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「平成狸合戦ぽんぽこ」が11月6日にBD化

志ん朝の落語も収録。4Kデジタル・リマスター

平成狸合戦ぽんぽこ
(C)1994 畑事務所・GNH

 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンは、スタジオジブリの映画「平成狸合戦ぽんぽこ」を、11月6日にBlu-ray化する。価格は7,140円。

 特典映像として、絵コンテを本編映像とのPinP(子画面表示)で収録。さらに、アフレコ台本と、本作品で語りを担当した、3代目古今亭志ん朝による、特別語りおろしの落語「狸賽」も収録。予告編集を収めている。

タイトル仕様音声品番価格
平成狸合戦ぽんぽこ本編約119分
片面2層
16:9
MPEG-4 AVC
日本語字幕
英語字幕
フランス語字幕
ドイツ語字幕
韓国語字幕
広東語字幕
北京語字幕
(1)日本語
(DTS-HD MasterAudio 2.0ch)
(2)英語、フランス語
ドイツ語、フィンランド語
韓国語、北京語
広東語
(ドルビーデジタル2.0chなど)
VWBS-14457,140円

 BD化にあたっては、4Kデジタル・リマスターによりマスターを作成。さらにこのソフトは最大36bitの高階調映像を実現するパナソニックの新技術「マスターグレードビデオコーディング(MGVC)」に対応。パナソニックのBDレコーダ最上位モデル「DMR-BZT9300」など、対応機器で再生する事で、最大36bitの高階調映像を出力できる。

 映画やアニメは、マスター映像は30bit以上の高階調で制作される物が多いが、BDやHD放送として提供される際は、それらの規格に基づき、24bitに制限されてしまう。これによって失われる階調情報を、独自の拡張データとしてディスクに記録。「DMR-BZT9300」のような対応プレーヤーで再生すると、通常のBDの24bitを超える階調表現が可能になるもの。

 MGVCは、ウォルト・ディズニー・ジャパンから既に発売されているスタジオジブリ作品「となりのトトロ」、「火垂るの墓」、「魔女の宅急便」、「おもひでぽろぽろ」や、7月17日発売の「紅の豚」BDで対応している。

 なお、BD化にあたり、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーから、「豚から狸へ」と題した文章が寄せられている。以下に全文を掲載する。

豚から狸へ:スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサー

 いま、考えても無茶苦茶な話だ。

 宮さんがある日、言い出した。

「豚の次は狸だ!」

 言い出した方も凄いが、受けた方にも感心する。

 しかも、見事な映画になったのだから、事実は小説よりも奇なりだ。当時のことを思い出してみる。まずは宮さんに説明を聞いた。

「俺が自分を主人公に映画を作ったのだから、今度は、それをパクさんにやってもらおう」

 パクさんとは、高畑監督のことである。

 宮さんが、なぜそんなことを言い出したのか、いまだによく分かっていない。それを高畑さんに伝えたとき、当然のことだが、高畑さんは首をひねった。

「どういう意味ですか?」

 準備していた答えがあった。

「古来、日本には狸を題材にした面白い話がたくさんある。これは日本人が映像にすべきだと、高畑さんは力説していましたよね。絶好の機会じゃないですか。やりましょう」

 高畑さんはそういうときに、はい、わかりましたと二つ返事で頷く人では無い。

 そんなことは分かっていた。ぼくとしては、きっかけが欲しかった。きっかけさえあれば、あとは何とかなる。いや、何とかしなきゃいけない。高畑さんなら何とかしてくれる。ぼくはそう信じて、毎日のように高畑宅を訪ねた。

 その後、起きた事件の数々については、別の機会に譲る。

 狸を題材に、高畑さんは空前絶後、架空のドキュメンタリーをモノにした。

 実際に起きた事件だが、山ひとつ崩してそこにベッドタウンを作る。そこに住んでいた狸たちは、それを黙って見過ごしていたのだろうか。そうじゃないだろう。彼らなりに、人間に対して独自の戦いを挑んだに違いない。化学(ばけがく)の復興というアイデアは、日本の伝統的な狸話を描いてあまりある内容になった。しかも、現代の話として映画としても傑作として蘇ったのである。

 話し始めて半年、それから脚本が出来上がるまでに半年くらい掛かっただろうか。記憶は忘却の彼方へ遠ざかっているが、これだけは言える。繰り返しになるが、高畑さんはどんな企画でも形にしてくれる人、ぼくには、そういう確信があった。

あらすじ

 '94年に公開され、325万人を動員。興行収入45億円を記録したスタジオジブリのアニメーション映画。監督、脚本、原作は高畑勲。

 自然の豊かな多摩丘陵。のんびり暮らしていたタヌキたちの間に、餌場を巡る争いが起こる。調べてみると、餌場の激減は、人間たちによる宅地造成が原因だと判明する。

 開発阻止に動き出したタヌキ達は、人間に立ち向かうため、化ける能力を磨き、茶釜やだるまなど簡単なものから、お地蔵さんや招き猫など難しい課題へチャレンジ。最終的には人間に化けて街に繰り出し街頭演習。工事の車両を妨害するなど、様々な作戦を繰り広げるのだが……。

 声の出演は野々村真、石田ゆり子、三木のり平、清川虹子、泉谷しげる、芦屋雁之助、林家こぶ平ほか。

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Blu-ray

(山崎健太郎)