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【IFA 2013】LG、77型“湾曲”有機ELや、4K/HEVC対応液晶。TV音質向上も

LGブース

 ドイツ・ベルリンで9月11日(現地時間)まで開催されている「IFA 2013」から、LG Electronicsのブースに展示されていた新製品を中心にレポートする。

「湾曲」有機ELや4K IPS液晶など。テレビの音質向上にも注力

77型/フルHD有機ELパネルのCURVEDモデル

 IFAで初お披露目となったのが、77型/フルHD有機ELパネル採用の“CURVED(湾曲)デザイン”テレビ。「市販化が前提で作られているが、世界のどこでいつ発売するかは未定」としている。

 同じく展示されていた55型のCURVEDモデルは韓国や米国で既に発売されている。価格は日本円換算で約130万円相当。独自の「WRGB」技術(白色LEDとRGBカラーフィルタ搭載)を採用しており、前述の77型プロトタイプも同様の技術をベースにしている。なお、CURVEDモデルの有機ELパネルは、最初から湾曲の形で作られるわけではなく、通常のフラット型と同じ工程で作られたものを曲げて搭載しているとのこと。

 55型は、音質改善を図ったことも特徴。京セラが開発した軽量/薄型の音響デバイス「ピエゾフィルムスピーカー」を搭載。薄型テレビやパソコン、タブレットなどの機器の薄型化や軽量化に貢献するとともに、広い指向性による高音域の広がりが特徴で、臨場感の向上を実現できるという。

横から見たところ
海外で発売中の55型モデル
「ピエゾフィルムスピーカー」を採用

 CURVEDモデル以外に、フラットな形状のフルHD有機ELテレビにも新しい提案を行なっている。それは、薄型化を実現した有機ELテレビの音質向上も図ったもので、一般に公開されるのは初めて。スリムなベゼルの有機ELテレビに、あえて絵画の額縁のような太いフレームを設け、その部分にスピーカーを内蔵。展示の試作機では3ウェイ5スピーカーを配置して高音質化を図っている。また、中央にウーファを下向きに配置している。なお、ディスプレイ部分は既発売のモデルと共通だという。

 この絵画風のテレビの発売に合わせて、名画の静止画コンテンツを配信する計画もあり、同モデル以外でもLG SmartTV対応機種であれば利用可能になる予定。日本もサービスの対象になるという。

絵画風の額縁を備えた有機ELテレビ
額縁の部分にスピーカーを内蔵
HEVCデコーダ搭載の84型4K IPS液晶テレビ。右はサイドスピーカーを装着した状態

 IPSパネルの4K液晶テレビ新モデルも展示。既発売の84型を強化して「HEVC(High Efficiency Video Coding)/H.265」デコーダを備えたモデルを今後発売するほか、直下型LEDバックライト搭載の55/65型、エッジ型LEDで低価格化した55/65型も発売予定。

 いずれのモデルも、今後、映像配信や放送などで採用が見込まれるHEVCコーデックをいち早くサポートすることで、「今購入しても安心」という点をアピールしていく。直下型LEDバックライトモデルは、エッジ型に比べ高画質なだけでなく、スピーカーについても異なる特徴を持つ。それは、直下型モデルのみ、アンダースピーカー部を本体に収納可能な点。電動でスピーカーを上に移動させ、そのまま本体内に収められる。サウンドバーや外部スピーカーを使う場合などに、不要な本体スピーカーを隠してスッキリできることが特徴。

直下型LEDバックライト搭載モデルの55型
アンダー型スピーカーを本体に収納できる
エッジ型LEDバックライト採用モデル(上が55型、下が65型)

超短焦点の100型プロジェクタなど

PC用ディスプレイの「27EA83」

 4Kではないモデルだが、「Quad HD」と呼ばれる2,560×1,440ドット(WQHD)パネル採用の27型PCディスプレイ「27EA83」も展示。広色域が特徴の「セミプロモデル」として、日本でも販売されている。海外では、Quad HDパネルをノートPCのディスプレイに採用したモデルも発売する。

アスペクト比21:9のディスプレイも展示。シネマスコープサイズの映画視聴だけでなく、2画面を並べて作業するのにも適している点などを紹介している
IPS液晶の特性を活かし、コンシューマ向けだけでなく、デジタルサイネージとしての利用も提案。写真はタッチパネルの活用例
人が通ると、花びらが舞い散るように演出するサイネージの例

 一見、薄型の壁掛けテレビのように見えるが、実は超短焦点プロジェクタで下から投写しているという展示も行なっている。画面サイズは100型で、プロジェクタのデバイスはフルHD解像度のDLP。ミラーの反射を使って55.5cmの距離から100型を投写できる。光源はLEDとレーザーのハイブリッド型。スリムなサウンドバーやサブウーファもセットとする。

 テレビと接続するスピーカーとして、テレビの下に置く「SoundPlate」も展示。フルレンジ4基とサブウーファ2基を内蔵するスピーカーで、フラットな筐体デザインを採用。テレビとは光デジタルで接続する。今後、日本で発売する際はHDMI端子を装備すると見られる。

超短焦点DLPプロジェクタを使った100型投写のデモ
プロジェクタ本体。55.5cmの距離から投写できる
SoundPlateの設置例(上のテレビは55型)
SoundPlate本体
側面にバスレフポートを備える
左がLG G2、右がLG GPad

 スマートフォン/タブレット新製品も展示。Androidスマートフォンの「LG G2」は、5.2型/1,920×1,080ドットのIPS液晶を備えたAndroid 4.2.2搭載のスマートフォン。特徴は、24bit/192kHzのFLACとWAVの再生機能を搭載する点。IFA会場ではFLAC再生デモも行なっており、実際に試したところ「MUSIC」というLGの独自アプリを使って24bit/192kHzファイルを再生可能だった。韓国を皮切りに北米、欧州ほか主要市場で順次発売。全世界130社以上で展開予定としており、その中には日本も含まれると見られる。

 タブレット「LG G Pad」は、8.3型でフルHD超の1,920×1,200ドット(16:10)のパネルを搭載。テレビと無線LANで接続して、写真を共有する「Smart Share」などが利用できる。なお、ハイレゾ音楽再生には対応しない。OSはAndroid 4.2.2.で、CPUは1.7GHz/クアッドコアのQualcomm「Snapdragon 600」外形寸法は 216.8×126.5×8.3mm(縦×横×厚さ)、重量は338g。

ハイレゾのFLACを再生しているところ
「MUSIC」というLG製アプリで再生する
8.3型タブレットの「LG GPad」

(中林暁)