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次世代HDMIケーブル「ULTRA96」まもなく登場。96Gbps対応製品は27年以降か
2026年1月30日 19:25
HDMIのマーケティングやプロモーション、ライセンス供与、管理を行なう組織「HDMI LA」のロブ・トバイアスCEOは30日、都内で説明会を開催。HDMI 2.2規格の全機能をサポートした次世代HDMIケーブル「ULTRA96」が、2026年第1四半期に市場投入される予定だと明かした。96GbpsをサポートしたHDMI 2.2製品については、2027年~2028年頃の登場を見込んでいるという。
2025年6月に発表されたHDMI 2.2は、伝送幅の拡張や映像・音声の同期ズレを補正する機能を盛り込んだ次世代HDMI規格。
HDMI 2.1で採用した固定レートリンク伝送技術「FRL」を引き続き採用しながら、現行の2倍となる最大96Gbpsもの帯域幅を実現。信号を圧縮させることなく、4K240p/12bitや8K60p/12bit映像の伝送が可能になった。
まもなく市場投入される見込みのULTRA96ケーブルは、HDMI 2.2がサポートする大容量データを安定して伝送するために策定されたものだ。
18Gbps伝送対応のHDMIケーブル「PREMIUM High Speed」、そして48Gbps伝送対応の「ULTRA High Speed」のさらに上のカテゴリーにあたる。1月初旬に開催されたCES2026でもULTRA96ケーブルのプロトタイプが展示されるなど、ケーブルメーカーで製品化が進められている。
トバイアス氏は「ULTRA96ケーブルの最終仕様が固まり、現在は、製品リリースに必要なコンプライアンステスト(CTS)および認証テスト(ATC)を準備している段階だ。このまま進めば、2026年第1四半期にもULTRA96ケーブルが各社から順次市場投入されるだろう」と語った。
HDMI 2.2で追加された「LIP(Latency Indication Protocol)機能」に関しても説明が行なわれた。
LIP機能は、ゲーム機やプレーヤー、テレビ、プロジェクター、サウンドバー、AVアンプなど、HDMIケーブルで接続された多段階のシステム構成時に発生する“オーディオとビデオ信号の同期ズレ”を改善するもの。
LIP対応機器同士を接続すると、テレビやテレビ接続のサウンドバーといったシンク側で発生したズレ幅をソース側に伝送。伝送されたメタデータに基づき、ソース側が同期を調整することで、複雑なシステム環境下においても映像と音声がズレないようになる。
トバイアス氏によれば、LIP機能の実装テストも進められており「早ければ6月開催予定の国際展示会『COMPUTEX』内で、一部メーカーがLIP機能のデモを披露するかもしれない」とのこと。
説明会では、エレクトロニクス製品でも利用が進むAIや、CES2026で披露されたテレビメーカーの動向も紹介。
トバイアス氏は「AIを活用したゲーム映像の高解像・ハイフレームレート化は今後も拡張し、HDMIの大容量で安定した伝送が欠かせなくなるだろう。また今年、主要テレビメーカーからはRGB LED液晶テレビが登場し、広く普及することが予測される。これまで高価だった有機ELテレビも大幅に安価なモデルが登場し、ミニLED×量子ドット搭載液晶テレビにおいても手頃な価格で提供されるようになる」と分析。
「我々はこうしたトレンド、HDMI規格を採用する企業の動向を注視しながら、より進化した映像・オーディオ体験の実現、HDMI機器間での問題のないシームレスな体験、品質を担保する検査・認証プログラムの構築に引き続き取り組んでゆく」と語った。
96Gbps製品は27年以降を想定。LIPはシステム全てが対応必須
ULTRA96ケーブルやLIP機能について、ロブ・トバイアスCEOに話を聞いた。
——96Gbpsもの大容量データを伝送することになるULTRA96ケーブルは、実際どの程度の長さのケーブルが発売されるのか?
トバイアス氏(以下敬称略):HDMIケーブルの仕様上、何メートルまでという規定は設けていない。銅線を選択するか? 光ファイバーを選択するか? もケーブルメーカー次第だ。今日ここに持ってきたULTRA96ケーブルのケースは1mのものだが、メーカーの中には、10mのULTRA96ケーブルを準備しているところもあると聞いている。
——HDMI 2.2の仕様はできた。ULTRA96ケーブルもまもなく発売する。では、96Gbpsに対応したHDMI 2.2製品はいつ頃登場するのか? またそれはどのような製品になると見込んでいるか?
トバイアス:いまチップメーカーが、HDMI 2.2をサポートするトランスミッターやレシーバーを開発中だ。具体的な製品が登場するのはその後だ。これは私個人の希望的な考えも含むが、早ければ2027年のCESなどで出てくることを期待したい。ただもしかしたら登場が2028年頃になる場合もある。
——LIP機能について。これはソース・シンク共にLIP機能に対応した製品でなければ動作しないのか?
トバイアス:そうだ。仮に、プレーヤーとテレビがLIP対応、サウンドバーがLIP非対応というシステム構成の場合、LIP機能は一応動作するが、テレビ-サウンドバー間の同期ズレをプレーヤーでカバーすることができない。システム内でLIPを機能させるには、全ての製品でLIPをサポートさせる必要がある。
——96Gbps伝送は無理だろうが、既存のHDMI機器に対し、ソフトウェアアップデートを行なってLIP機能を付加させることは可能か?
トバイアス:可能だ。ただし、そこにリソースをかけてLIP機能をアップデートで提供するか否かはメーカー次第だろう。
——LIP機能を動作させるには、ULTRA96ケーブルでなければいけないのか?
トバイアス:LIP機能にULTRA96ケーブルか否かは関係ない。どのグレードのHDMIケーブルで接続しても、互いの機器がLIP機能に対応していれば動作させることができる。
——HDMI 2.1の最大帯域幅48Gbpsのままで、HDMI 2.2のLIP機能だけを採用した製品をリリースすることも可能か? またその場合、その製品は「HDMI 2.2対応」と謳えるのか?
トバイアス:96Gbps伝送は、HDMIがサポートする数多くの機能の1つであり、どの機能をサポートするか否かはメーカーの判断、製品の仕様で異なる。48Gbpsのまま、HDMI 2.2のLIP機能だけを採用する製品も出てくるだろう。またその場合、HDMI 2.2対応と記載することも考えられる。
我々は、HDMIのバージョンナンバーだけを記載することは避け、その製品が具体的にHDMIのどのような機能をサポートしているか? が消費者に分かるようにしてほしいと関連メーカーに働きかけをしている。














