ソニーと住友電工、高出力な純緑色レーザーを開発

-レーザープロジェクタに応用可能に


純緑色半導体レーザー

 住友電気工業とソニーは、レーザープロジェクタなどに応用できる発振波長530nm帯で100mW以上の光出力を有する純緑色半導体レーザーの開発に世界で初めて成功した。

 今回開発した純緑色半導体レーザーは、従来の窒化ガリウム系緑色レーザーと比べて、約2倍の高輝度を実現。高輝度化とNTSC比182%(CIE 1976)の広色域化を実現し、レーザープロジェクタなどの映像表示デバイスへの搭載が期待されるという。

 赤色と青色の半導体レーザーは量産化されているが、緑色については、赤外光を光学素子により波長変換したレーザーが主に用いられており、光源が大型かつ高価であるという課題があった。また、従来の窒化ガリウム系材料を用いた緑色レーザーは、発振波長が520nm以下で光出力も数十mW以下に限定されているため、充分な輝度が確保できなかった。


純緑色半導体レーザー発振の様子

 今回の緑色レーザーは、住友電工がこれまで開発してきた半極性窒化ガリウム基板と結晶成長/加工技術、ソニーがブルーレイなどで培った窒化ガリウム系レーザー技術を生かして共同開発。両社で構造設計、結晶成長、加工、電極など半導体レーザーに関わる全てのプロセスに新規技術導入や技術改良を加えた結果、発振波長530nm帯で100mW以上の光出力を有する純緑色半導体レーザーの開発に成功した。また、光電変換効率8%以上を実現し、高信頼性を確保しているという。

 今回の高出力純緑色半導体レーザー開発により、光の三原色(赤・緑・青)レーザー光源が揃うことになり、高輝度と広色域を実現するレーザープロジェクタや小型/軽量/低消費電力を生かした携帯型レーザープロジェクタなどへの活用が期待される。両社は、さらなる高出力化と高効率化、高品質化を目指し、引き続き開発を進めるとしている。


(2012年 6月 21日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]