフォンで、バランスド・アーマチュアの3ウェイ4ドライバを搭載する「Westone 4」(オープン/実売49,800円)。

 また、低価格なモデルとして7月に発売を予定している「T1」も参考展示。シングルのバランスド・アーマチュアを搭載したモデルで、米国での価格は129ドル。ケーブルの途中にリモコンも備えている。

 さらに、iPod/iPhoneなどのDock端子に接続することで、広がりのあるサウンドが楽しめるというオーディオアダプタの新モデル「SRS iWOW 3D」も参考展示。価格はオープンプライスで、実売7,980円前後になる予定。従来のiWOWが備えていたボリュームボタンを省く一方、短いケーブル一体型の形状になり、表面のプレートを交換する事で、ファッションに合わせたカラーコーディネートができるという。

Westoneのカナル型新モデル「T1」「T1」はケーブルの途中にリモコンも備えている左が「SRS iWOW 3D」、右が従来の「SRS iWOW」。一番右は「SRS iWOW 3D」のパッケージで、カラフルなプレートが付属している


■ラトックシステム

 ラトックのブースでは、USB接続のヘッドフォンアンプなどと組み合わせることで、音質を向上させるための電源ユニット「RAL-PS0514」を参考展示。6月発売予定で、予価は58,800円。

 ACアダプタからの電源を、トランス方式の電源にすることで、ノイズを抑えた電源をオーディオ機器に供給できるという製品。USBバスパワーで動作する製品でも使用できるよう、USB用のノイズフィルタも搭載している。また、電源ケーブルや、USB機器への給電用ケーブルには、オヤイデと共同で開発したという専用のケーブルが使われる。

 また、前述の電源ユニットと、USBヘッドフォンアンプ「AL-24192UT1」を一体化させたというハイエンドな製品も参考展示。夏から秋にかけて投入予定とのことで、「2機種を合わせた程度の価格を想定している」という。しかし、仕様は現在検討中で、「単体DACとして利用できるようにするかどうかを検討している」という。

下段が電源ユニット「RAL-PS0514」。上段はUSBヘッドフォンアンプ「AL-24192UT1」電源ケーブルや、USB機器への給電用ケーブルには、オヤイデと共同で開発したという専用のケーブルが使われる「RAL-PS0514」と「AL-24192UT1」を一体化した新製品の試作機。ケースなどのデザインは変更になる


■完実電気

 完実電気ブースでは、PS Audioの新製品として、電源ユニットの「PerfectWave Power Plant 10」(P10)と、「PerfectWave Power Plant 5」(P5)が参考展示された。6月発売予定で、価格は、連続出力負荷1,200WのP10が525,000円、1,000WのP5が367,500円。

 入力された電源から「ピュアで正確なAC電源を生み出す」という製品で、両モデルとも前面にタッチパネル型の液晶を備えているのが特徴。オシロスコープ機能を内蔵し、電源の入力と出力の波形を表示する事で、波形が綺麗になる効果を目で確認できるという。

「PerfectWave Power Plant 10」(P10)「PerfectWave Power Plant 5」(P5)

 液晶には入出力電圧、消費電力、歪率を表示させる事も可能。出力電圧を変化させる機能も備え、95V~115V程度で調整できる。大型のコンデンサやトランスを搭載。P5には冷却用のファンを内蔵。P10は筐体に備えた大型ヒートシンクで冷却する。

 SDメモリーカードスロットやEthernet端子も備え、ファームウェアのアップデートが可能。将来的にネットワーク経由での制御機能も追加予定で、例えば、インターネットを通じて、帰宅前に遠隔操作で家の電源ユニットの電源をONにしておくといった使い方が可能。また、機器に電源を供給するタイミングを端子ごとに細かく設定する事も可能で、「プリアンプに電源を供給し、その5秒後にパワーアンプに供給を開始する」といったカスタマイズもできるという。

P5の背面P10の背面


■フォーカルポイント

 フォーカルのブースでは、Atomic Floydの新製品として、iPhone用マイク付リモコンを備えた「HiDefDrum」、「AirJax」、「miniDarts」のマイナーチェンジモデルを参考展示。従来、ケーブルの途中に備えた円形リモコンでは、再生/一時停止、曲送り/戻しなどの操作に対応していたが、新リモコンはスティック形状になり、ボリュームコントロールも可能になった。さらにケーブルがレッドに変更されている。価格は従来モデルから2,000円程度のアップになるという。

 また、実物は展示されなかったが、SLEEK AUDIOの新製品として、ワイヤレス伝送に対応したオーバーヘッドモデル「50CENT」や、バランスドアーマチュアユニットを採用したカナル型イヤフォン「SA7」、「SA6-R」なども年内に日本に投入する予定だという。

Atomic Floydの新製品新しいリモコンはスティック型にSLEEK AUDIOの新製品も予告


■メース

 メースのブースではFANNYWANGというメーカーのヘッドフォンを参考展示。モデル名は「FW-1001/2/3」で、ブラック、ホワイト、レッドの3色を用意。価格は各22,000円が予定されている。

 デザインが特徴だが、ケーブルの途中にY型の分岐コネクタを備えているのもユニーク。ここに別のヘッドフォンを接続すれば、2人で同じ音を聴く事ができる。

FANNYWANGというメーカーのヘッドフォン「FW-1001/2/3」ブラック、ホワイト、レッドの3色ケーブルの途中にY型の分岐コネクタを備えている


■Suaraさんが出演するイベントも

Suaraさんが出演するイベントも開催された

 5月25日に発売されるアルバム「Pure2 - Ultimate Cool Japan Jazz -」(KIGA-10/3,000円/ハイブリッドSACD)を記念し、Suaraさんが出演するイベントも会場内で開催。A&Rを担当したF.I.X RECORDSの有村健一氏も参加。司会をライターの岩井喬氏が担当した。

 このアルバムは、アクアプラスの名曲や、カバー曲をJAZZアレンジで収録したもので、ボーカル曲の歌をSuaraさんが担当。バックには気鋭のピアノ・トリオWaJaRoのメンバーを中心に、、元クライズラー&カンパニーの竹下欣伸氏、元キンモクセイの後藤秀人氏、オルケスタ・デ・ラ・ルスのホーンセクションのメンバーなどが参加している。


 

トークの合間にはSuaraさんによるミニライブも行なわれた

 イベントではアルバム製作時の裏話や、聴きどころに関してのトークショーが開催。Suaraさんは「曲が進むに連れ、盛り上がったり、歌い方を変えるなど、細かな変化があります。ぜひ、1曲、1曲、最後までじっくりと聴いて欲しいです。1曲の中でも、今度はこの楽器に注目しよう、次はあの楽器に注目しようという感じに、何度も楽しめる作品になっています」と密度の濃いアルバムになった事をアピールした。

 さらに、トークの合間にはSuaraさんによるミニライブも実施され、JAZZアレンジされた「キミガタメ」(PS2ゲームうたわれるものED/夢路より)や、「星想夜曲」(シングル夢想歌より)などが披露。JAZZならではの心地良いリズムと歌声に、詰めかけたファンが酔いしれた。

 会場では「AQUAPLUS VOCAL COLLECTION VOL.7」や、音楽データを収録した「Suara USBフラッシュメモリカード」などの販売も実施。購入者にはSuaraさんがサインや握手をするなど、貴重なイベントとなった。

 さらに、「Pure2 - Ultimate Cool Japan Jazz -」とPCオーディオのコラボレーション展開も発表。RMEのUSBオーディオである「Babyface」をセットにし、「Suara USBフラッシュメモリカード」も同梱した限定50台のコラボレーション・パックが、シンタックスジャパンの直販サイトで、5月下旬に発売されるという。詳細はシンタックスジャパンのWebサイトで公開される予定。


RMEのUSBオーディオ「Babyface」「Babyface」と「Pure2 - Ultimate Cool Japan Jazz -」のコラボパックも登場予定

 また、岩井氏が手掛けている、美少女イラストを取り入れた萌えオーディオ読本「サウンドガール デュオ ~音響少女~ Soundgirl duo」の新展開として、iPhoneやiPadで楽しめる電子書籍化が予定されている事も明らかになった。iPodのCoverFlowのようにイラストが表示され、好きな一枚を選択すると、イラストと共にオーディオ機器のレビューが読め、機器の詳細もチェックできるという構成。試聴に使われている楽曲の紹介ページに直接ジャンプできるなど、電子書籍ならではの仕組みも盛り込まれる予定だという

「サウンドガール デュオ ~音響少女~ Soundgirl duo」が電子書籍に


■その他

オーディオテクニカブースでは、カナル型の上位モデル「ATH-CKM99」(21,000円)、「ATH-CKM77」(12,600円)や、高級感のある「EARSUIT」シリーズの新モデルなどを一堂に展示したダイナミック型ユニットを2基搭載した、ビクターの「HA-FXT90」も登場ロジクールのブースでは、Ultimate Earsブランドの新製品を紹介。米Ultimate Earsが展開しているカスタムイヤーモニターの音も体験できた
協同電子エンジニアリングは、「フェーズテック」ブランドの新製品を展示。なお、今後の製品からブランド名が「フェーズテック」から「フェーズメーション」に変更されるという。デュアル・モノ構成のヘッドフォンアンプ新製品「EPA-007」や、6月に発売予定の、USB入力で192kHz/24bitに対応したDAC「HD-7A192」(346,500円)や、DDコンバーター「HD-7D192」(249,900円)が展示。さらに、ペアで525万円のハイエンド管球モノラルパワーアンプ「MA-1」も登場。来場者の注目を集めていた

(2011年 5月 9日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]