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富士通テン、192kHz DAC/AirPlay搭載の「ECLIPSE TD」スピーカー「TD-M1」

TD-M1

 富士通テンは、「タイムドメイン」(時間領域)理論に基づいたホームオーディオ用スピーカー「ECLIPSE TDシリーズ」の新モデルとして、無線LAN内蔵でUSB DAC機能も備えた「TD-M1」を2014年2月より発売する。価格は、ペアで131,250円。カラーはブラックとホワイトを用意する。

 なお、同日にはサブウーファの新モデルとして、25cm径ユニット2基搭載のサブウーファ「TD725SWMK2」、20cm径ユニット×2の「TD520SW」、16cm径ユニット×2「TD316SWMK2」も発表。これらの機種については別記事で掲載している。

 「タイムドメイン理論」は、周波数領域に加え、「時間領域(タイムドメイン)の再現性」に着目したもので、これに基づき、音が発生する際に起きる振動の発生から消滅までの時間的な過程をスピーカーで再現。原音の波形に忠実な再生を追求している。

 TD-M1は、無線LANとUSB端子を備え、AirPlay/USBスピーカーとして利用可能なことが特徴。24bit/192kHz対応のDACを備え、パソコンやiPhone/iPadなどのデジタル音声を本体内でDA変換して、デジタルアンプで増幅して聴くことができる。エンクロージャのデザインは、シリーズ共通の卵型を継承し、定在波の抑制などを図っている。

ホワイトモデルの設置例
ブラックモデルの設置例
本体内部(R側)
AirPlay再生先としてTD-M1を選択できる

 DACには、一般的なオーバーサンプリングフィルタを搭載しない「NOS-DAC(Non Over Sampling Filter)」を採用。これは、DA変換時に聴感ではほとんどわからないノイズを取り除くことよりも、時間波形の正確さの方を重視したためで、「より正確な音の再生を目指した」としている。デジタルアンプはClass-DアンプICを使った新開発の「TDアンプ」で、定格出力は20W(片チャンネル駆動時)、最大出力は25W(同)。

 ワイヤレス再生はAirPlayを使用し、DLNAには非対応。AirPlay利用時は16bit/44.1kHzで伝送する。無線LANルーターを介した接続のほか、スピーカーとiPhoneなどをダイレクトに接続するモードも備えており、ルーターが無い環境でもワイヤレス再生できる。USBにiPhone/iPadを接続することで、充電しながらUSB経由で再生することも可能。iOS 7以上で24bit/192kHz再生対応の他社製アプリを使って、ハイレゾファイルも再生可能としている。左右のスピーカー間はワイヤレスで接続する。

 ステレオミニの入力端子を備え、アナログでの有線接続も行なえる。スタンド部のタッチセンサーで音量や入力切替などが行なえるほか、テレビなどとの接続時を想定し、iPhoneでこれらの操作ができるアプリも用意する。

NOS-DACを採用
音楽信号の流れ
ルーターが無い場所でもAirPlayで再生可能

 ユニットは8cm径のフルレンジ1基で、振動板には'12年モデルなどと同様にグラスファイバーを使用。再生周波数帯域は70Hz~30kHz。高調波歪み率は0.08%。SN比は90dB以上、分離度は60dB以上。入力インピーダンスは10kΩ、消費電力は10Wで、ネットワークスタンバイ時は2.7W、完全スタンバイ時は0.7W。

 エンクロージャはバスレフ型。下部に「アングルコントロールレバー」を備え、これを下げることで本体の向きを上方向に3段階(0~20度)に調整できる。デジタルアンプやDAC、AirPlay受信モジュールなどは右側のスピーカーに搭載。外形寸法は155×219×242mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約5.3kg。保護ネットやACアダプタ、電源ケーブル、無線LANアンテナなどが付属する。

タッチパネルでボリュームや入力切替を操作
背面(R側スピーカー)
固定レバーを下げると角度調整ができる
L側スピーカーの背面
iPhoneアプリでも音量などを調整可能
主な想定ユーザー
特徴のまとめ

佐久間正英氏「楽器の音がそのまま降りてくる」

富士通テンの川村昌史専務

 5日には都内で発表会を開催。富士通テンの川村昌史専務取締役は、1955年からの真空管カーラジオからの同社の取り組みを振り返り、ホームオーディオに比べ音楽を聴く環境としては厳しい車室環境にこれまで取り組んできた実績に触れ「ホームオーディオでは新参だが、技術開発のレベルは諸先輩ブランドに引けを取らないと自負している」と説明。「オーディオマニアだけでなく、スタジオレコーディングなどでの導入も進んでおり、“空間再生力”においてはある程度独壇場では」と自信を見せた。

 無線LANやDACを備えたTD-M1については、「新しい時代に入ったことを意味する記念すべきモデル」とし、オーディオ業界がディスク媒体から配信へシフトしつつあるという背景や、ハイレゾオーディオの盛り上がりなどを背景に、「音楽ファンの“よりいい音をより手軽に”というニーズへの回答を準備してきた」と述べた。

左から、GOTA/屋敷豪太氏、佐久間正英氏、司会を務めたクリス・ペプラー氏

 発表会には、リアルユーザーとして、レコーディングエンジニア/プロデューサーの佐久間正英氏と、ドラマー/プロデューサーのGOTA/屋敷豪太氏を招いてトークセッションも行なわれ、2人がプロの視点から「ECLIPSE TD」について語った。

 BOφWYやGLAY、THE BLUE HEARTSなど数多くのアーティストをプロデュースした佐久間氏は、GLAYのTAKUROさんが「ECLIPSE TD」を使っていたのをきっかけに知り、使ってみた当初は「最初は違和感があった」とのこと。「好き嫌いではなく、今までスタジオで聴いていた音のイメージと違っていた」という。しかし、「使い慣れてくると、今までは“スピーカーの音”を聴いていたなと気付いた。(ECLIPSE TDでは)楽器の音そのままが降りてくる」と認識が変わったという。

 ECLIPSE TDを使うまで「スピーカーの音は、特にドラムの広いレンジを再現できない」と不満だったという屋敷氏は、佐久間氏とも共通の友人であるドイツ人のエンジニアから「ECLIPSE TD」を紹介され、聴かせてもらったのがきっかけ。その後、富士通テンのTDプロジェクト長である小脇宏氏から説明を受け「コンセプトから新しいと思った」という屋敷氏は、「打ち込みのドラムで、低域のドスっとした音なども、“スピーカーで鳴っているドラム”ではなく、“本来のドラム”の音が鳴る。ハイハットとバスドラムを同時に鳴らした時も、バスドラムが後から来る感じではなく、自分で叩いているイメージ通りに出ている感じがした」と述べた。

 2人は今回の新モデルについても、ワイヤレス対応などを高く評価。佐久間氏は「私が最初に感じたような違和感で止まってしまう人も多い。もう一歩先まで聞き込んで、ECLIPSEの良さをたくさんの人が理解してくれれば」と期待を寄せた。屋敷氏も「今回の新しいサブウーファとスピーカーを使って、自分の電子ドラムで叩いてみたいという夢がある。いろんな楽しみ方があるスピーカー」とした。

佐久間正英氏
GOTA/屋敷豪太氏

(中林暁)