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日立、屋外でも見やすい小型HMD用光学エンジンを開発。光利用効率を約8倍に向上

 日立製作所は、屋外使用でも高い視認性を実現する小型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)向け光学エンジンを開発した。保守点検など、両手を使う屋外での作業支援システムへの応用を想定。日立エルジーデータストレージがこのエンジンを使ったHMDを開発しており、同社と協力してユーザーと実証実験を行なうという。

技術概要と光学エンジンのイメージ図

 HMDは、ハンズフリーで多くの情報を確認でき、製造ラインや保守管理、物流などでの活用が期待されているが、屋外作業で利用する場合は、長時間連続使用できることや強い外光下での視認性が要求されるという。従来のHMD用光学エンジンは、光源のLEDから発した赤・青・緑の光を拡散板で拡散させ混ぜ合わせることで、画面の色合いや明るさを均一にしていたが、光が目以外の方向にも逃げてしまうため、画面が暗くなることが課題とされていた。

 そこで、光の通り道となる導光路をトンネル形状にし、全反射による光の閉じ込めを行なうとともに、多数の粒子状レンズを入れて、光を屈折・拡散させて混ぜ合わせる技術を開発。これにより、光の損失を抑えながら色合いや明るさを均一にすることが可能になる。また、導光路から出射した光を平行なビーム状にする特殊な形状の非球面型レンズを開発し、光の損失を低減して、より多くの光を目に届けられるようにした。

 これらの技術により、従来の約8倍の光利用効率となる輝度8,000cd/m2を低消費電力で実現。屋外などでもHMDを使用して視覚的に作業内容を伝え、作業の効率化などを図れるという。

 本技術を用いたHMDは、10月30日~31日に東京国際フォーラムで開催される「Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO」で展示される。

(一條徹)