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エソテリック、140万円の準旗艦プリ/パワーアンプ

デュアルモノ設計の「C-02X」と最大出力580Wの「S-02」

 エソテリックは、準フラッグシップモデルのステレオプリアンプ「C-02X」とステレオパワーアンプ「S-02」を4月1日に発売する。価格はいずれも140万円。

プリアンプ「C-02X」

 フラッグシップシリーズ「Grandioso」(グランディオーソ)の直系と位置づけられたモデルで、デュアルモノ構成を徹底した構造や、最新の回路設計技術などを採用。エソテリックのオーディオ理念「Master Sound Works」に基づき、オリジナルマスターの音楽情報を先端技術で再現するという。

ステレオプリアンプ「C-02X」

 プリアンプのフラッグシップ「Grandioso C1」の音楽表現力を受け継ぎ、左右独立したデュアルモノ設計を採用。チャンネル間の相互干渉を徹底的に排除し、左右チャンネルそれぞれに専用の電源トランスを用いることで電源ライン経由のノイズ混入も防いでいる。電源回路パターンの細部もGrandiosoの技術を取り入れてブラッシュアップした。

 フルバランス構成も採用し、入力系統ごとに専用の入力バッファアンプを設け、その後は低インピーダンスのフルバランス信号伝送によりコモンモードノイズを除去。信号経路でノイズの影響を受けにくくしたことで信号伝送の純度を高め、SN感を改善している。

 ボリュームコントロールには「ESOTERIC-QVCS(Quad Volume Control System)」を採用。ボリュームノブを回すと左右チャンネルと、正/負ごとに独立させた合計4回路のラダー抵抗切替型ボリュームを一括して連動。これにより、オーディオ信号の左右、正負の独立が保たれ、チャンネルセパレーションと位相特性に優れたクリアな音質を実現したという。また、オーディオ基板からボリューム素子への配線を無くし、信号経路を大幅に短縮したことで低歪み化している。

 ロジック系コントロール部はフロントパネルに内蔵。プリアンプモジュールとの接続には、フォトカプラを使用して、物理的/電気的に独立。操作時以外は回路を完全停止させ、オーディオ回路への影響を防いでいる。

 電源回路は、左右の入出力アンプ、コントロール部それぞれを独立させた5電源トランス構成。大容量ブロックコンデンサーとの組み合わせにより、低インピーダンス/高応答性を可能とした。整流回路には、ハイスピードで整流ノイズの少ないSiC(シリコンカーバイド)ショットキーバリアダイオードを採用している。

 電流伝送能力の高さとスピードを高めるため、出力バッファ回路には、電流出力能力が高く、スルーレート2000V/μsのハイスピードが特徴の素子を採用。バッファ回路は出力ラインごとに独立し、XLR出力の場合はホット/コールドをシンメトリー構成とし、瞬間的な電流供給能力を高めている。バッファ回路の直近には安定化電源としてGrandioso C1用に開発されたEDLC(スーパーキャパシター)アレイを搭載。チャンネルあたり合計100,000μF(0.1F)の容量を持つ安定した電源を実現している。

 アナログ入力端子としてRCA 3系統と、AVプリ入力用のRCA、XLR 2系統を装備。アナログ出力として、RCA/XLRを各2系統備える。RCA 2端子は、AVスルー出力と通常のライン出力の切り替えが可能。

 ボリュームカーブは5種類をプリセット。また、入力ごとにゲインを±18dB(0.5dBステップ)の範囲で調整でき、音量差を解消可能。左右チャンネルの音量バランスは±6dBの範囲(0.5dBステップ)で調整が行なえる。位相反転が可能なフェーズインバート機能も、ソースごとに設定できる。

 シャーシ内部は5分割のダブルデッキ(2階建て)構造で、各回路ブロックを専用のコンパートメントに収めた立体的な配置の「3Dオプティマイズド・シャーシ」を採用。回路同士の相互干渉を抑え、信号経路を最短化した。外装は肉厚アルミ材で、5mm厚のスチール製ボトムシャーシを独自のピンポイントフットで4点支持して振動の抑制と高剛性を徹底した。

 ボリュームノブと入力セレクタは、無垢アルミブロックからの削り出し。各ノブの軸には、Grandioso C1と同じVRDSドライブメカのベアリング機構を応用した、芯ブレの全く無い高精度な回転を実現し、「滑らかでアナログフィールにあふれた操作感」としている。

 出力インピーダンスはXLRが100Ω、RCAが47Ω。全高調波歪み率は0.0004%(XLR)、0.0006%(RCA)。周波数特性は1Hz~200kHz(-3dB)、3Hz~50kHz(-0.2dB)。SN比は116dB(2V入力)。ゲインは+12dB。定格出力は2V。最大出力レベルは15V(XLR)、7.5V(RCA)。消費電力は21W。外形寸法と重量は、445×457×162mm(幅×奥行き×高さ)、重量は32kg。

 付属リモコン「RC-1315」はアルミ製で、エソテリックのSACDプレーヤーも操作可能。ディスプレイに表示するソース機器名をリモコンでプログラムできる。ディスプレイのディマーやミュート、ディスプレイ自動OFFなども設定可能。

ステレオパワーアンプ「S-02」

 定格出力145W×2ch(8Ω)、290W×2ch(4Ω)、最大出力580W×2ch(2Ω)のステレオパワーアンプ。モノブロック「M1」の思想を受け継ぎ、ステレオ最上位「S1」に続く“もうひとつのリファレンス”としている。

パワーアンプ「S-02」

 電源部に最大限の物量を投入。トランスはEI方式で、940VAの大型コアは、巻き線から左右チャンネルを独立。内部の5mm鋼板製のベース部へ強固にマウント。電源部のコンデンサは、チャンネルごとに4,700μF×3パラレルでデュアルモノ構成。充放電時間をハイスピード化したことで引き締まった音質を追求している。電源部の配線は全て極太ケーブルをボルトで接続し、低インピーダンス化を図った。

 アンプの出力インピーダンスを下げてスピーカー駆動能力を高めるために、全段でチャンネルごとに9本のバスバーを使用し、出力段のコイルを無くすなど、低インピーダンスと、シンプル/ワイドレンジを追求した回路設計を採用。ウーファの駆動能力を示すダンピングファクターは1,000を達成した。

 バランス設計の入力バッファアンプで信号を受け、増幅段までの信号経路を低インピーダンスでバランス伝送。ノイズを抑えた増幅により聴感上のダイナミックレンジを高め、音楽のクライマックスと静寂の間にあるグラデーションを、より細やかに表現できるという。

 連続動作17A、瞬間動作34Aの電流供給能力を持ち、一般的なパワートランジスターの2倍近いサイズの大型バイポーラLAPT(Linear Amplified Power Transistor)素子を採用し、ハイパワーと高域特性の向上を図っている。パワーアンプモジュールは、バイポーラLAPT素子を5パラレル・プッシュプルとした3段ダーリントン構成。バイポーラ素子の高域特性を引き出すため、部品点数やパラレル数を極力減らしたシンプルな増幅回路とした。

 ドライブ段の2段目から最終段への出力インピーダンスを下げ、電流供給能力を高める独自のLIDSC(Low Impedance Drive Stage Coupling)回路を採用。「スペースファクターに優れたステレオ機で、モノブロックM1に肉薄するスピーカー駆動能力を獲得した」としている。

 増幅回路はシンプルに設計し、前段の裸ゲインを小さくすることによりNFB(ネガティブフィードバック)を最小化した。ドライブ段(電流増幅段)からの影響を防ぐため、入力段から微弱な信号を受ける電圧増幅段(ドライブ段の前段)は、専用のトロイダル電源トランスと電源回路を装備。前段への安定的な電源を確保している。

 入力端子はRCA×1とXLR×1。独WBT製スピーカー端子などのハイグレードパーツを採用するほか、低インピーダンスの電解コンデンサやトランジスタなども投入している。シャーシは伝統の2層式シャーシ構成。2mm鋼板の堅牢な内部構造体は、回路ブロックごとに専用コンパートメント化し、信号経路を最短化している。このブロック化された内部構造体を肉厚アルミパネルで包囲し、5mm鋼材を採用したボトムシャーシと、独自のピンポイントフットで4点支持している。

 周波数特性は5Hz~100kHz、SN比は115dB、全高調波歪率は0.003%。外形寸法は445×489.6×221.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は48kg。

(中林暁)