シャープ、液晶や音楽も強化したスマホ夏モデルを紹介
-省電力の液晶/音楽再生、apt-X対応、新UIなど
シャープ製スマートフォンの'12年夏モデル |
シャープは18日、国内で発売されるスマートフォン'12年夏モデルの説明会を開催した。この中で、新たに採用されたS-CGシリコン液晶の特徴や、音楽再生機能の強化、独自UIのFeel UX、他のシャープ製品との連携などについて説明された。
シャープの'12年スマートフォン夏モデルは、auから発売される「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」、「AQUOS PHONE SL ISW15SH」、「AQUOS PHONE CL SI17SH」と、NTTドコモの「AQUOS PHONE st SH-07D」、「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」、「AQUOS PHONE sv SH-10D」、ソフトバンクモバイルの「AQUOS PHONE Xx 106SH」、「PANTONE 5 107SH」、「AQUOS PHONE 102SH」の計9機種。なお、各製品の機能についてはニュース記事の通り。
シャープの通信システム事業本部 グローバル商品開発センター副所長 兼 プロダクト企画部長の河内厳氏は、スマートフォン市場の動向について、「(エントリーユーザーの)安定志向層の買い替えが一気に広まるタイミング」とし、この層にはシャープユーザーが多く含まれていると想定。この点から、基本テーマとして、ユーザーの嗜好性や目的に合わせた幅広い商品群を揃えることと、最新技術の投入だけではない、新しいユーザー体験の提供を掲げた。
シャープの河内厳氏 | 「安定志向層のスマートフォン買い替えが一気に広まる」と予測 | 2つの基本テーマを掲げた |
スマートフォンの「ハイパフォーマンスライン」に位置付けられるAQUOS PHONE SH-09D(ドコモ)とAQUOS PHONE Xx 106SH(ソフトバンク)、AQUOS PHONE SH-10D(ドコモ)、AQUOS PHONE SERIE ISW16SH(au)のうち、SH-09Dと106SHには、最新のS-CGシリコン液晶を採用。
S-CGシリコン液晶は、従来のCGシリコン液晶と同様に高透過率により省電力化しているほか、静止画表示時などにCPUの負荷を抑えるためのメモリを新たに搭載。同一画像の表示時にはCPUを停止してメモリから画像を転送し、画像が入れ替わった時のみCPUを動作させるという方式を採っている。動画やゲームなど頻繁に表示が入れ替わるものには効果が出ないが、写真以外でもWebブラウザやメール、書籍など変化の少ない画面の時には自動でメモリが動作するため、従来のCGシリコン液晶以上の省電力化を可能にした。
省エネだけでなく、画質調整技術のSVエンジン3も搭載し、より自然な画作りを実現。PCと同様の色再現を可能にするため、sRGB基準の「ナチュラルカラーモード」をSH-09Dや106SH、ISW16SHに搭載。これにより、通販サイトなどの商品画像が、より実物に近い見え方で表示できるという。
SH-09Dなどのハイパフォーマンスライン | スタンダードライン | フィーチャーフォンも紹介された |
S-CGシリコン液晶(右)と、従来のCGシリコン液晶(左)との比較。S-CGシリコン液晶は消費電力を従来の半分以下に抑えつつ、同等の画質を実現した | S-CGシリコン液晶の特徴 | SVエンジン3で、sRGB基準の自然な色表現を追求している |
音楽関連では、ドコモのAQUOS PHONE st SH-07Dにおいて55時間の連続再生を実現。これにはクアルコム製チップセットに搭載されたLPA(Low Power Audio)技術が用いられている。この技術は、再生時に曲のデコードを再生しながらリアルタイムで行なうのではなく、まとめて1曲分をデコードすることでCPUの動作を抑え、消費電力を低減させるもの。この技術をAQUOS PHONE向けに最適化したことで、55時間の連続再生を可能にしたという。この省電力技術は、SH-09D(ドコモ)にも搭載されている。
55時間の連続再生を実現したSH-07D |
AV機器との連携では、DTCP-IP対応のBlu-rayレコーダで録画した番組を、スマートフォンで再生したり、スマートフォンで撮影した写真などをテレビに表示できる「スマートファミリンク」のほか、6月7日からサービスを開始した「おしえてリモコン」で、放送中のテレビ番組の“盛り上がり度”をTwitterのツイート数で確認できることなどが紹介された。
SH-09D | テンキー搭載スマートフォンのIS15SH | オンエア番組のTwitterでの盛り上がりが確認できる「おしえてリモコン」 |
UIは、夏モデルの多くの機種で独自の「Feel UX」を採用。トップページを「アプリ」、「ウィジェット」、「ショートカット」の3つに分け、アイコンを大きくシンプルにレイアウト。初心者でも直感的に操作できるほか、ロック画面からすぐに電話/メール/カメラの起動が可能なことなども特徴としている。
このFeel UXは米国のデザイン会社frogと共同で開発。frogはこれまでアップルやソニー、ディズニー、IBMなどとも協力している。
発表会でfrogのVP of Creative, Software Innovationを務めるPaul Pugh氏も登壇。「これまでのスマートフォンは、メーカーの考えるユーザー体験をAndroidの内部、または上層部に加えたものだが、我々のアプローチは、デバイスが持つすべての可能性をユーザーが簡単に引き出せる、統合的なエクスペリエンスを創造するもの。スマートフォンの世界は、一見すると標準化の様相を呈しているが、グローバルのスマートフォン革命は始まったばかり。Feel UXは、これまで無かった“ある種の人間性”をテクノロジーにもたらす」と述べた。
Feel UX採用モデルを多数投入 | Feel UX採用モデルのトップ画面。「アプリ」画面は、縦4×横3の大きなアイコン表示 | 米frogのPaul Pugh氏 |
(2012年 6月 18日)
[AV Watch編集部 中林暁]